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BGMはM:Iよりも「スパイ大作戦」でお願いします。
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D's Theory社代表到着予定時刻十分前。
俺は内川補佐と目配せし合うと、業務の合間の小休憩といった体でさりげなく席をはずし、階下に降りた。
「よう」
受付ブースにはいつもの清楚系案内嬢の代わりにむさ苦しい堀田が座っていた。奴は俺を見つけると
「こういうのってなんか、会社で『追◯中』やってるみたいでワクワクすんな」
と、ニカッと笑った。
「しねーよ」
「俺、SPモンの映画観て、ちょっと憧れてたんだよね。『メーデー!メーデー!三時の方向に遠山社長!』……って、やってもいいか」
「普通に出迎えろ、馬鹿。そもそもどっちも激しくジャンル違いだわ。そういうのがやりたいんならサバゲー同好会にでも入れ」
と、時差で裏警備責任者の内川補佐が降りて来た。
「堀田君、ご苦労様。他の課はどんな感じかな?」
「事務連絡の体で一回り偵察して来ましたが、普通に仕事してます。全年齢の女子社員が浮き足立ってる雰囲気ではありましたが」
到着時刻が二時間も前倒しになった件はどこにも漏れてないようだ。
「よかった。社長ももうすぐ降りてくるよ」
変更時間より少し早めに到着した遠山社長と古賀法務部長はうちの社長に出迎えられて無事、社長室直通のエレベーターの中に消えた。
終始微笑みをたたえた彼と一瞬だけ目が合ったがノーリアクションだったのでホッとした……しかし、相変わらず一分の隙もなく爽やかで見目麗しい野郎だな、ちくしょう。
俺が歩く万年トラブルメーカーなら、奴は息を吸って吐くように技術・演技構成点ともにパーフェクトを叩き出す好感度大量生産マシーンだ。しかも天から二物どころか千手観音レベルで森羅万象与えられ過ぎの、スパダリ系宇宙人。
「だけどよ。契約手続き自体はそこまで時間かかる事じゃないし、記者会見やプレス対応は元の時間通りなんだろう?」
彼らが去ってしまうと、堀田が俺に聞いた。
「社内で二時間分の待ち時間が出る事をどう説明したんだ?相手は秒単位で研究と経営の二足のわらじを履く超多忙人で時の人だろ?」
「何でも無理やり社長達との昼食会を設定したそうだ」
「昼食て……ホント無理やりだな!俺さっき朝飯食ったばかりたぞ?」
「あちらは『喜んで』って返事したらしいぞ」
「マジかよ!無茶振りにいちいちフレンドリー過ぎねえ?文化の違いなのか、頭よすぎてブッ飛んでんのか……」
「変態だからかな」
実は俺が洗いざらい奴にーー玄英にぶっちゃけた。
最初、奴は状況が飲み込めずにキョトンとしていたが。
「何で?恒星の会社の人が僕に会いたいって言うなら会うよ?時間はあるんでしょう?」
無自覚かよっ。
「やめてくれよ!下手すると死人が出るわ。ファンサしに来るわけじゃねえんだから、そういうのはいいんだよ」
「……ファンサ?」
「とにかく、あんたは本契約の事だけ考えててくれ。社内の諸事情はこっちで何とかするから」
「わかった。二時間恒星と一緒に過ごせるんなら……」
頬を染めて謎の照れ笑いを浮かべる玄英。
「ダメに決まってるだろ!会社で何する気だ!公私混同すんな!」
ぐずる奴をなだめて、どうにかこうにか納得させるのがまた一仕事で……
俺は内川補佐と目配せし合うと、業務の合間の小休憩といった体でさりげなく席をはずし、階下に降りた。
「よう」
受付ブースにはいつもの清楚系案内嬢の代わりにむさ苦しい堀田が座っていた。奴は俺を見つけると
「こういうのってなんか、会社で『追◯中』やってるみたいでワクワクすんな」
と、ニカッと笑った。
「しねーよ」
「俺、SPモンの映画観て、ちょっと憧れてたんだよね。『メーデー!メーデー!三時の方向に遠山社長!』……って、やってもいいか」
「普通に出迎えろ、馬鹿。そもそもどっちも激しくジャンル違いだわ。そういうのがやりたいんならサバゲー同好会にでも入れ」
と、時差で裏警備責任者の内川補佐が降りて来た。
「堀田君、ご苦労様。他の課はどんな感じかな?」
「事務連絡の体で一回り偵察して来ましたが、普通に仕事してます。全年齢の女子社員が浮き足立ってる雰囲気ではありましたが」
到着時刻が二時間も前倒しになった件はどこにも漏れてないようだ。
「よかった。社長ももうすぐ降りてくるよ」
変更時間より少し早めに到着した遠山社長と古賀法務部長はうちの社長に出迎えられて無事、社長室直通のエレベーターの中に消えた。
終始微笑みをたたえた彼と一瞬だけ目が合ったがノーリアクションだったのでホッとした……しかし、相変わらず一分の隙もなく爽やかで見目麗しい野郎だな、ちくしょう。
俺が歩く万年トラブルメーカーなら、奴は息を吸って吐くように技術・演技構成点ともにパーフェクトを叩き出す好感度大量生産マシーンだ。しかも天から二物どころか千手観音レベルで森羅万象与えられ過ぎの、スパダリ系宇宙人。
「だけどよ。契約手続き自体はそこまで時間かかる事じゃないし、記者会見やプレス対応は元の時間通りなんだろう?」
彼らが去ってしまうと、堀田が俺に聞いた。
「社内で二時間分の待ち時間が出る事をどう説明したんだ?相手は秒単位で研究と経営の二足のわらじを履く超多忙人で時の人だろ?」
「何でも無理やり社長達との昼食会を設定したそうだ」
「昼食て……ホント無理やりだな!俺さっき朝飯食ったばかりたぞ?」
「あちらは『喜んで』って返事したらしいぞ」
「マジかよ!無茶振りにいちいちフレンドリー過ぎねえ?文化の違いなのか、頭よすぎてブッ飛んでんのか……」
「変態だからかな」
実は俺が洗いざらい奴にーー玄英にぶっちゃけた。
最初、奴は状況が飲み込めずにキョトンとしていたが。
「何で?恒星の会社の人が僕に会いたいって言うなら会うよ?時間はあるんでしょう?」
無自覚かよっ。
「やめてくれよ!下手すると死人が出るわ。ファンサしに来るわけじゃねえんだから、そういうのはいいんだよ」
「……ファンサ?」
「とにかく、あんたは本契約の事だけ考えててくれ。社内の諸事情はこっちで何とかするから」
「わかった。二時間恒星と一緒に過ごせるんなら……」
頬を染めて謎の照れ笑いを浮かべる玄英。
「ダメに決まってるだろ!会社で何する気だ!公私混同すんな!」
ぐずる奴をなだめて、どうにかこうにか納得させるのがまた一仕事で……
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