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決戦はカウントダウンパーティ!
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「……慰めにならないかもしれませんが、純粋な商談かもしれませんよ。何よりビジネスパートナーとしては最強ですから」
「もういいですよ……そういうの。元々、俺には不釣り合いな人でした」
それに範囲限定ではあるがまるきりオープンで堂々としている玄英に対して、俺は周囲を説得して納得させる度量もない不甲斐なさ……
「何だか泣きたくなってきました……俺、一体どうしたら……」
「……それか、君の会社の買収を盾に連れ回されてる可能性もありますね」
「!」
ああ、俺の大馬鹿野郎!
玄英がユーラに支配されるのをあんなに恐れて怯えてたってのに!俺は何をビビってんだ!このスットコドッコイのコンコンチキめ!
会社や仕事がなんぼのモンだってんだ!
ここで根性見せなきゃ江戸っ子が泣くぜ!
助けてやるから待ってろ、玄英!
脳内セルフ啖呵真っ最中の俺のスマホがここで鳴った。登録してない番号からだ。もしやーー
「玄英!?」
「恒星!一体どうしちゃったの?」
数年前まで自身もゴスペル歌手として活動していたという、モリーの大声量がスマホをビリつかせてわんわん響いた。
「クリスマスは玄英と一緒に来るんじゃなかったの!?私、楽しみにしてたのに!」
聞くと、玄英とユーラの連名で船上カウントダウンパーティの招待状が届いたのだという。何じゃあ、そりゃああああ!
事件は会議室で起こっているのではないが、現場から遥か彼方の陸の上で怒っても仕方ない。俺は古賀さんも会話に加われるようにスピーカーをONにし、現在までに起こっていることを順序立ててモリーに話した。
「ふぅーん。じゃあドン・キホーテ君は囚われの王子様を助けるためにお化け風車と戦いに行くのね。新年の余興としては最高」
お義姉様、完全に面白がってる……
「あなたが玄英の心配をしたり会社の危機に向き合ったりしている今、二人は呑気に蜜月かもしれないわよ。あなた、玄英の心が揺らいでいても受け入れられる?取り戻せる自信があるの?」
で、辛い事をはっきり言うのな……
「だとしても、玄英は悪くないと思うから……俺やユーラに縛られて流されるんじゃなくて、玄英がこれからどうしたいのか、どうなりたいのか。直接ちゃんと聞きたいんです」
「あなたの所に戻るかどうか最終的に決めるのも玄英なのよ?」
「わかってますよっ!」
《モリー。玄英を救い出すために協力してくれ》
古賀さんが画面越しに英語で話しかけた。
《もちろん!面白いから応援してあげるわ。作戦が決まったらいつでも連絡ちょうだい!アハハ」
お姉様、動じなさ過ぎ……でも、味方になってもらえそうでよかった。
「古賀さん。カウントダウンパーティは横浜港停泊中だそうです」
「横浜?日本に戻って来るんですね?招待状を手に入れられないか、心当たりに聞いてみます」
「なりすましで潜るって事ですか?上手くいくかなあ……両方顔バレしてるし」
「変装すれば何とか入れるでしょう。まずは正攻法でぶつかって糸口を探すしかありません」
正攻法っても、名義偽装なんだが……
「ぶっつけ本番で糸口探すって、そんな行き当たりばったりな……造園の世界は段取り八分、根回しが肝なんです」
「ユーラは一筋縄ではいかない男です。それに僕や君が乗り込んでくるのは折り込み済みでしょう」
「玄英に会わせてもらえず、交渉も決裂したら?最悪、D's Theoryだってユーラの傘下に入れられちゃうかもしれませんよ」
「それは……流石に避けたいです」
「俺は江戸っ子だから気が短いんです。古賀さんはその路線で計画を立ててください。俺は俺で作戦を考えてみます」
待ってろよ、玄英!
