佐野千秋 エクセリオン社のジャンヌダルクと呼ばれた女

藤井ことなり

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護衛対象はキケンな男の娘 短編

違和感

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 授業が始まり、名残惜しそうに戻る夏生を見送ると、ハジメは職員室へと行く。

「失礼します。葵先生はおみえですか」

「今日は来てないですよ」

「え?」

 警護の交代として来ているハズなのに……、朝から姿が見えないと思ってはいたが、まさか来てない?!

 ハジメはすぐに連絡とろうとしたが、あいにく携帯番号もメアドもきいてなかった。
 北方先生に訪ねてみたが知らないという。
 ならばと共通の知人である千秋に連絡する。

「あ、千秋? 仕事中にゴメンね。……うん、元気でやってるよ……、それより訊きたいんだけど、葵のこと覚えてる? ……そう高校時代の……携帯番号知らないかなと思って……、そう、知らないか……うん、ケイに訊いてみる、ありがと、それじゃ」

 すぐさまケイこと鏑井蛍の携帯番号にかけてみるが出ない。カブライスポーツジムのオーナー兼トレーナーだからレッスン中かもしれないと思い、ジムに連絡して連絡をくれるように頼む。

「さて……」

 そろそろ生理現象がこの場を離れろと警鐘を鳴らしはじめる。
 言うのが恥ずかしいが仕方ない、外にいる御器所に連絡して代わってもらうのを頼むことにした。

「どうした小山……代わってほしい? なんでだ……なんだションベンか、行ってこい、外でちゃんと見張ってるからだーいじょーぶだよ」

そう言われて切られてしまった。
 デリカシーも緊張感も無いな!! 怒鳴りつけたかったが、生理現象には逆らえない。ハジメは急いでトイレに向かい、体内の水分量を減らしてひと息つく。

 手を洗っている最中にスマホが震えた。相手を確認するとケイからだった。

「ゴメンねハジメ、レッスン中だったもんで。それで用件はなに? ああ葵の携帯番号ね、知ってるよ、じゃあそっちにメールしておくわ」

 簡素簡潔なやり取りなのは、ハジメの仕事を知っているからで、ケイなりの気遣いなのだろう。
 すぐにメールが届いて、その番号にかける。が、出ない。
 今度はメールしたところ、ようやく返事が返ってきた。

「ああハジメだったの、よく分かったわね……そうケイから訊いたの……うん、今日は行かないわ……何でって、聞いてないの……そう御器所さんから来なくていいって言われたから……そうよ、昨日のお昼過ぎに話しをして、その後だったかな、明日から来なくていいって言われて……聞いてないんだ……」

 通話を切ってすぐに外に向う、校門前に居なかったので覆面パトカーに行くがそこにもいない。
 外周を走りまわってやっと見つけた御器所の姿は、江分利組のヤツラと談笑しているところだった。
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