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2章
40話 ファイティング
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『名前 カジ
種族 獣人(きつね)
レベル12
能力値
HP 18『UP↑2』
MP 12
力 6(+4/+3)=10/9
防御 6(+3)=9『UP↑1』
器用さ 8(+1/+2)=9/10
速さ 8(+1)=9
魔力 5
スキル
罠生成 5
罠設置 4
剣術 7
弓術 4
鑑定 5
アーツ
パワースラッシュ (MP-1)
自動設置 (MP-3)
罠解体
装備
胴 緑大蜥蜴のジャケット
脚 緑大蜥蜴のズボン
腰 マジックポーチ(小)
足 革のブーツ
背中 矢筒 20/50
武器 ブロードソード/強化弦弓』
飛んでいく2人を見ていると、力が尽きたのか俺は腰を落とした。エマが駆け寄ってきた。
「はい、カジはこれ飲んでねー」
そんな俺を見て、エマは俺を支えながら、自分のポーチから取り出したであろうポーションを俺の口に含ませた。
「んっ、んっー」
まるで、赤ちゃんに授乳するかのような体制とやさしさに俺は赤面するが、口の中に入るポーションの苦さにそんな恥ずかしさは吹き飛んだ。
「ぷはぁ……、あぁ、にがぁー」
「よし!もう大丈夫そ?」
苦さにのたうち回りたい俺であったが、俺の視界からダメージ表現であろう赤色に染まった個所はなくなっていた。
少し体を動かして平気なことを確かめる。
「うんー、大丈夫そうだ」
「よし、じゃあ……」
エマが話していると、先ほどシャチ頭のギョンゾと出会った場所の近くから、何か硬いものがぶつかり合うような鈍い音が響いた。
「……いこう、ケンジさんが心配だ」
俺たちはそちらへ向かった。
……
近くへたどり着くと、ケンジとギョンゾがとっ組み合っているのが見えた。いや、より近づいていけば、それがとっ組み合いなんて生易しいものではないことに気が付いた。
「ふん!あたまを、冷やせ!」
ケンジがギョンゾの頭を手でがっちりと掴み上げ、そして勢いのままに手当たり次第の固さのある、岩や大木などに頭を叩きつけていた。
「ぐふぉ」
そして、ケンジは近くの水たまりにギョンゾの顔に突っ込む。
だが、ギョンゾは魚人と言うべきか、水たまりに顔を突っ込んだとたん、素早い動きで顔の拘束を解き、逆にケンジの顔を水たまりに突っ込んだ。
「この悪者がぁ、お前はこの正義の使者である俺が倒してやるぞ!?」
その後もケンジさんがギョンゾの腹をけり上げ、ギョンゾの体が浮いた隙に脱出し、そのまま馬乗りのポーズになってマウントポジションから一方的に殴っている。
あわわわ、俺はどうすれば、か、加勢した方が良いのか?
どうしてケンジさんはステゴロなんだと近くを見れば、武器である斧と小盾は地面に置き去りにされていた。おそらく、あのまま武器を抜くこともできずに、俺たちと戦っている間もずっと素手同士でこんなゴツキ合いをしていたんだろう。
加勢しようとも思ったが、俺では足手まといになりかねない。勝負の行方を見届けるしかなかった。
「おぉぉおおおおぁ!」
マウントポジションから抜け出したギョンゾがケンジに渾身のアッパーを顎にお見舞いする。
体が上にのけ反り、よろめくケンジにさらに追い打ちを掛けようとするギョンゾだったが、それが罠だった。
ケンジはのけ反った状態のまま、鉄槌のような拳をギョンゾに向けて振り下ろした。
「だあああああぁあぁぁあああ!」
ギョンゾも拳を振るうが、速さが圧倒的に違った。
その鉄槌はギョンゾのシャチ頭にもろにめり込み、地面に吹き飛び、倒れ伏した。
「はぁ、はぁ、はぁ」
息を上げた全身がボロボロのケンジがただ一人、この無差別のリングで立っていた。そして、一本指を高らかに上へとかざした。
「おぉぉー」
「すごぉーい」
観戦していた俺たちはそのラストを拍手で彩った。
「……は!」
ポーズを決めたまましばし動かなかったケンジであったが、俺たちを見やりはっとしたように手を降ろした。
そして、咳をしながら俺たちに近づいてきた。
「ごほん、んー、んー、あー、高校の時はボクシング部だったからな、ちょっとハッスルしすぎた」
岩に顔を叩きつけるのをボクシングというのか?
