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護衛対象はキケンな男の娘 短編
図太い寝業師
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──しばらくして御器所がやってきた。
リーゼント頭をボリボリと掻きながら、ダーク系のスーツに緩めたネクタイ、前から思っていたが昔ブームを起こしたグルメ漫画の主人公に似てるなとハジメはあらためて問題の男を観察する。
「遅いぞ御器所」
「すんません課長、ちょっと野暮用があったので」
「また裏工作か。小山から聞いたぞ、狂言だったの話してなかったそうじゃないか、どうしてそんな事をしたんだ」
「我々は君が話すと言うから、知っているものだと思っていたぞ」
両課長からの叱りもどこ吹く風という感じで動じない。
──図太い──
この寝業師は意外と底が深いかもしれないとハジメは認識を改める。
「それに関しては今から説明します。状況が変わりましたから」
「状況が変わった?」
「後で説明します。まずは小山に話さなかった理由ですが……、そうだな、最初から話したほうがいいか」
いつも通り小山の隣に座り、少し斜めに向いて三人に話しはじめた。
「ことの始まりは、江分利組の矢島が俺に連絡してきたことからです。[坊ちゃんに殺害予告が届いた、警察で守ってくれ]って。
小山、お前も会ったことあるだろう。ひょろ長いノッポでトサカみたいなリーゼントの間抜け面のヤツ、あれが矢島だ」
昨夜、夏生くんと半グレリーダーに割って入ったアイツだなとハジメは頷く。
「妙なことを言うなと思いました。そういうことは身内で片付ける連中が何故と。いちおう確認をとったら江分利組が慌ただしい、半信半疑で課長に報告した」
御器所が鶴舞課長を見る。
「たしかにな。正直冗談だろうと思ったよ、だからさらに調べるように言ったな」
「正式に命令をもらった俺は、矢島からさらに話を訊いた。それで坊ちゃんがFX取引で資金を稼いで、矢島名義で上納しているカラクリを知ったんだ。
それなら殺害予告がきてもおかしくないし、ここしばらく動きが活発になってた江分利組の活動資金源の理由も納得できた。実際に坊ちゃんに会って稼いでるところも見せてもらったので、俺も本当だと思ったよ」
「ちょっと待ってください、夏生くんに会ってたんですか。学校で初めて会ったみたいだったじゃないですか」
ハジメの質問に、御器所が頭を掻きながら答える。
「その時は少年の格好だったんだよ、まさか女装癖があるなんて知らなかったから驚いたんだ。話を続けるぞ」
とりあえず納得してハジメは黙った。
「課長に分かった事を報告して、二課と少年課も絡んでくるなと想定して連携をとる準備をしてもらい、俺は警護する旨を矢島に伝えたよ。そうしたら、それならハジメちゃんがいいハジメちゃんじゃなきゃヤダって返ってきやがったんだ」
リーゼント頭をボリボリと掻きながら、ダーク系のスーツに緩めたネクタイ、前から思っていたが昔ブームを起こしたグルメ漫画の主人公に似てるなとハジメはあらためて問題の男を観察する。
「遅いぞ御器所」
「すんません課長、ちょっと野暮用があったので」
「また裏工作か。小山から聞いたぞ、狂言だったの話してなかったそうじゃないか、どうしてそんな事をしたんだ」
「我々は君が話すと言うから、知っているものだと思っていたぞ」
両課長からの叱りもどこ吹く風という感じで動じない。
──図太い──
この寝業師は意外と底が深いかもしれないとハジメは認識を改める。
「それに関しては今から説明します。状況が変わりましたから」
「状況が変わった?」
「後で説明します。まずは小山に話さなかった理由ですが……、そうだな、最初から話したほうがいいか」
いつも通り小山の隣に座り、少し斜めに向いて三人に話しはじめた。
「ことの始まりは、江分利組の矢島が俺に連絡してきたことからです。[坊ちゃんに殺害予告が届いた、警察で守ってくれ]って。
小山、お前も会ったことあるだろう。ひょろ長いノッポでトサカみたいなリーゼントの間抜け面のヤツ、あれが矢島だ」
昨夜、夏生くんと半グレリーダーに割って入ったアイツだなとハジメは頷く。
「妙なことを言うなと思いました。そういうことは身内で片付ける連中が何故と。いちおう確認をとったら江分利組が慌ただしい、半信半疑で課長に報告した」
御器所が鶴舞課長を見る。
「たしかにな。正直冗談だろうと思ったよ、だからさらに調べるように言ったな」
「正式に命令をもらった俺は、矢島からさらに話を訊いた。それで坊ちゃんがFX取引で資金を稼いで、矢島名義で上納しているカラクリを知ったんだ。
それなら殺害予告がきてもおかしくないし、ここしばらく動きが活発になってた江分利組の活動資金源の理由も納得できた。実際に坊ちゃんに会って稼いでるところも見せてもらったので、俺も本当だと思ったよ」
「ちょっと待ってください、夏生くんに会ってたんですか。学校で初めて会ったみたいだったじゃないですか」
ハジメの質問に、御器所が頭を掻きながら答える。
「その時は少年の格好だったんだよ、まさか女装癖があるなんて知らなかったから驚いたんだ。話を続けるぞ」
とりあえず納得してハジメは黙った。
「課長に分かった事を報告して、二課と少年課も絡んでくるなと想定して連携をとる準備をしてもらい、俺は警護する旨を矢島に伝えたよ。そうしたら、それならハジメちゃんがいいハジメちゃんじゃなきゃヤダって返ってきやがったんだ」
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