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護衛対象はキケンな男の娘 短編

プチ同窓会

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 帰宅時間となり、昨日のやり取りをリプレイするような感じで夏生を校門まで連れて行く。
 昨日と同じ若い衆が黒塗りセダンの前で待っている。さっき御器所と話してたヤツラだとハジメは確認すると、ついでに御器所がとこにいるかをあたりを見回す。

「ちゃんといるよ、そう険しい顔をするな」

 またもや背後から現れたので意表を突かれる。

「午後五時五分、警護任務終わりました」

「お疲れ様。じゃあカイシャに戻るか」

「はい」

 昼間の一件とここしばらくの不信感が募り、ハジメはよそよそしい態度となってしまう。
 覆面パトカーに乗り、県警本部に戻ると報告書を書いて提出。受理されて帰宅となる。
 その間、御器所とはほぼ口をきかない。ハジメは好き嫌いがそのまま出てしまう。
 そんなハジメを見ながら御器所は頭をボリボリと掻くのだった。

※ ※ ※ ※ ※

 翌、水曜日も、その次の木曜日も、判を押したように同じ日々が続く。
 変わったことといえばハジメが夏生に対しての嫌悪感が無くなり、話をするようになったということだろうか。

「じゃあ数学が好きになったのは、小学校の時の先生のおかげなんだ」

「うん、初めて三平方の定理を解いたときに、夏生には数学の才能があるなって褒められたのがきっかけ。フェルマーの定理は解かれちゃったけど、他の証明されてない数式を解くのが夢なんだ」

 その後、ゼータ関数がどうのとか虚数の存在意義とか色々と言われたが、ハジメには理解できなかった。
 ただ分かったのは、江分利夏生は本心で数学者になりたいということだった。

※ ※ ※ ※ ※

 木曜の夜、ハジメは親友のひとりである佐野千秋相手に、居酒屋でくだを巻いていた。

「ほんっとにさぁ、企むヤツって腹立つよねぇ」

 中ジョッキの生ビールを豪快に呑むハジメを見ながら、千秋はうんざりしていた。
 そこへ葵とともに鏑井蛍がやってくる。

「遅いわよケイ、何してたのさ」

「ゴメンゴメン、ちょっと仕事が長引いちゃって」

 千秋の文句を受け流しながら、蛍は千秋の横に座り、葵はハジメの横に座る。
 桃の酎ハイとウーロン茶を頼んでから、あらためて乾杯した。

「久しぶりねー、四人揃うのって高校卒業して以来かしら。葵は今なにやってるの」

 千秋が白ワインを飲みながら言う。

「いちおうOLになるかな。千秋は?」

「同じくOL」

「貴女がOLねぇ。似合わないわよ」

「どういう意味よ。葵だって似合わないわよ、どっちかっていうと官僚向きじゃない」

 高校時代、生徒会長で凛とした姿の葵はそれこそ官僚というよりは政治家のように生徒たちをまとめていた。
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