上 下
19 / 177
カーキ=ツバタ王国編

その3

しおりを挟む
 オレの本体はあくまでも世界樹の森マイワールドにある世界樹だ。
ここにあるマリオネットは、本体に操られている関係である。まあ前世の文明で例えるのなら、固定電話と子機の関係といえるだろう。

なので、離れれば離れるほどレスポンスはある。

試してみたが、マイワールドの端から目測で2キロメートルくらいで、届かなくなり操れなくなる。

では、マイワールドから歩いて10日も離れているカーキ=ツバタ王国で何故普通に操れているのか。

答えは簡単、本体を持ってくれば良い。

普段はマイワールド拡大の為に、地道に東西南北全方向に森を拡げているのだが、それを止めて4日かけて両地をつなぐ街道沿いに地下茎を伸ばしていたのだ。

そして地下茎から目立たない感じの花を街道沿いに咲かせる。それが中継点として、躯体を誤差無く動かせる様になっているのだ。

「ここに歩いて来るまでに、さらに城壁に沿って地下茎を伸ばしている。だから今のところ城壁内なら大丈夫だよ」

西から伸ばした地下茎は、さらに2分割して南北に伸ばしている。出来れば全体を囲いたいが、しばらくかかるだろう。

「よしならば、余計な事を言うヤツがいないうちに問題点を片付けておこう」

問題点

・地底の民であるカイマが何故飛んできたか
・日の光が苦手なら何故昼前にやってきたのか
・違う種族がいるのなら苦手なら地上より地底の別種族を狙わないのか
・カイマらが来られないこの地に造られたのに、何故ここに来たのか

「カイマが飛ぶのは問題ではないな。コウモリの獣人との混血なんだろう」

コウモリの獣人は洞窟に住み夕方から夜に動き回るが、彼等も地上の住人である。たぶん何代か前に襲われたのだろう。

「昼前に来た理由とカーキ=ツバタを狙った理由は解らないな。とりあえずおいといて、別のダークボトムズを襲わない理由を考えよう。何となくだけど思いついた事がある」

「それは」

「カイマは少なくとも400年は続いている種族で、数百体はいるんだ。ということは他のダークボトムズも、その生態を熟知とまでも言わなくてもよく知っているだろう」

「でしょうね」

「ユーリ、確認したいんだが、カイマの繁殖期ってのはどのくらいの期間なんだ」

「だいたいだが1年続くようだ」

「発情期が1年続く事に驚きだが、逆に言えば他の99年は普通の状態なんだろう。でなければ種族の安全の為に、他のヤツ等に根絶やしにされている筈だ」

「で、結論は」

「他の種族に隔離されているんじゃないかな」
しおりを挟む

処理中です...