あげは紅は ◯◯らしい

藤井ことなり

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あげは紅ははかないらしい

見たいんなら、お前が見せろー

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 片足立て膝にしゃがみこみ、両腕をオーツチの股の間に差し込み、レシーブの体勢をとる。

慌てて下がろうとするが、もう遅い。

くらえ、バレーボール県大会まですすんだ
[二中のミレー]のレシーブを!!

シャアアァァァイニングゥゥゥゥゥ
 レシーーーーブ!!

タマよめり込めと言わんばかりに、全力で股間を打ち上げる。

「!!!!!!」

声にならない悲鳴をあげて、オーツチはうずくまるように倒れこむ。
その前にあたしは後ろに飛び退き、巻添えにならないようにした。

やった、勝った。

身体の自由を取り戻し、勝利を実感した。

みたか、あたしのレシーブを!!
どんなタマだって打ち返せるんだぞ。

「みんな、やったよ」

喜んでタカコの方を見ると、股間をおさえて前のめりにうずくまっていた。

えっ、なんで?

よく見るとカトーちゃん達をはじめクラスの全員が、オーツチと同じように股間をおさえながらうずくまっている光景が飛び込んできた。

なぜなぜなぜなぜそうなった!?

すぐ気がついた、オーツチの痛みがエンピツモドキを通して皆に伝わったのだ。

あちゃあ、とばっちりだぁ

血の気が引いたが、どうしようもない。

あの痛みは乙女には

分からない解らないワカラナイ

そうだ、エンピツモドキなら、あれなら痛みを消せるかもしれない。

うずくまっているオーツチをひっくり返して、エンピツモドキをもぎ取ろうとしたが、むちゃくちゃ痛い筈なのに離そうとしなかった。

「離しなさいよ、それ持っている限り皆に迷惑がかかるのよ」

「い、いやだ……」

蚊の鳴くような声で抵抗する。

両手を使って、全力でもぎ取ろうと踏ん張るが、それでも離さない。

「離せ」

「いやだ」

「離せってーの」

「い、いやだー」

オーツチが、絶叫した時だった。互いに握っていたエンピツモドキが持てなくなるくらい熱くなり、思わず手を離してしまった。

すかさずオーツチは懐に抱え込もうとしたが、その前にエンピツモドキは粉状に、それこそ鉛筆の芯の削りカスの様になって崩れ去った。

「おわあああああ!!!!」

オーツチは、人生が終わったかのような絶叫をしながら、粉をかき集めたがムダだった。

それはもう戻らない。

「このやろう、どうしてくれるんだ、直せよ、戻せよー」

「知らないわよ、あたしのせいじゃないわ」

「いーや、お前のせいだ。直せよ戻せよ、それが出来ないんなら代わりにパンツ見せろよー」

ぷつん

まだまだまだ言うか、さすがにブチキレた。

「そんなに見たいんなら、お前が見せろー」

そう叫ぶと、あたしはオーツチのズボンに手をかけた。
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