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何でもグローバル化やインバウンドがよろしいかと言えば、そうとも限らないようで

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「その黄色っぽいのは飼育用のメダカが野生化したヤツです。在来種はこれ」

 ヒツジクサの水槽の中で、黒っぽいメダカが元気に泳いでいた。

「これがこの近くの水辺に元々いるメダカです。保護活動をしている団体から分けてもらいました」

「日本のメダカにそんな色々種類があるんですか?」

「種類が同じでも、地域と水系によって遺伝子が違うんだそうです。在来種のメダカってのは水路の護岸工事や農薬の影響で棲める場所が減ってるんですが、かと言ってある地域で余ったメダカを違う場所に連れてくるのはダメなんです。地産地消じゃありませんが、やっぱりその地域その地域に適応して進化してきたもんなんで」

「なるほど」

「それに見た目が在来種でも、放流された外来種や栽培種のメダカと交雑が進んでいることが多いとも言われますし」

「日本は自然が美しい国だと思っていましたが、そんなに深刻な問題があるんですね」

「ええ。八割……いや、九割九分九厘の人らはそんな事知らんでも生きていけますからね。俺は日本のことしか知らねえですが、どこの国にもあることなんでしょう」

「そうですね。海外では日本のワカメやコイが危険な外来種として駆除対象になっている国もあります」

「全然知らなかった……ビオトープ、奥が深えわ」

「おーい、コウセイこっちもう終わったよー」

「早く生き物入れようよ。何してんのー」

「『さん』くらいつけろやぁー」恒星は気前よく叫び返した。

「よーっし。恒星先生が今から大事な話してやるから、みんなこっち来い」

「あっは、恒星先生だって」「自分で言うとかウケる」

 恒星は大きなガキ大将よろしく、さっき清武から聞いた話の受け売りを子どもと社員相手に披露し始めた。

「あれ、あなたの仕事じゃないんですか?」

 玄英は清武に聞いた。

「いいんです。俺より坊ちゃんの方が歳も近いし、みんなの心を掴むのも上手い。難しい話だってお説教ぽくなく入っていきやすいでしょう」

 そう言って恒星を見守る清武の眼差しが驚くほど優しい。居酒屋で玄英とあれだけ険悪な別れ方をした事も忘れているようだ。

「ーーというわけで、みんながせっかく持ってきてくれた生き物たちでここに使わないものもあります。学校やみんなの家で手分けして育てたり、飼ってくれると助かります」

 恒星がそう締めくくると「俺、ザリガニ飼いたい」「私はカメ」「学校の教材にしましょう」など大人や子どもから次々と声があがる。

「ありがとう。引き取れないものはうちの会社で行き先を探しますので安心してくださいね」」

 大きな拍手がおきた。


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