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カーキ=ツバタ王国編

異世界は本日も晴天

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 抜けるような青い空だった。

 クジラみたいな雲が群れをなして流れていく、ここから見ると海みたいだな。おそらく向こうから見れば、こちらは草原の海に緑の島のように見えるだろう。

 その緑の島、いや森の中にある小さな湖で商隊キャラバンが休んでいた。

「いや~、まさかこんな森の中でこんな美人さんに会えるなんてねぇ、しかも2人も」

その2人の間にいるオレは目に映らないらしい、まあ気持ちはわかる。

「あんたらなら都で流行っているビキニアーマーが似合うだろうなぁ」

「「びきにあーまー? 」」

オレの左隣にいる森の精霊ハイドライアドと右隣にいる森の妖精エルフが、声を揃えて聞き直す。

「知らないのかい、あんなに流行っているのに」

商人は2人(?)が知らないのを驚き、オレも別の意味で知らないのに驚いた。その様子を見たハイドライアドがオレに訊く。

「ねぇクッキーは知っているの、そのびきにあーまーって」

「いやまあ」

オレはどう答えようか迷っていると、商人の仲間が出発の合図を伝えてきたので、挨拶もそこそこに仲間のところに戻っていった。

オレたちが見送って商隊が見えなくなってすぐ、ハイドライアドのアディが、ふたたび訊いてきた。失礼だと知ってはいるが質問で返す。本当に知らないのかと。

「知らないわよ、アーマーは知っているけどビキニなんて聞いたことないもの」

「私もだな。アーマーというからには鎧の類いだとは思うが、ビキニの意味がわからん」

エルフのユーリも知らなかった。

クッキーと呼ばれてるオレは、もともと日本の会社員だったが、流行り(?)の異世界転生とやらで、こっちの世界に樹木として転生した。
そのあと、なんやかんやあって今は世界樹を素材とした木製人形マリオネットの躯体で異世界を生きている。

2人の言葉で何となく理解した。ビキニアーマーは元の世界の創造物で、こちらには無いものなんだ。なぜならビキニはたぶんこちらには無いからだ。

「アディ、ユーリ、この世界では海水浴とか水遊びとかしないのか」

「内陸部だから海水浴は知らないけど、川や湖で水遊びはするわよ」

「どんな格好で」

アディは近くに生えてる蔓を掴むと、念を込めて形作る。蔓を操れるのは森の精霊らしいが、造形のセンスはいまいちな出来で、露出の少ないパジャマのような形をつくる。

「男も女もこれよ。それがどうしたの」

オレも蔓を掴むと念を込めた。

「うわっ」

「きゃあ、なんなのこのイヤらしいのは。下着よりも布地が少ないじゃないの」

蔓でナイスバディの女体を型どり、葉っぱで水着を再現した。やはりビキニそのものを知らなかったか。
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