赤いトラロープ〜たぶん、きっと運命の

ようさん

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⭐︎コペルニクス的超転回。「話せばわかる」とは「話さなきゃわからない」という事でもある

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 泥酔した時にやたら気が大きくてサービス精神全開になり、予想のつかない方向に羽目を外してしまう癖があるのは自分でもわかっていた。
 ここ数年は自制しているものの、当時の元悪友及び後輩の間ではその手の武勇伝はもはや伝説的ネタとなっているくらいなので、自分にその記憶が無くてもそこは納得できる。
 それでもかろうじて18禁系の事案だけはなかったのにーー自慢にも何にもならないがーーしかもよりによっていきなり斜め上の、未知の方角に……この時はもういっそ、思い出さない方がいいような気さえした。

「好きになった人とプレイできたの初めてだったし……ただの軽いハプニングだと思われて、これきりにされたくなかったんだ」

「ふざけんな。十分激重だわ!ある意味、一◯入魂式に最後までやらかしてた方がマシだった」

ーーいや、どっちもダメだな。

ーーつか、玄英にとってはアレが、好きな人と性行為した初めてって……

 深く掘り下げる気はなかったが、一見、何一つ欠けることのなさそうに見える玄英のこれまでを思うと少し不憫になった。

「ご主人様……それなら、僕を……気の済むまで好きにしてくれませんか?」

 玄英が身体をよじらせながら、ためらいがちに聞いていた。

「は?え?い、いいのか?」

 こんなムードも何にもない、その場の勢いみたいなノリで?

「はい。ちゃんと一からお教えします」

 玄英ほどの美丈夫でもどうにもフォローできないくらい、いやむしろもっと情け無さマシマシの格好で規格外のモノをみなぎらせながらそんな凛々しく宣言されても。

「……後で、『やっぱり異性の方がいい』なんて……幻滅されたら辛いけど」

 不自由そうにもどかしく揺れる玄英の肢体が艶かしく、激しい渇望を覚える。大丈夫、多分。

「し……しない……」

 俺もいつの間にか準備万端で「かかって来いやあ!」状態だ。

「では、こちらへ……」

「お、おう……」

 俺は玄英にいざなわれるまま裸になり、横たわる彼の腰の上をに跨いだ。

「ご主人様、とても綺麗です……」

「ばっ、馬鹿。女じゃねえんだから、そういうのはいいんだよ……」

 眼下に同じ人類のモノとは思えないメガトン級のトマホークがイヤでも目につくが、不思議と萎えたりはしない。

「で、でっ……次はどうしたらいいんだ?」

「そのまま僕の(ピー)に、ご主人様の(ピー)を(ピー)してそのままゆっくり腰を落とすんです。後は好きに……動いていただけたらっ」

 玄英はすっかり興奮状態で、焦ったそうに激しく身体をくねらせた……待て。それってつまり……

「無理無理無理!思ってたんとちゃうううううっ!」

 俺は思わず絶叫し、玄英を蹴り飛ばす勢いで飛び退いた。
「ふざけんなあああ!玄英の(ピー)に殺されるだろうがよ!」

「ちゃんと準備すれば大丈夫だよ。僕がしてあげるから、一時的に解いてくれる?専用のローションがドレッサーの引き出しに……」

「やめやめ!今の無し!」

「ええ……」

 玄英は欲求不満のあまりか、泣き出しそうな顔になった。

「人生最大のご褒美だと思ってたのに、こんなに煽っておいて生殺しなんて……ご主人様、腕上げ過ぎです……」

「馬鹿野郎!何の冗談だ!そもそもMのおまえが抱かれる側だろうがよ!」

 俺の方が泣きたいわ。何でこうなった。と、玄英がしれっと真顔で「そうとも限らないよ」と答えた。

「Sの中には女王様もいるし」

「そっか、なるほど。奥が深え……」

 って危ねえ!うっかり納得しかけたわ。

「って、んな事できるかあああー!俺は男だ!」

「僕だって男だよっ!ご主人様に雁字搦かんじがらめに縛られたまま、無理矢理(ピー)されるようにご主人様を抱くのがずっと夢だったんだようっ!お願い!お願いします!」

 男側希望でもドMには変わりないんだな……

「だからもうそこはお前がシンプルに(ピー)されるんでいいじゃねえかよ!無駄に拗らすな!夢なら黙って愛で地球でも救っとけ!この似非えせドMの変態紳士が!」

 ふと、俺の目にまだ絶賛痺れ中であろう奴の足先が入った。そこに触れるか触れないかの絶妙な位置に自分の足を重ねてみる。

「それだけは駄目!踏まないで!ご主人様!お願い!」

 危機迫った叫びーー気持ちはよくわかるーーが、セーフワードは無い。俺はニタリと笑った。玄英からは悪魔の笑みに見えたに違いない。

「黙れ」

 限界突破されかけた俺の恐怖を思い知れ。

「ぎゃあああああああああ!」
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