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後日譚 1〜華燭の典〜
しおりを挟む二年が経った。
私はまた真冬のーー一月末の故郷に、今度は家族揃って帰省している。
町に一軒の観光ホテル「北三陸ホテル」の「寿の間」で、牧師の園長先生の前で永遠の愛を誓い合っているのは咲恵ちゃんとーーなんと、私の弟の晃夫だ。
馬子にも衣装の晃夫と並んだ白無垢姿の咲恵ちゃんはとても綺麗だ。お祖母ちゃん達もきっとどこかで見ているはず。
「新郎姉」として全く慣れない留め袖を着てコチコチになっている私の横で、六年生になった悠也が颯也のお下がりのお揃いの学生服を着て二人一緒に並んでいるーーあれから色々あったしこれからも色々あるだろうけど、ともかく春からは晴れてピカピカの中学一年生だ。
新婦側の親族席にふと目をやると、昌弘君が目を潤ませながらしきりに鼻を啜っている。思わず昭和の名曲「瀬戸の花嫁」のサビメロが頭の中に流れたが……早めの花粉症、という事にしておいてあげよう。
気候の厳しさも不便さもあるが、それらもひっくるめて生まれ育った土地を愛しながら、私達が見過ごしてしまいそうな何かを見つけ、何でもないようなこと心躍らせたりしながらーー文字通り地に足をつけて長い道のりを二人で歩いて行ってほしい。
遠い将来天寿を全うし、奥深い森の大樹のように故郷の土に還ってゆくであろう二人を頼もしいとも羨ましいとも思う。
私も私の今いる場所で、迷ったり、もがいたりしながらしっかりと根を張り、私の森を育てていこう。人生も子育てもこれから何があるかわからないけれど、祖母や母のようにただ子ども達の幸せだけを願って見守っていけたらーー
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