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第1部
そういや大縄跳び苦手だった
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名古屋市丸の内にある、森友財団の支社の会議室で、一色天馬は自分でなくなっていた。
屈託無く爽やかで物怖じしない彼であったが、今日ばかりは違うようで、どうしようかと思案の真っ最中である。
出掛けに遅れはしたが、それでも開始10分前には到着していた。
しかし、相手の群春物産はすでに到着していて、森友側の課長と談笑の最中であった。入室して挨拶すると、通りいっぺんの言葉をかわした後、ふたたび談笑に戻る。一番下の芝原という社員が話しかけるが、係長にすぐとめられてしまう。
一色は不安を感じた。そんな一色に森友の課長が声をかける。
「エクセリオンさんは、あの女性の方は来られないのですか」
「は、佐野でないと出来ない仕事がありまして、少々遅れます」
「困りますなぁ、時間は守ってもらわないと。何しろコンペが延びたのはその方のお陰なんですから」
「そのむねは、時間変更のお電話を頂いたときに、お伝えしましたが」
「知らんよ、私は聞いてない」
えっ、という顔をする芝原を見て、一色はさらに不安になった。これは間違いなく出来レースだなと。
開始時間になった、千秋はまだ来ない。それではと芝原が開始の宣言をした。
先手は群春からだった。取り扱う商品は変わらなかったが、価格が違った。前回はエクセリオン側より2割安かったのだが、今回はなんと5割、つまり半額でやるというのだ。一色は慌てた。
さすがに森友側も心配になり、大丈夫なのかと念を押す。
「大丈夫です、さらに新たなルートを開拓しました。買い付けたはいいが、売れずに困っているブローカーを見つけまして、それでこの価格にすることが出来ました」
それを聞いて、一色はあっと思った。
おそらくではあるが、先週の金曜にサトウ課長から聞いた話を、キジマが鵜呑みしたのだろう。それを元に作られた資料を、確認せずにそのまま使っている。そうでなければ出せない価格だからだ。
しかし、それを指摘することは出来ない。何故それを知っているのだ、と言われては返す言葉が無いからだ。
「さすがは群春さんですな」
「いやいや、日々精進しているおかげですな」
何言っているんだと、一色は思ったが言い返すタイミングというか立場も無く、向こうのプレゼンは終わり、自分の番が来てしまった。
千秋はまだ来ない。
一色は覚悟を決めて、プレゼンをはじめた。
屈託無く爽やかで物怖じしない彼であったが、今日ばかりは違うようで、どうしようかと思案の真っ最中である。
出掛けに遅れはしたが、それでも開始10分前には到着していた。
しかし、相手の群春物産はすでに到着していて、森友側の課長と談笑の最中であった。入室して挨拶すると、通りいっぺんの言葉をかわした後、ふたたび談笑に戻る。一番下の芝原という社員が話しかけるが、係長にすぐとめられてしまう。
一色は不安を感じた。そんな一色に森友の課長が声をかける。
「エクセリオンさんは、あの女性の方は来られないのですか」
「は、佐野でないと出来ない仕事がありまして、少々遅れます」
「困りますなぁ、時間は守ってもらわないと。何しろコンペが延びたのはその方のお陰なんですから」
「そのむねは、時間変更のお電話を頂いたときに、お伝えしましたが」
「知らんよ、私は聞いてない」
えっ、という顔をする芝原を見て、一色はさらに不安になった。これは間違いなく出来レースだなと。
開始時間になった、千秋はまだ来ない。それではと芝原が開始の宣言をした。
先手は群春からだった。取り扱う商品は変わらなかったが、価格が違った。前回はエクセリオン側より2割安かったのだが、今回はなんと5割、つまり半額でやるというのだ。一色は慌てた。
さすがに森友側も心配になり、大丈夫なのかと念を押す。
「大丈夫です、さらに新たなルートを開拓しました。買い付けたはいいが、売れずに困っているブローカーを見つけまして、それでこの価格にすることが出来ました」
それを聞いて、一色はあっと思った。
おそらくではあるが、先週の金曜にサトウ課長から聞いた話を、キジマが鵜呑みしたのだろう。それを元に作られた資料を、確認せずにそのまま使っている。そうでなければ出せない価格だからだ。
しかし、それを指摘することは出来ない。何故それを知っているのだ、と言われては返す言葉が無いからだ。
「さすがは群春さんですな」
「いやいや、日々精進しているおかげですな」
何言っているんだと、一色は思ったが言い返すタイミングというか立場も無く、向こうのプレゼンは終わり、自分の番が来てしまった。
千秋はまだ来ない。
一色は覚悟を決めて、プレゼンをはじめた。
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