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実家の葬儀の風習に驚く 2
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「わかった。明日、子ども連れてそっちに行くよ」
「焼ぐのぁ朝なんだよ」
「わかってるよ」
最後にお祖母ちゃんの顔が見られないのは気持ちに的に厳しいが、生きて動いている人間の方が大事だ。
六年生の颯也は連れて行っても問題はないと思うが、できれば四年生の悠也は豊が帰ってくるまで誰かに預かってもらえないかと思う。だが、軽度のADHD持ちなので友達の家ではちょっと難しいかもしれない。
「豊さんは葬式さば出られねえのが?」
母は聞き返した。どこか心外そうだ。
「聞いてはみるけど……そんなに休めるかなあ」
急なこととは言え、寿命で亡くなった祖母の葬儀なのだから孫の自分と曾孫が見送れば十分だという気もする。実の祖父母ならまだしも、同居しているわけでもない配偶者の祖父母が忌引きの対象になるのかどうか。
「んだら、葬式までにこっちさ着けばいいから。豊さんへで来れねえが」
急な事で発言が二転三転するのは仕方がないが、夫に合わせて私がのんびりお客さん枠で参列して、それで本当に回るのかと逆に聞き返したくなった。
昭和の終わり頃だった曾祖母の葬式の時には、三晩分の通夜振る舞いと葬儀の後の会食も自宅で用意したものだから、親戚筋や近所のの女性達が狭い台所に何人も入っいて母は働き通しだった。
男手も表の方で、農協やら町内会から机やら何やら借りて来て受付を作ったり祭壇を組んだり、表も裏も「おらほの時はああだった、こうだった」と言い合いながら線香の香りが漂う家中に誰かしらいて、忙しく何かやっていた。
邪魔になって怒られないように晃夫と隅の方で、彼ら彼女らの連れて来た小さな子ども達をついでに託されてひっそりと遊んでいたのはなんとなく覚えている。
当時は今の私と同年代で、夜勤つきのフルタイム共稼ぎで二人の子育てと家事をこなしていた八面六臂の母も、還暦を過ぎてさすがに往時ほどの冴えはない。
年に一度の盆の帰省にしたってここ数年は、せめて作業量の多い準備の時に手伝えるようにと日程を調整するようにしているのだが、母の方は「お盆と長女一家の帰省」という一大イベントに最善を尽くそうとさらに張り切り、十年前くらいの感覚でキャパシティ以上の作業を思いついては頭と体が追いつかず、結果こちらが振り回されるーーというような事がたびたびある。
今回はさすがに飲食関連はオードブルや仕出の弁当を頼むというが、実家方面の常識がわからないからと両親の指示を全て間に受けていたら大変な事になりそうな予感が既にしている。
「一応聞いてはみるけど……難しいんじゃないかな」
親の葬式ならともかくーーと言いかけてやめた。
「こっちからまた電話するね」
と言って受話器を置き、豊の携帯電話に掛けた。朝早いせいかマナーモードにしてしまっているのか出てくれない。
そちらは後でもう一回かけ直すことにして、まず誰に連絡して何から調整するかーー頭の中で整理していると今度は父から連絡が来た。母との電話を終えてから五分もしていない。
「まだ連絡してねえのが」
父もいらいらとため息をついたーーそんなこと言われたって。
「こちらから掛ける」とも言ったはずなんだが……
「焼ぐのぁ朝なんだよ」
「わかってるよ」
最後にお祖母ちゃんの顔が見られないのは気持ちに的に厳しいが、生きて動いている人間の方が大事だ。
六年生の颯也は連れて行っても問題はないと思うが、できれば四年生の悠也は豊が帰ってくるまで誰かに預かってもらえないかと思う。だが、軽度のADHD持ちなので友達の家ではちょっと難しいかもしれない。
「豊さんは葬式さば出られねえのが?」
母は聞き返した。どこか心外そうだ。
「聞いてはみるけど……そんなに休めるかなあ」
急なこととは言え、寿命で亡くなった祖母の葬儀なのだから孫の自分と曾孫が見送れば十分だという気もする。実の祖父母ならまだしも、同居しているわけでもない配偶者の祖父母が忌引きの対象になるのかどうか。
「んだら、葬式までにこっちさ着けばいいから。豊さんへで来れねえが」
急な事で発言が二転三転するのは仕方がないが、夫に合わせて私がのんびりお客さん枠で参列して、それで本当に回るのかと逆に聞き返したくなった。
昭和の終わり頃だった曾祖母の葬式の時には、三晩分の通夜振る舞いと葬儀の後の会食も自宅で用意したものだから、親戚筋や近所のの女性達が狭い台所に何人も入っいて母は働き通しだった。
男手も表の方で、農協やら町内会から机やら何やら借りて来て受付を作ったり祭壇を組んだり、表も裏も「おらほの時はああだった、こうだった」と言い合いながら線香の香りが漂う家中に誰かしらいて、忙しく何かやっていた。
邪魔になって怒られないように晃夫と隅の方で、彼ら彼女らの連れて来た小さな子ども達をついでに託されてひっそりと遊んでいたのはなんとなく覚えている。
当時は今の私と同年代で、夜勤つきのフルタイム共稼ぎで二人の子育てと家事をこなしていた八面六臂の母も、還暦を過ぎてさすがに往時ほどの冴えはない。
年に一度の盆の帰省にしたってここ数年は、せめて作業量の多い準備の時に手伝えるようにと日程を調整するようにしているのだが、母の方は「お盆と長女一家の帰省」という一大イベントに最善を尽くそうとさらに張り切り、十年前くらいの感覚でキャパシティ以上の作業を思いついては頭と体が追いつかず、結果こちらが振り回されるーーというような事がたびたびある。
今回はさすがに飲食関連はオードブルや仕出の弁当を頼むというが、実家方面の常識がわからないからと両親の指示を全て間に受けていたら大変な事になりそうな予感が既にしている。
「一応聞いてはみるけど……難しいんじゃないかな」
親の葬式ならともかくーーと言いかけてやめた。
「こっちからまた電話するね」
と言って受話器を置き、豊の携帯電話に掛けた。朝早いせいかマナーモードにしてしまっているのか出てくれない。
そちらは後でもう一回かけ直すことにして、まず誰に連絡して何から調整するかーー頭の中で整理していると今度は父から連絡が来た。母との電話を終えてから五分もしていない。
「まだ連絡してねえのが」
父もいらいらとため息をついたーーそんなこと言われたって。
「こちらから掛ける」とも言ったはずなんだが……
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