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カーキ=ツバタ王国編

その3

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 3階から、なるだけ高い木や建物に蔓を伸ばし、東の城壁へと行く途中、街中を見る。
どの家も戸締まりして、誰も出かけていない。ちょっと意外だった。
正直、行政の命令をきかない跳ね返りは、どこにでもいる。だから多少の人通りはあると思っていたが、まったく無い。

「わりと善政しているのかな」

そんなことを思いながらも、飛んでいくとユーリとアディの反応が強くなってきた。東城壁の上、北端あたりか。

 そっちへ方向を変えて近づくと、なんとなくシルエットが見えてきた。
さらに近づくと、ようやくはっきり見えてきたが、何やってんだアディあいつ? 城壁上の内側の端に立っているが、裸じゃないか。

さらに近づくと、裸じゃないのが判った。あれ、オレが見せたビキニの格好じゃないか。マジで何やってんだ。

もうすぐ到着というところで、アディが南に向かって走り始めた。
それに合わせて、アディが通ったあとから騒ぎが起きる。あれは戦闘の音だ。

到着したが、さすがに高い。実のチカラはまだある。手首から蔦を出して城壁に生やすと、それを縄梯子がわりに登り、上に出た。

「これは……」

カイマが何体かすでに倒されていた。

 空はだいぶ夕焼け色になってきたが、まだ日の光はある。だからそれを浴びたカイマ達が弱っているところを、衛兵達が倒したのだろう。そこまでは判るが、どうしてこうなった。

衛兵のひとりを掴まえて、事情を訊くと

「女王陛下の使いというエルフと女がやって来て、この真下にカイマが来ていると言われました。ですが、我々が信じられずにいると、エルフ殿が自らの、その、胸の下着をですね、御自分のムチに縛りつけて、城壁の外に垂らしたのです。そうしたら、カイマが釣られて出てきたので、その場で倒して、我々は信用したのです」

オレも女王陛下の使いで仲間だと言い、エルフ達はどうしたと訊く。

「エルフ殿がもうひとりの女に囮をするように言って、最初は嫌がってましたが、クッキーがどうのこうのと聞いたら、裸みたいな格好になり南に向かって行きました。エルフ殿と小隊長も後について行き、注意を呼び掛けています」

オレはわかったと伝えると、ここを頼むと言い、ユーリ達を追いかけた。

 詳細は分からないが、アディの格好とユーリの匂いでカイマ達を誘い出して、近くにいるという事を衛兵達に教えているんだろう。
オレはエルフの仲間だ、と叫びながら追いかけていく。

途中途中でカイマが何体も倒されている。オレはようやくユーリの考えが解ってきた。

 最初に見たカイマがコウモリ型だったから、カイマは飛んでくると想像していた衛兵達はクロスボウで構えていたのだろう。
それが足下から来たら、懐に飛び込まれてやられていたかもしれない。
だから弩から剣に持ち替えさせる為に、やっているのだと。
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