あげは紅は ◯◯らしい

藤井ことなり

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あげは紅ははかないらしい

その3

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 放課後、クラスのみんなは、いつも通り帰宅やら部活やらで教室を出ていく。

いつもならあたしもダッシュして帰るのだが、何となく残って、最後まで教室にいた。
何かが引っかかった。しかしそれが分からない、たぶんカンのようなものだとは思うけど、それがモヤモヤして、帰る気分になれなかった。

ぼーっと、散り散りに帰るみんなを見ていると、ひとりの男子と目があった。
あわてて目を逸らして帰っていく男子は、たしか大槌オーツチという名前だったっけ。
いちばん前の真ん中あたりの席だから、あまり話した事はない。
だからあたしはよく知らなかったけど、今の様子だと、向こうはこっちを知っているみたいだった。

タカコなら、どういうコが知っているかも知れないけど、あいにくもう部活に行ってしまっていない。

いつの間にか教室には自分しかいないと気づいて、慌てて帰ることにした。
オーツチのことは、明日にでも訊くことにするか。

 しじみをお迎えすると、途中でたてはが追いかけてきて、一緒に帰る。
しじみにシュシュは学校の規則でつけれないから、腕に着けていると話すと、いいよと言ってくれた。

なんて出来た妹なんだろう、弱冠4歳にして気配りできるこの賢さ。

あたしのぉぉぉぉ、妹はぁぁぁぁ、世界ぃぃぃいちぃぃぃ一!!!!!!

うん、もう認めよう。あたしは妹萌えだ、妹萌え属性だ!!

なんかちょっと拗ねている たてはの機嫌をとりながら帰宅すると、いつもの家事をはじめるのだった。



 両親もはやくに帰ってきて、久しぶりに夜も一家団らんを過ごしていると、スマホに着信があった。究からだ。

リビングから離れて、電話に出る。

「もしもし、どうしたのこんな時間に」

「データの集計が出来たんだ。今から家に来れないか」

ええ!! もう出来たの!?

すぐ行くと言うと電話を切り、お母さんに究のところに行ってくると伝える。

「こんな時間に?」

「すぐ戻るから」

返事も待たずに、あたしはサンダルを履くと、家を出て真正面にある究の家に行き、呼び鈴を鳴らす。
玄関が開くと、制服姿の究が迎えてくれた。

「こんばんは。まだ着替えてないの?」

「さっきまで学校にいて、帰ってきたばかりだからな。上がってくれ、両親ともいないから遠慮はいらない」

「また研究調査旅行なの」

「ああ、帰ってくるのは来週かな」

「食事と洗濯と掃除はどうしているのよ」

「家政婦さんが週2ペースでやってくれている」

究の両親は共に学者で、よく家を留守にする。
お邪魔しますと挨拶すると、そのまま彼の部屋へとすすんだ。
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