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カーキ=ツバタ王国編

その3

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世界樹の枝から創られたこの躯体は、これまた世界樹に生った実を取り込むことにより、一時的に本体と同じ能力を使える。

木の実を飲み込み、凝縮された[世界樹の生命力]を躯体のすみずみまでいき渡らせる。
これで[世界樹の森]にある全ての植物の能力を使えるようになるのだ。

衣服が破れないように手首の部分から、蔓を生やし伸ばし、鞭のようにカイマを叩く。ユーリの真似だ。

「ギェェェ」

痛み、は動物の行動を萎縮させる。それは人であろうが獣であろうが一緒なのに、なのにコイツらは違った。
まるで痛みを感じない、いや、感じるけど止まらないという感じだ。

オレはようやくカイマ達を観察することができはじめた。

「なんだコイツ、コウモリ人間なのか」

前世で観てた特撮ヒーロー物に出てくる怪人のような姿だった。
頭からオニのような角、目は瞑っている、耳は比較的大きめ、口は人と同じくらい。体格も人並みだ。
体毛は少なく、衣服らしき物は腰の辺りに巻かれている布だけで、足は裸足で人と同じ。
一番の特徴は、脇の下から肘まで生えているコウモリのような翼だろう。

獣人族は何度か見たが、このタイプは初めてだった。
襲ってくる姿には知性を感じられない、人の形をした野生動物、しかも凶暴系だとしか言いようがない。

「クッキー、ユーリ、みんな避難したわよー」

アディの言葉に、オレはコイツらを追っ払うから捕まえるに目的を変えた。

「ユーリ、コイツを捕まえるからしばらく2つ相手にしてくれ」

ユーリは黙って頷くと、怪魔2つを相手にする。

妙だな、やはりユーリの様子が変だ。気にはなるがとりあえず捕獲だ。オレはカイマに向かって蔓を伸ばす。

さっきと違うのは、叩く為でなく捕まえるのが目当てなので、カイマに巻き付ける。
足首から胴体、それからバタバタさせている羽根というか腕に巻きつけて、ようやくおとなしくなった。

あと2つ。

この様子を見て逃げられるかと心配したが、そんなことはなかった。そしてオレはようやく気がついた、コイツらはユーリを襲うのが目的になっていると。

「させるか」

オレは1つ、そしてもう1つも蔓でがんじがらめにして捕獲した。やれやれなんとか終わったか。しかしそれで終わらなかった、ユーリが鞭の握りに仕込んであるナイフをとりだしたのだ。

「お、おい、ユーリ」

オレの言葉を聞くことなく、普段は獲物を仕留める時に使うナイフを、カイマの胸に突き刺す。

「ユーリ、止めるんだ、ユーリッ! 」

オレの止める言葉を聞くこともなく、ユーリは他のカイマも続けて刺し、すでに死んでいるのに何度も何度もカイマ達を刺し続けていた。
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