赤いトラロープ〜たぶん、きっと運命の

ようさん

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⭐︎青春の光と影とデンデケデケデケズンズンズンドコ♪

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 ふと、時計を見ると話に夢中になり過ぎてとっくに日付が変わっている。

「ずいぶん遅くなったな。そろそろ寝るか……わっ」

 玄英がいきなり覆い被さってきたので、俺はベッドに尻餅をついた。

「何すんだ!部屋戻って大人しく寝ろ!」

「恒星に制服着せて、プレイしたかったなあ」

 可愛らしく甘えて来たって、言ってる事は純然たる変態だ。おまわりさーん!

「ブレザーだった?それとも学生服?」

「学生服……」「いいな萌える」

「俺が萎えるわ!」

 アラサーの短ラン姿(ママ)とか……悪夢でしかなくね?

 天井におわす正統派美少女時代のテイラー様と目が合った。なんか気まずい。

「つか、しねえし!今、こんな事で実家出禁になったら……」

「お祖父様はもう寝てしまったし、清さんとダイは『ハナレ』だし、他の人達は家に帰ってしまったし……」
 
 耳元には深窓の王子様どころか、情報戦百戦錬磨のデカい小悪魔の囁きが……

 互いの湯上がりの匂いで脳まで満たされて、はだけて露出した胸元どうしが生々しく密着する。珍しく玄英の方から噛みつくようなキスをしてくる。せそうになりながらそのまま貪りたい衝動を堪え、どうにか押し戻した。

「ちょ……さすがにやばいって。急にどうした」

「だってこの部屋、ご主人様の匂いで一杯なんだもの。興奮する」

「嘘つけ。埃臭いだけじゃないか」

「自分の匂いは自分じゃわからないでしょう」

 そういうもんなのか?

 玄英の方こそここん家の風呂備え付けの、近所の商店街で買ったいつものお得用シャンプーと一番安い石鹸(ボディソープですらない)で俺と同じ匂いがするはずなのに。時間が経つにつれ汗や体温と混じり合って複雑にアップデートされ、何やら昭和の団地妻みたいな(知らんけど)淫靡な香りを漂わせているのだがーーこれも本人にはわかるまい。

「俺の臭い?……って、どんな……」

 少なくとも玄英みたいな高級媚薬みたいな匂いじゃなくて、ガチ庶民っぽい臭いなんだろうな……焼き魚と醤油の臭いとか?(嫌すぎる)
 そういやそろそろ加齢臭もヤバいのかもしれない。凹む。

「んー、日向で遊んできた子どもみたいな……でも、とーっても、コケティッシュな匂い」

「は?」

「このベッドで思春期のご主人様が寝起きしてたと思うと余計に……」

「勝手に妄想してんじゃねえ!この変態」

 俺は怒りのスパイスを起爆剤に理性の脳・前頭葉をフルスロットルで稼働させ、どうにか玄英を押し戻して起き直った。

「どうせ元カノは連れ込んでたんでたくせに」

 だからどこでそう言う言い回し(以外略)

「拗ねるな!連れ込んでねえって」

 十代のやんちゃ盛りの頃、この部屋が悪友の溜まり場となっていたことは確かだ。が、それには言及すまい。
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