ばあちゃんの豆しとぎ

ようさん

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祖母の葬儀 7〜祖母への手紙〜

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 昔ながらの通気性のいいーーつまりすきま風だらけの家で、木製の窓枠と障子窓を二重サッシにリフォームしてはいるが、外に並ぶ客のために玄関とサンルームの掃き出し窓は開け放してある。家じゅうのファンヒーターと旧式の石油ストーブをかき集めてフル稼働しても寒いくらいの会場だが、雪のちらつく戸外で一時間以上立ちっぱなしだった身には十分暖かく、今度はたらたらと鼻水が止まらない。

「故人様に、ひ孫様よりお手紙の朗読がございます」

 両親の隣に座っていた学生服姿の颯也が原稿用紙を手に祭壇の前に進み出、参列者に一例した。もたついたり戸惑ったりしてないところを見ると、私が来る前にちゃんと打合せなりリハーサルなりしていたんだろう。

 私に似たのか、これまで少年サッカーの市選抜チームはおろか、発表会の主役や運動会のリレー選手関連には特に選ばれたりすることのなかった息子だが、幸い極端なあがり症とか音読が苦手というわけでもない。
 サッカーで培った試合度胸のお陰か、こういう場を無難にこなせる程度の胆力はあったようで祭壇の正面に座るとすらすらと弔辞代わりの作文を読んだのにほっとした。
 これも「可愛い我が子の晴れ姿」ということになるのだろうか。まさか記念のスナップ写真を撮るわけにもいかないが。

 親の方が緊張して、さっきまで寒さと戦っていたた背中に今度は汗をかいた。それに読み上げている文章は九九パーセント自分の文章なものだから気恥ずかしくて仕方がない。  

 年輩の参列者が多いせいか、もらい泣きですすり上げる音が聞こえてきてーーいや、単に寒さのせいかもしれないのだがーーちょっと申し訳ないような気分になる。おそらく祖母は諸事情も全部見通しで苦笑しているかもしれないのだが、孫と曾孫の合作ということで勘弁してもらいたい。

 颯也がまた一礼して私の斜め前の席に戻る。無事に終わってくれてほっとした。
 二人のお坊さんが揃って祭壇に向かい住職が木魚を叩き副住職がすり鉢形の鐘を鳴らす。

 祖母の訃報を受け取って以来、あちらこちらからパスされるボールを必死で蹴り返すように目の前の雑事をひたすらこなしてきた。
 祖母の死をゆっくり悲しんだり、祖母不孝を悔やむ余裕も無かったことに気づく。

ーーああ……お祖母ちゃん、本当に亡くなっちゃったんだなあ。

 鼻水にどんどん涙が混じり、止まらなくなるが、持参したポケットティッシュは外で使い切ってしまった。周囲に気兼ねしながら鼻を啜る私を見かねて、隣の晃夫が自分のティッシュを差し出してくれた。
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