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青春の光と影と黒歴史@玄英編
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「……でも……好意を向けられて嬉しかったのは事実なんだ。最初は確かに戸惑ったけど、やっぱり好きだったんだよ。そのこと自体は後悔はしてない。その後の数年はビジネスパートナーとしても順調だった。
ただ、僕も大人になるにつれ色んなものが見えてきて……例えばあの人の、お金さえ儲けられれば何やってもいいって姿勢とかーー買収先の企業を買い叩いて大量解雇したり、気候変動や海洋環境の問題にも無頓着で、差別的な考えも持ってて。そういうのは正しくないとだんだん思えてきた」
「うんうん」
「そんな時に古賀や今のアメリカ本社長達と出会い、D’sTheory本社を立ち上げた。で、彼とは距離を置いた。今になってあの人が執着してくるなんて、思ってもみなかったんだよ。もともと、僕だけのご主人様じゃなかったし」
「はあっ?何だそれ?浮気でもされたのか?マジでクソ野郎だな!」
「浮気というより……彼はポリアモリーの人なんだよね。僕とつき合う前から元々、男女合わせて4人くらいのパートナーがいて」
「……五股?つか、ハーレム?」
「それともちょっと違う。複数恋愛とでもいうのかな。一方的に愛人を囲っている(?)訳じゃなくて、お互い複数の恋人がいる前提で恋愛している関係……」
ちょっ、ちょっと待って。
恋愛経験値が平均的日本人レベル(たぶん)に過ぎない俺、さすがに脱落しかけてる。
「でもユーラの場合はハーレムーーというよりカルトに近かったかな。僕を含めた全員がユーラの信奉者で、ご主人様のユーラにそれぞれが同意の元で支配される。ユーラと一緒に住んでる人も、そうでない人もいたが、ユーラに対する独占欲も嫉妬も表面上は無くて、お互い友達同志だった」
……すまん。現ご主人様@凡人、もうついていけません。
「支配か……そうだね、支配だ。僕に対する感情だって恋愛じゃなくて支配欲求なんだよ、彼の場合は。それが心地よかった時もあったけど、ある時耐えきれなくなって……」
「当然だろ。あの野郎が金に飽かせてハーレムこしらえようが、変態の巣窟の主だろうが別に構やしねえ。ただ、そこにいくら頭がよくたって、十代のあんたを巻き込むのは違うだろ」
玄英は俺の膝で、目を潤ませながら微かに頷いた。
「それで縁切って、諦めさせるために身を固めたってわけか。まあ、妥当な選択だわな」
「会社が軌道に乗り始めた頃、学生時代の年上の同期達は結婚して子育ての真っ最中で、ほんわかと幸せそうだった。その時はそういうのもいいかな、って思っちゃったんだよ」
「うん。気持ちはわかるわ。で、そん時も一悶着あったんだな?」
「それが、離れて独り立ちしたいっていう決意を打ち明けた時、拍子抜けするくらいあっさりしてたんだ。一年前の僕だったら、逆に見捨てられたと動揺したかもしれない。前の会社もユーラが条件のいい売却先を見つけてくれて、僕はD's Theoryを立ち上げることができたし……」
「ふぅん……」
ただ、僕も大人になるにつれ色んなものが見えてきて……例えばあの人の、お金さえ儲けられれば何やってもいいって姿勢とかーー買収先の企業を買い叩いて大量解雇したり、気候変動や海洋環境の問題にも無頓着で、差別的な考えも持ってて。そういうのは正しくないとだんだん思えてきた」
「うんうん」
「そんな時に古賀や今のアメリカ本社長達と出会い、D’sTheory本社を立ち上げた。で、彼とは距離を置いた。今になってあの人が執着してくるなんて、思ってもみなかったんだよ。もともと、僕だけのご主人様じゃなかったし」
「はあっ?何だそれ?浮気でもされたのか?マジでクソ野郎だな!」
「浮気というより……彼はポリアモリーの人なんだよね。僕とつき合う前から元々、男女合わせて4人くらいのパートナーがいて」
「……五股?つか、ハーレム?」
「それともちょっと違う。複数恋愛とでもいうのかな。一方的に愛人を囲っている(?)訳じゃなくて、お互い複数の恋人がいる前提で恋愛している関係……」
ちょっ、ちょっと待って。
恋愛経験値が平均的日本人レベル(たぶん)に過ぎない俺、さすがに脱落しかけてる。
「でもユーラの場合はハーレムーーというよりカルトに近かったかな。僕を含めた全員がユーラの信奉者で、ご主人様のユーラにそれぞれが同意の元で支配される。ユーラと一緒に住んでる人も、そうでない人もいたが、ユーラに対する独占欲も嫉妬も表面上は無くて、お互い友達同志だった」
……すまん。現ご主人様@凡人、もうついていけません。
「支配か……そうだね、支配だ。僕に対する感情だって恋愛じゃなくて支配欲求なんだよ、彼の場合は。それが心地よかった時もあったけど、ある時耐えきれなくなって……」
「当然だろ。あの野郎が金に飽かせてハーレムこしらえようが、変態の巣窟の主だろうが別に構やしねえ。ただ、そこにいくら頭がよくたって、十代のあんたを巻き込むのは違うだろ」
玄英は俺の膝で、目を潤ませながら微かに頷いた。
「それで縁切って、諦めさせるために身を固めたってわけか。まあ、妥当な選択だわな」
「会社が軌道に乗り始めた頃、学生時代の年上の同期達は結婚して子育ての真っ最中で、ほんわかと幸せそうだった。その時はそういうのもいいかな、って思っちゃったんだよ」
「うん。気持ちはわかるわ。で、そん時も一悶着あったんだな?」
「それが、離れて独り立ちしたいっていう決意を打ち明けた時、拍子抜けするくらいあっさりしてたんだ。一年前の僕だったら、逆に見捨てられたと動揺したかもしれない。前の会社もユーラが条件のいい売却先を見つけてくれて、僕はD's Theoryを立ち上げることができたし……」
「ふぅん……」
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