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佐野千秋の休日 西南奔走
その4
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サクマはすぐさま右足を受けの構えをとる、鈍い痛みが走る、次に顔のすぐ横に腕で防御する、こちらにも痛みが走った。
「へえ、さすがにやるわね」
ティーは間合いの外で軽くステップしながら話しかける。
「足クセの悪い女だな、育ちが悪いだろ」
「アンタよりはマシだと思うけどね」
ティーは右に行くというフェイントをかけたあと、すぐさま左に行くふりをしてかがんでサクマの視界から消え、そのまま右足でローキック、防がれた瞬間に回転しながら顔めがけてハイキックに移ったが、それも防がれてしまったのだ。
ステップを踏みながら、ティーはサクマを観察する。
身長は185くらいか、届きはするけど少々骨が折れるな。
体型は小兵の相撲取りくらいだけど、筋肉と脂肪が厚くてやっかいだな、あたしの打撃では効かないかもしれない、さて、どう攻めるか……
先制攻撃をされて、サクマは油断を完全に棄ててしまったようだ。空手の三戦《さんちん》の構えをとった。
様になっている、さすが有名大学に推薦入学しただけのことはある。
攻め方を決めたティーは、こちらも構えてじりじりと間合いに入っていく。
それからなんと5分も、お互い動きを止めず攻撃を繰り出しあっていた。
サクマの一撃でも当たれば、ノックアウトされる攻撃をかわしながら、ティーは一撃必殺の急所狙いの攻撃を繰り出す。
何度か当たってはいるが、ぶ厚い身体がその衝撃を緩和させて決め手にはならない。
撮影しているケーも、固唾を飲んで見守っているしかなかった。
たまらなくなったのか、ティーは一旦距離をとる。
「はぁはぁ、なかなかや…やるじゃ…ねえか」
「もう…息が…あがっている…わよ…」
「てめえ…もな…」
しばらく睨み合っていたが、先に息をととのえたティーが、ふたたび攻撃にうつる。
息を吐いたタイミングでこられたので、サクマは隙をつかれた感じになったが、さすがは百戦錬磨らしくすべて防いで、今度はサクマが間合いをとった。
「あきらめたよ」
「なにをさ」
「わりと上玉だったから無傷で手に入れようと思ってたが、こんなじゃじゃ馬じゃシツケが必要だよな。腕か脚が、そうだなそのクセの悪い脚を折らせてもらうぜ」
「[オレはまだ本気になっていないぜ]って言いたいの? 少年マンガの読み過ぎよ」
「はん、リアルの方が面白ぇんだよ! お前たちにも楽しい思いさせてやるぜ」
そのまま、無言でサクマは踏み込む。
はやい!!
あっという間に間を詰められて、すぐさまティーは飛び退いたが、間に合わず右ストレートが左肩にヒットする。
飛び退いた分、威力が弱まって致命傷にはならなかったが、よろけて倒れる。
その隙を逃さず、サクマはティーの足首を掴んで、持ち上げた。
「さぁて、イッボン逝っておくか」
サクマの顔に笑みが浮かんだ……
「へえ、さすがにやるわね」
ティーは間合いの外で軽くステップしながら話しかける。
「足クセの悪い女だな、育ちが悪いだろ」
「アンタよりはマシだと思うけどね」
ティーは右に行くというフェイントをかけたあと、すぐさま左に行くふりをしてかがんでサクマの視界から消え、そのまま右足でローキック、防がれた瞬間に回転しながら顔めがけてハイキックに移ったが、それも防がれてしまったのだ。
ステップを踏みながら、ティーはサクマを観察する。
身長は185くらいか、届きはするけど少々骨が折れるな。
体型は小兵の相撲取りくらいだけど、筋肉と脂肪が厚くてやっかいだな、あたしの打撃では効かないかもしれない、さて、どう攻めるか……
先制攻撃をされて、サクマは油断を完全に棄ててしまったようだ。空手の三戦《さんちん》の構えをとった。
様になっている、さすが有名大学に推薦入学しただけのことはある。
攻め方を決めたティーは、こちらも構えてじりじりと間合いに入っていく。
それからなんと5分も、お互い動きを止めず攻撃を繰り出しあっていた。
サクマの一撃でも当たれば、ノックアウトされる攻撃をかわしながら、ティーは一撃必殺の急所狙いの攻撃を繰り出す。
何度か当たってはいるが、ぶ厚い身体がその衝撃を緩和させて決め手にはならない。
撮影しているケーも、固唾を飲んで見守っているしかなかった。
たまらなくなったのか、ティーは一旦距離をとる。
「はぁはぁ、なかなかや…やるじゃ…ねえか」
「もう…息が…あがっている…わよ…」
「てめえ…もな…」
しばらく睨み合っていたが、先に息をととのえたティーが、ふたたび攻撃にうつる。
息を吐いたタイミングでこられたので、サクマは隙をつかれた感じになったが、さすがは百戦錬磨らしくすべて防いで、今度はサクマが間合いをとった。
「あきらめたよ」
「なにをさ」
「わりと上玉だったから無傷で手に入れようと思ってたが、こんなじゃじゃ馬じゃシツケが必要だよな。腕か脚が、そうだなそのクセの悪い脚を折らせてもらうぜ」
「[オレはまだ本気になっていないぜ]って言いたいの? 少年マンガの読み過ぎよ」
「はん、リアルの方が面白ぇんだよ! お前たちにも楽しい思いさせてやるぜ」
そのまま、無言でサクマは踏み込む。
はやい!!
あっという間に間を詰められて、すぐさまティーは飛び退いたが、間に合わず右ストレートが左肩にヒットする。
飛び退いた分、威力が弱まって致命傷にはならなかったが、よろけて倒れる。
その隙を逃さず、サクマはティーの足首を掴んで、持ち上げた。
「さぁて、イッボン逝っておくか」
サクマの顔に笑みが浮かんだ……
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