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カーキ=ツバタ王国編

その5

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「なごやだなも」

オレの返事を聞いた女王陛下は、目を見開き驚愕の表情をした。あらま、そんなに驚くことだったんだ。

「陛下、女王陛下、如何なされました」

「何でもない、つづけよ」

「……は」

とは言え、話の腰を折りまくってしまったので、何の話をしていたか忘れてしまった、なんだっけ。
あ、文官もそんな感じだな。

「……つまり、あの獣人とは無関係と言いたいのだな」

あ、思い出した。奴らと仲間と疑われてたんだ。

「当然だ」

ずっと黙っていたユーリが口を開いた。オレは驚いて大丈夫かと話しかける。

「ああ大丈夫だ。すまないなクッキー、迷惑だけでなく心配までかけてしまって」

ユーリは顔を上げ文官に向けると、話し始める。

「文官殿、いや女王陛下の親衛隊の方かな、迷惑をかけたな。私の知っていることを全部話そう」

「なぜ私が親衛隊だと」

「文官らしき服を着ているが、物腰と身体つき、それとかもし出す雰囲気かな、それが武官のそれと同じなのと、女王陛下の前に立つのが板についているから、何かあったら身体を張って護る気構えからだな」

ユーリの観察眼に少したじろぐ文官に、オレは当たっているなと直感した。

「まず言っておくが、奴らとは仲間ではないし知り合いでもない。ただ知っているだけだ」

「何者だ、何を知っている」

「奴らは闇の底の住人、いわるゆる[ダークボトムズ]と呼ばれる地の底の住人だ。いわゆる地底人だ」

「ダークボトムズ」

「そして長命族のエルフである私は、数百年を生きている、ここで起こった[100年前の災厄]も知っている。なぜならカーキ=ツバタを建国した初代国王 クワハラと共に戦ったのだからな」

廷内がざわめいた。もちろんオレも驚いた。ユーリが当事者だってぇ。

衛兵達のざわめきはとまらない、そりゃそうだろう、歴史の生き証人が目の前にいるのだから。

静まれ静まれと文官、いや親衛隊の人が言うがなかなか静まらない。

「静かに」

女王陛下のひと言でぴたりと止んだ。さすがだ。

「エルフよ即答を許す、そのダークボトムズとやらは来るのか」

「おそらく」

「ではこれにて閉廷する。衛兵長はすぐさま警戒体制をしき、次の命令を待て。客人は別室で詳しく話してもらおう」

女王陛下はそれだけ言うと立ち上がり、オレ達4人以外の全員が最敬礼している謁見の間を下がっていった。

どうやら風向きが変わってきたようだ。
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