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護衛対象はキケンな男の娘 短編
ファイナルステージへ
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ほどなくして戻ってきた葵監察官から、相手から了承を得たと告げられ特捜内から喜びの声がもれる。
「本部より小山へ。相手側からの了承ももらった」
「小山より本部へ。了解しました、皆さんの協力に感謝します」
通信を切るとキャラバン車内はホッとした空気になる。
「ケイ、もう話していいわよ」
やりとりの間通話中にしておいた葵のスマホから声がもれる。
「さすがねぇ、警察の方針を変えさせるなんて」
「ケイが出したアイデアでしょうが」
「絵に描いた餅を食べられる餅に変えたのはアンタよ。やっぱり政治家になりなさいよ」
「気が向いたらね。それより夏生くんに言っておかないといけないことあるんだ」
「なんですか葵先生」
山王JCTを右に曲がりながら、前を向きつつ葵は話し続ける。
「お父様の友人であるトーマスという方は、同じく上昇志向の人でね、夏生くんが数学の天才というふれこみで話してあるの」
「ええー」
「いやらしい話だけど、可哀想だけでは人は助けてくれないわ。メリットがある時でないと動いてくれないの」
「どうなるんです、アタシ。どうすればいいんですか」
「私とハジメがついてるから大丈夫。うまく話してあげるわ。トーマスさんに気に入られればアメリカでの後ろ盾ができるから、上手くいけば永住権手に入れられるかもしれないわよ」
「本当ですか」
「まだあんまり期待しないでね。これからの交渉次第だから」
錦橋出口を降りて、錦通りを左折。堀川沿いに北上して桜通りを越え、細道を通って国際センタービルの地下駐車場に入る。
「目的地到着。やったね葵」
「そうね。あとは六階に行くまでよ」
駐車場内を駐めるところを探しながらまわると、ハジメの警戒センサーがふたたび鳴った。理由はわからない、だがダンプカーで襲われたときと同じく鳴り出した。
「葵、駐車せずにエレベーター前に横づけして。クルマは先輩達に任せてすぐに降りてエレベーターに乗るよ」
ハジメの真剣な言葉に驚いたが、すぐにそのとおりにする。
「小山より全局へ。警護対象ふたりを地下駐車場エレベーターから六階へ向かいます。用心のため横づけしますので車両の駐車お願いします」
エレベーター前に横づけしたキャラバンはニュートラルにしてサイドブレーキを入れ、キーをつけたまま三人は降りる。
わずか数メートルである──わずか数分のことである──
物陰に隠れていた見覚えのある隊服を着た男二人が、走ってきた。
同時に駐車されていたクルマが、黒のハイエースが動き出す。
「鎧武の連中?! なんで先回りしてるのよ?!」
「本部より小山へ。相手側からの了承ももらった」
「小山より本部へ。了解しました、皆さんの協力に感謝します」
通信を切るとキャラバン車内はホッとした空気になる。
「ケイ、もう話していいわよ」
やりとりの間通話中にしておいた葵のスマホから声がもれる。
「さすがねぇ、警察の方針を変えさせるなんて」
「ケイが出したアイデアでしょうが」
「絵に描いた餅を食べられる餅に変えたのはアンタよ。やっぱり政治家になりなさいよ」
「気が向いたらね。それより夏生くんに言っておかないといけないことあるんだ」
「なんですか葵先生」
山王JCTを右に曲がりながら、前を向きつつ葵は話し続ける。
「お父様の友人であるトーマスという方は、同じく上昇志向の人でね、夏生くんが数学の天才というふれこみで話してあるの」
「ええー」
「いやらしい話だけど、可哀想だけでは人は助けてくれないわ。メリットがある時でないと動いてくれないの」
「どうなるんです、アタシ。どうすればいいんですか」
「私とハジメがついてるから大丈夫。うまく話してあげるわ。トーマスさんに気に入られればアメリカでの後ろ盾ができるから、上手くいけば永住権手に入れられるかもしれないわよ」
「本当ですか」
「まだあんまり期待しないでね。これからの交渉次第だから」
錦橋出口を降りて、錦通りを左折。堀川沿いに北上して桜通りを越え、細道を通って国際センタービルの地下駐車場に入る。
「目的地到着。やったね葵」
「そうね。あとは六階に行くまでよ」
駐車場内を駐めるところを探しながらまわると、ハジメの警戒センサーがふたたび鳴った。理由はわからない、だがダンプカーで襲われたときと同じく鳴り出した。
「葵、駐車せずにエレベーター前に横づけして。クルマは先輩達に任せてすぐに降りてエレベーターに乗るよ」
ハジメの真剣な言葉に驚いたが、すぐにそのとおりにする。
「小山より全局へ。警護対象ふたりを地下駐車場エレベーターから六階へ向かいます。用心のため横づけしますので車両の駐車お願いします」
エレベーター前に横づけしたキャラバンはニュートラルにしてサイドブレーキを入れ、キーをつけたまま三人は降りる。
わずか数メートルである──わずか数分のことである──
物陰に隠れていた見覚えのある隊服を着た男二人が、走ってきた。
同時に駐車されていたクルマが、黒のハイエースが動き出す。
「鎧武の連中?! なんで先回りしてるのよ?!」
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