ばあちゃんの豆しとぎ

ようさん

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葬式行列 1〜という名の雪中行軍〜

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 髪にリボンなんてイケイケバブルも華やかなりし十代の終わりの頃以来だが、父似のおかめ顔の私がこの歳でつけたらかなり馬鹿っぽくはないだろうか……いや、しきたりなんだし、おば達だってやってる事なんだが。

 母の姉妹達は見た目は年相応だが皆、彫りの深い顔立ちをしている。喪のオーバーコートを着て落ち着いたカラーの髪に揃いの白いリボンをつけている様子は、中間管理職級のヴィッリ墓地の妖精の群れのようだ。
 一人だけ浮いているコートの色については父からも誰からも何もツッコまれなかった。

「それでは順番を確認しますので、玄関前にもう一度、整列をお願いします」 

 家の横の駐車スペースにはもうバスが回してあり、今度は奥側を先頭に並ぶよう指示される。
 
 行列は父が遺骨、母が位影を持っている。晃夫は位牌、颯也は「御飯」ーー箸を差した山盛り御飯を乗せたお膳だ。大祖母の代理で来た昌弘君のお父さんが金色の仏花、本家の従伯父いとこおじが供物の御膳を持つ。卒塔婆や例の笹飾り、造花を母方のおじ達が持ち、「御花」の私は生花を持っておば達と一緒に彼らの後ろに並んだ。従弟父、長内さん、本家のおばさん達や曹祖父母の縁者の人達はスコップや手桶、線香などといった実用品を持ったり、あるいは手ぶらで最後尾に着いた。

 このまま昔式に町内をぞろぞろ歩いたらかなり注目を集めるだろうが、それ以前に凍結路の上に新雪というハードモードの雪道で、八割のメンバーが転倒するかもしれない。なんせロコモシンドロームがそろそろ気になるか真っ最中の世代が半々なので、今風はありがたい。

 だが、葬儀会社のバスに乗れるのも共同墓地の入り口まで市の除雪車が入っているという前提があるからだ。モータリゼーション以前、それこそ祖母が若い頃の真冬の葬儀はどうしていたんだろう。村人総出の強行軍で雪かきをしたのか、例外扱いで雪溶けまで待って納骨したのか。
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