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護衛対象はキケンな男の娘 短編

残りは?

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 ハジメは警護対象を保護して、自分たちは六階に向かうことを本部に伝える。

「この人たちどうするの」

葵の質問に、千秋がポケットから取り出した物で答える。

「結束バンドー」

「ド○えもんか、ていうか何でそんなモン持ってるのよ」

「葵がいうところの小ズルい人からのアイデア。総務から借りてきたの」

 倒した五人全員を、手錠がわりに後ろ手で親指どうしを結束バンドで締める。

「とりあえずこんなとこね。あとはハジメのお仲間にまかせましょ」

 千秋、葵、夏生、ハジメの順にエレベーター前に移動すると上のボタンを押して到着を待つ。その間に現状を整理した。

「千秋はともかく、鎧武の連中がなんでここにいるのよ」

ハジメの質問に、葵がこたえる。

「わからないわね。ここに来るのを決めたのは高速道路にいた時だから、私達三人と警察関係者しか知らないはずよ」

「じゃあ警察内に鎧武のメンバーがいるとか」

「それは絶対無い!」

千秋の意見にハジメは噛みつくように反論する。

「そんなに怒んないでよ、あらゆる可能性を出してひとつづつ潰していってるだけなんだから。悪かった、撤回するわ」

千秋が謝ると、夏生がハジメを援護するように言う。

「アタシもそれは無いと思います、鎧武のメンバーは若いコばかりだから」

「ん? ナッキーだっけ、自己紹介遅れたわね。私はユカ、身元はこの二人が保証するわ、よろしく」

「はじめまして、えーっと……」

本人はユカといい、ハジメが千秋と呼ぶからどう呼べばいいか分からずにいるらしい。それを察した千秋はユカと呼んでと言う。

「あらためて訊くけど、ナッキーは鎧武のこと知ってるみたいだから、教えてくれないかな。とりあえず襲ってきた連中のことは知ってる?」

「はい。鎧武の実行メンバーです。タクヤは組織全部のことは教えてくれませんが、色々な担当チームに分かれているとは言ってました。荒事をやる実行メンバー以外は目立たないようにチームカラーは付けてないけど、彼らだけは付けてるって」

「ふーん。葵、ハイエースって何人乗れるの?」

「えっと、業務用なら九人くらいかな。ゴメン、キャラバンならそうだけどハイエースは知らないわ」

「ハジメ、上に一台いたのよね。となると、合わせて二台。合計十八人、ここで五人倒したからあと十三人」

「上で一人倒したわよ」

「そこにドライバーもいるだろうから、二人引いて十一人か。まだそれだけいると考えて行動しましょ」

「まだそんなにいるの」

「実際はもっと少ないと思うけど、油断しないためにね。ハジメはナッキーの警護が任務なんでしょ? 私は葵を担当するわ」

 そこまで話したところでエレベーターが到着する。四人は乗り込むと急いで閉ボタンを押した。
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