ユーラの野郎、目に物見せてくれるわ!首洗って待ってやがれ!
決戦は大晦日ーー
「もういいですよ……そういうの。元々、俺には不釣り合いな人でした」
それに範囲限定ではあるがまるきりオープンで堂々としている玄英に対して、俺は周囲を説得して納得させる度量もない不甲斐なさ……
「何だか泣きたくなってきました……俺、一体どうしたら……」
「……それか、君の会社の買収を盾に連れ回されてる可能性もありますね」
「!」
ああ、俺の大馬鹿野郎!
玄英がユーラに支配されるのをあんなに恐れて怯えてたってのに!俺は何をビビってんだ!このスットコドッコイのコンコンチキめ!
会社や仕事がなんぼのモンだってんだ!
ここで根性見せなきゃ江戸っ子が泣くぜ!
助けてやるから待ってろ、玄英!
脳内セルフ啖呵真っ最中の俺のスマホがここで鳴った。登録してない番号からだ。もしやーー
「玄英!?」
「恒星!一体どうしちゃったの?」
数年前まで自身もゴスペル歌手として活動していたという、モリーの大声量がスマホをビリつかせてわんわん響いた。
「クリスマスは玄英と一緒に来るんじゃなかったの!?私、楽しみにしてたのに!」
聞くと、玄英とユーラの連名で船上カウントダウンパーティの招待状が届いたのだという。何じゃあ、そりゃああああ!
事件は会議室で起こっているのではないが、現場から遥か彼方の陸の上で怒っても仕方ない。俺は古賀さんも会話に加われるようにスピーカーをONにし、現在までに起こっていることを順序立ててモリーに話した。
「ふぅーん。じゃあドン・キホーテ君は囚われの王子様を助けるためにお化け風車と戦いに行くのね。新年の余興としては最高」
お義姉様、完全に面白がってる……
「あなたが玄英の心配をしたり会社の危機に向き合ったりしている今、二人は呑気に蜜月かもしれないわよ。あなた、玄英の心が揺らいでいても受け入れられる?取り戻せる自信があるの?」
で、辛い事をはっきり言うのな……
「だとしても、玄英は悪くないと思うから……俺やユーラに縛られて流されるんじゃなくて、玄英がこれからどうしたいのか、どうなりたいのか。直接ちゃんと聞きたいんです」
「あなたの所に戻るかどうか最終的に決めるのも玄英なのよ?」
「わかってますよっ!」
《モリー。玄英を救い出すために協力してくれ》
古賀さんが画面越しに英語で話しかけた。
《もちろん!面白いから応援してあげるわ。作戦が決まったらいつでも連絡ちょうだい!アハハ」
お姉様、動じなさ過ぎ……でも、味方になってもらえそうでよかった。
「古賀さん。カウントダウンパーティは横浜港停泊中だそうです」
「横浜?日本に戻って来るんですね?招待状を手に入れられないか、心当たりに聞いてみます」
「なりすましで潜るって事ですか?上手くいくかなあ……両方顔バレしてるし」
「変装すれば何とか入れるでしょう。まずは正攻法でぶつかって糸口を探すしかありません」
正攻法っても、名義偽装なんだが……
「ぶっつけ本番で糸口探すって、そんな行き当たりばったりな……造園の世界は段取り八分、根回しが肝なんです」
「ユーラは一筋縄ではいかない男です。それに僕や君が乗り込んでくるのは折り込み済みでしょう」
「玄英に会わせてもらえず、交渉も決裂したら?最悪、D's Theoryだってユーラの傘下に入れられちゃうかもしれませんよ」
「それは……流石に避けたいです」
「俺は江戸っ子だから気が短いんです。古賀さんはその路線で計画を立ててください。俺は俺で作戦を考えてみます」
待ってろよ、玄英!
ユーラの野郎、目に物見せてくれるわ!首洗って待ってやがれ!
決戦は大晦日ーー
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