あげは紅は ◯◯らしい

藤井ことなり

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あげは紅ははかないらしい

その2

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「うわっ、なにするんだ、よせよ、やめろよ、この変態、痴女!!」

さんざん自分がやったコトだろうが、自分のことを店卸し、じゃなかった、棚上げするな!!

「よせって、やめろってば、やめろーーー」

どんだけ抵抗してもムダムダムダムダムダァー
こっちは酔っ払い親父麗しのお父様相手に、何度もズボン脱がしているんだ。

ベルトのバックルに手をかけ起こし、スルッとはずす。
一気にそれを抜くと、ズボンのホックを外してチャックを下ろし、両裾をつかむと勢いよく脱がしてやった。

見事な手さばき、さすが手慣れている。
いや、慣れたくないのだが。

オーツチのパンツは白のブリーフだった。

なんだつまらん。お笑いトランクスとか、ブーメランだったら面白かったのに。

「う、うう、ううう、うわーーーーん」

学生服とシャツで必死に隠しながら、大泣きしだした。なによ、それ。あたしが悪いみたいじゃん。

その時、教室の前扉が空いて、先生が入ってきた。
北方先生だ。

「おーい、すまんが次の授……、なんだなんだ、何してるんだ、お前達!?」

驚く先生の言葉に、客観的に現状を把握すると、
クラス全員が股間をおさえながらうずくまり、教壇ではあたしがオーツチのズボンを持って立っており、そのズボンの持ち主は泣き崩れている……

って、はたから見たら絶対あたしが何かやらかした感じじゃん!!

「せ、先生、これには訳が……」

「紅、お前か、お前がやったのか」

「違います、これはオーツチが……」

その後に続く言葉につまった。

───エンピツモドキで操って一連のパンチラ騒ぎとスカートめくりをさせてたんです───

なんて言っても、信じてもらえるだろうか。
証拠であるエンピツモドキはもう無いのだ。

「せんせー」

情けない鳴き声で、オーツチが訴える。

「紅が、紅が僕のズボンを脱がしましたーーー」

「やっぱりお前か、紅」

やっぱりってなによ、あたしがそんな事にしそうな危険人物だと普段から思ってたというの!?
オーツチもいらんタイミングで本当の事言うな!!

「北方先生、どうかなされましたか」

先生の背後から、さんごちゃん、じゃない、葵先生がひょいと覗き込んできた。

教室なかの光景を見て絶句した後、あたしに目で問う。あんたがやったのと。

そうだけど違うなんとか助けてと、目で返事をすると、了解と返ってきた。

「北方先生、ここは私に任せて保険医を呼んできてください。私は救急処置の心得がありますから、生徒達を診ています」

先生は了解すると、保健室に向かう。
あたしはこの後どうしよう、どうなるのと途方にくれるのだった。
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