あげは紅は ◯◯らしい

藤井ことなり

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あげは紅ははかないらしい

その6

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「なんだとおぉぉぉ」

はっちゃんパパの激怒メーターが、一気に振り切った。

「舞、お前は学校でそんな目にあっているのか」

「ち、違うのぉ  今日たまたまでぇ」

「そ、そうです。その男子は、あたしがちゃんと懲らしめました」

「だからあげは、物事は正確にだ。下ろされたスカートと下着を直して、泣いているところを、僕のコーヒーを飲ませて落ち着かせた、だろう」

もう黙れ、お前はっ!!

しかしもう遅かった。はっちゃんパパは鬼の形相のとなり、代金はいいからすぐ帰ってくれと言われてしまった。
とりつく島もない。ここは素直に帰るしかなかった。

元凶の究は、もっと話をしたいと食い下がろうとしたが、引きずるように連れ出し、帰途についた。

「あげは、なぜ帰らなければならないんだ」

「あんたねぇ、いい加減にしなさいよ。究が余計なことを言うから、はっちゃんパパが怒ったんでしょうが」

「余計なことなどは言ってない。余計とは、事実でない事を余分に言う事だ」

このバカが。間違いを認めないではなく、気づかないから始末におえない。
この間の嫌な予感の正体はこれだったか。

「なあ、今からでも戻って話を聞けないかな」

「行くなら一人で行ってね、もう究とは行かないから」

「そんな。なんでだよ」

「それが分からないからよ!!」

家に着くまで、一緒に行ってくれと頼まれ続けたが、無視した。おやすみとだけ言って家の中に入る。反省しろ、バカ究。

「お帰りなさい、ってどうしたの。なにかあったの」

「べつに。なんでもない」

不機嫌なのが顔に出てるのはわかる。ごめんお母さん、あとで謝るから八つ当たりさせて。

2階にある自分の部屋に入ると、部屋着に着替えてベッドにダイブした。

はっちゃんに悪いことしたなぁ、メールしてみようか。でも今怒られているかもしれないしなぁ、とにかく謝らないと。

ゴメンねはっちゃん、究がバカで。

ゴメンねはっちゃん、あんなのに会わせちゃって。

心配して、部屋の前から声をかけるお母さんに、なんでもないと言うと

「今日ね、しじみ達と外で食べてきたの。それで、しじみがあげはにプレゼントだって買ってきたのがあるから、あとで見てあげてね」

何かを部屋の前に置いた音と、階段を降りていく足音を聴きながら、枕に顔を埋めていた。

だめだ、なんにも考えられない。
もう寝てしまおう。

灯りを消して、あたしはそのまま目を閉じる。

明日は良いことが起きますように、と願いながら布団の中に潜り込んだ。

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