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護衛対象はキケンな男の娘 短編

高速道路交通警察隊

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 すぐにメールの着信があったので葵はスマホをハジメに渡し、それを夏生に見せる。
 夏生はそれを見ながら自分のスマホを操作して振込手続きをするが、走行中なのでなかなか入力ができない。ハジメがふと窓から外を見ると、すでに丸の内の料金所を過ぎていた。

「ちょ、ちょっと葵、丸の内過ぎてるよ」

「知ってる」

「本部に行くんじゃなかったの」

「そのつもりだったんだけど、料金所で減速してる時にまたぶつけられるかもしれないから、変更したわ。これを狙ってやったんならタクヤってコ、なかなかやるわね」

 たしかにその可能性がある。さらに情報社会の世の中、一般道に降りたら連絡を受けた鎧武のメンバーがまた襲ってくるかもしれない。

「どうするの」

「もう手を打ってあるから大丈夫よ。──来たみたいね──」

 仕事柄よく聴く高音のサイレンが耳にとどいてきた。後ろを見ると、しつこく追いかけてくる並走したレクサス、その後ろから白バイが一台……いや、二台、三台、四台──だけじゃない、パトカーも編隊を組んでやってくる。

「高速道路交通警察隊!!」

まるで名古屋中の白バイとパトカーが集まったような大編隊だった。
 白バイ隊はレクサスを難なく追い抜き、自分たちのキャラバンとの間に入って横一列に並び減速し始める。
 さらに前を見ると、目前の東片端JCTにはパトカーによるバリケードと検問ができていた。
 誘導に従いキャラバンはバリケードを越えるとすぐさま道がふさがり、レクサスは完全に取り囲まれて停車するしかなかった。

 一台だけついてきた白バイの指示に従いキャラバンは路肩に停車する。
 前に停車した白バイから警察官がおりてきて、窓を開けるよう手振りをするから葵はそのようにすると、笑顔でお疲れさまと応えた。

「さんごさん、ご無事で何よりです」

「貴方を担当させてくれるなんて、お父様も粋な計らいするじゃない」

「自分が名乗り上げたんです。それより一体どうしたんです、半グレに追いかけられるなんて」

「きいてないの」

「知りませんよ。本部から最優先事項として交通部だけじゃなく手の空いてる警察官全員ここに向かうように命令されたんですから」

「へえー、お父様もなかなかやるじゃない」

──やり取りからすると二人は知り合いらしいけど、どうしてこうなったかハジメも知りたかった。

「よし、振り込んだわ、おねーさま」

夏生の言葉に我に返り、自分のスマホが着信していることに気がついた。取り出して相手を確認すると浅間少年課長課長からだった。

「はい、小山です」

「おお、小山、無事だったか。現状は?」

ハジメは高速道路であった出来事を報告する。
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