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ジャグジーの誓い 短編

その4

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「シてない、シてないってば。一緒にジャグジーに入ってるだけ」

 必死に誤解を解く千秋の言葉も蛍の耳には届かない。

「でもスルつもりだったんでしょー、ご褒美とかなんとかいって……」

「いや、ご褒美とかじゃなくて」

 信頼の証ですと言いかけた一色に蛍が睨みつける。

「なによ、千秋の裸じゃご褒美にならないっていうの!! 私が組んだメニューで最高のスタイルに仕上げたこの身体に魅力がないっていうの!! アンタなんか不合格よ、取り消しよー」

「いや、そうじゃなくて……。ボス、どうしましょう」

 困った一色は千秋に顔を寄せて小声で話す。

「とりあえず状況を変えましょう。一色くんはロッカーまで行って着替えてきて。その間に私が説得するから」

 ついでに私の服も持ってきてとロッカーキーを渡されると、千秋はジャグジーから出て蛍に寄り添う。
 風邪をひかれないように、急いでロッカールームに向かい、雑に身体を拭いて着替えると、千秋の荷物を取り出して全部持って戻る。

 トートバッグから覗いていたタオルをとりあえず千秋に羽織らせた。

「ありがと。ね、ケイ、本当にこのコとは男女の関係じゃないから、信じて」

「あんなコトしてて何を信じろというのよ」

「だからそれは……」

 ちらりと一色を見たので、千秋が何を言い淀んでいるのかを察し、代わりに言葉を続ける。

「鏑井さん、ボクはゲイなんですよ。だからそんな関係じゃないんです」

「──はあぁぁぁ?! よくもそんな見え透いた嘘が言えるもんねぇぇ。そんなので私を騙せるとでも思ってるの」

「本当よケイ、このコはゲイなの。だから安心して」

「千秋まで私を騙そうとするー」

 本当だと二人して言うのだが蛍は信じなかった。
 性癖などというものは自分にしか分からない、他人には自己申告で伝えるしかないのだ。
 たった今、二人で楽しそうに全裸でいるのを目撃したばかりの蛍は到底受けいられなかった。

 どうしたものかと考えた一色は、思い余ってスマホを取り出し画像を蛍な見せる。

「鏑井さん、これを見てください」

 目の前に出されたスマホを見るもんかと目をそらそうとしたが、目端に気になる画像が飛び込んできたので見直す。

「え? え⁉ えー!!」

 蛍の驚き様に千秋も覗き込み、同じく驚く。
 それは男同士の、それも美形男子同士のセクシーな絡みの画像だった。
 そしてフィルター加工はしてあるが、片方は間違いなく一色である。

「一色くん、これって……」

 千秋の問いかけに慌てて説明する。

「決していかがわしい仕事をした訳ではなくて、頼まれて恋人とモデルをしたときのものです。今は元恋人ですが」
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