あげは紅は ◯◯らしい

藤井ことなり

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あげは紅ははかないらしい

その3

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「やっぱさぁ、あげはって履いてないんじゃない」

最後のひと皿に玉子を選びながら、タカコが言うと

「そんなこと無いでしょ。体育の時、ふつうに着替えてたじゃん」

抹茶アイスを食べながら、カトーちゃんが答える。

「んー、でも、スカート着けたままスパッツ履いてたから、よく分かんないのよね~」

「ノーパンで学校に来るヤツなんていないわよねぇ、ビトーちゃん」

「その質問はビトーちゃんに訊かないで。カトーちゃん」

「あ、ゴメン。刺激がつよすぎた?」

真っ赤になってうつ向くビトーちゃんの隣にいるムトーちゃんが、フォローする。

「真っ赤になったビトーちゃんも可愛いです」

「ムトーちゃんは、ビトーちゃん好きだねえ。なにやっても可愛いって言うんだから」

カトーちゃんのからかい気味の言葉に、ドギマギするムトーちゃん。

「話を戻すわよ。あたしはやっぱり、あげはは履いてないと思う。そうじゃなきゃあんなに拒まないじゃん」

「んじゃまあ、それでいいんじゃない。あげはは履いてない、はい、決定」

というような会話が、シューガールの集会であったらしい。

シューガールというのは、タカコをリーダーとするチームで、

佐藤タカコ
加藤ジュリナ
尾頭アリサ
そしてクラスは違うが、タカコと同じ剣道部の
武藤ナデシコ

砂糖と加糖と微糖と無糖で、シュガーのガールで、シューガールだそうな。ムトーちゃんが仲間外れな気がするが、気にしないでおこう。

 ともかく、シューガールの行きつけの回転寿司屋ブシドーで、そんな会議? が、行われたらしく、いつの間にやらあたしは[ノーパンチャレンジ]をしているという話になっていた。

もちろん、あたしは一切知らない。

ただ、いつからかクラスの連中だけでなく、校内のすれ違う生徒からも、やたらと腰回りを見られているなとは感じていたし、なんかひそひそと噂されているのは、気になっていた。

「ねぇタカコ、なんか最近変じゃない」

「なにが」

「なんか、あたしがウワサの的になっている気がする」

休憩時間に、相変わらず女子達がチラ見せ合っているのを横目で見ながら、キョドっているタカコに話しかけてみる。

「そ、そ、そ、そうかな、ふ、ふ、ふ、ふつうじゃないかな」

「タカコ、あんた詐欺師と女優になるのだけはやめときな。さあ、洗いざらい知っていることを話してもらおうか」

「な、な、な、なんのことかな」

「……カトーちゃん、タカコを偽証罪で告訴したいんだけど、受理してくれる?」

「執行猶予つけてくれるんなら、受理するわよ」

「う、う、う、裏切り者ーーー」

カトーちゃんは、シューガール会議の内容を話してくれた。なにぃ、あたしが[ノーパンチャレンジ]してるってぇぇぇ

おいおいおいおいおいこらおい

どうしてくれるんだ、乙女のイメージ傷つけやがって。

「いやその、らしいよって、ちょっと話したらいつの間にかこんなに広まっちゃって」

「広まっちゃって、じゃないでしょう。どうしてくれんのよ」


「だからちょろっと、パンツ見せてくれれば、間違いだって、みんなわかるから」

「学校中をパンツ見せて歩けっていうの? できるわけ無いじゃん、どうしてくれんのよ」

平謝りするタカコを見ながら、あたしは頭をかかえてしまったのだった。

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