ばあちゃんの豆しとぎ

ようさん

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後悔はキリがないが

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 若先生は盛岡だか八戸だかどこかの勤務医を退職して実家の医院に入ったと聞いた事があるが、せいぜい父と同年代か少し上くらいではないかと思う。

 その父親である老先生となると……一体いくつでどんな風貌をしているのか全く想像がつかない。やはり漫画に出てくる仙人のようなヴィジュアルを想像した。
 外来に出ているのならかくしゃくとしているのには違いないが。

んだども、そっただごどぁあんだべぇがでも、そんな事があるのだろうか

 母は呆れたようにため息をついた。

「……まあ、要らない薬飲むよりはよかったんじゃない。具合も悪くならなかったんだし」

ほに本当に、それもそうだ」

 それから年が明けて、年始の挨拶で電話を掛けたところ祖母はいたって上機嫌で電話口に出た。通じたか通じてないかわからないのだが、颯也や悠也とも楽しそうに会話をしていた。

 小正月にも変わった様子はなく「夏さ来るべ」と上機嫌で繰り返していた。

「私、やっぱり春休みに一度帰ろうかな。子ども達だけ連れて」

 祖母との電話の後、母にそんなことを話した。

おらほ私の家は歓迎だども。颯也は今度中学だべ?忙しいんでないの?」

「ううん、どうだろう。大丈夫じゃない?春休みだから宿題出るわけじゃないし、サッカーの試合もないし」

「まあ、無理ばしねぇで」と電話を置いた母が祖母にその話を伝えたかどうかは定かではないが多分していないだろう。決まった話ではないし、耳の遠い祖母に自分の好きなように話を解釈されても余計な騒動になるだけだから。

 でも、私と子どもだけでも正月に帰って上げればよかったなーー時々一人でそう思いながら、私はこれからも生きて歳をとっていくんだろう。
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