「まぁ、とにかく。そっちは無事そうで良かった」
照れ隠しのように言うケンジに俺は笑いながら言う。
「いえ、ケンジさんも無事で……!?」
安堵していた俺たちだったが、ケンジの後ろで、俺の目に立ち上がるギョンゾが映った。エマも気が付いたようで後ろを見ていると、二人の様子からケンジも気が付いたのだろう、後ろを振り返った。
ギョンゾは体中、特に顔面がぼろぼろになりながらやっとのことのように立っていた。
何か……、様子がおかしい。
俺はハッと気が付いた。ギョンゾが何か骨でできた笛のようなものを手に握っていたのだ。
俺は全身にダメージが残っているケンジを守るため、剣を構えてケンジの前へ出るが、ギョンゾは何やらブツブツと小声でつぶやいている。
「俺、では、勝てない。助けてくれ、正義の科学者様」
急にギョンゾは手に持つ笛のようなものを口に寄せ、思いっきり吹いた。
甲高い音が辺りに響く。俺は咄嗟に身構えたが、辺りの光景は何も変わっていはいなかった。
俺はギョンゾの意図が分からず、首をかしげた。どういうことだろうと、ケンジに意見を聞こうと後ろを振り向いた。
「えっ」
すると、俺の口から洩れるような声が出た。なぜなら、そこにいるはずのケンジの姿が神隠しのように消え去っていたからだった。
種族 獣人(きつね)
レベル12
能力値
HP 18『UP↑2』
MP 12
力 6(+4/+3)=10/9
防御 6(+3)=9『UP↑1』
器用さ 8(+1/+2)=9/10
速さ 8(+1)=9
魔力 5
スキル
罠生成 5
罠設置 4
剣術 7
弓術 4
鑑定 5
アーツ
パワースラッシュ (MP-1)
自動設置 (MP-3)
罠解体
装備
胴 緑大蜥蜴のジャケット
脚 緑大蜥蜴のズボン
腰 マジックポーチ(小)
足 革のブーツ
背中 矢筒 20/50
武器 ブロードソード/強化弦弓』
飛んでいく2人を見ていると、力が尽きたのか俺は腰を落とした。エマが駆け寄ってきた。
「はい、カジはこれ飲んでねー」
そんな俺を見て、エマは俺を支えながら、自分のポーチから取り出したであろうポーションを俺の口に含ませた。
「んっ、んっー」
まるで、赤ちゃんに授乳するかのような体制とやさしさに俺は赤面するが、口の中に入るポーションの苦さにそんな恥ずかしさは吹き飛んだ。
「ぷはぁ……、あぁ、にがぁー」
「よし!もう大丈夫そ?」
苦さにのたうち回りたい俺であったが、俺の視界からダメージ表現であろう赤色に染まった個所はなくなっていた。
少し体を動かして平気なことを確かめる。
「うんー、大丈夫そうだ」
「よし、じゃあ……」
エマが話していると、先ほどシャチ頭のギョンゾと出会った場所の近くから、何か硬いものがぶつかり合うような鈍い音が響いた。
「……いこう、ケンジさんが心配だ」
俺たちはそちらへ向かった。
……
近くへたどり着くと、ケンジとギョンゾがとっ組み合っているのが見えた。いや、より近づいていけば、それがとっ組み合いなんて生易しいものではないことに気が付いた。
「ふん!あたまを、冷やせ!」
ケンジがギョンゾの頭を手でがっちりと掴み上げ、そして勢いのままに手当たり次第の固さのある、岩や大木などに頭を叩きつけていた。
「ぐふぉ」
そして、ケンジは近くの水たまりにギョンゾの顔に突っ込む。
だが、ギョンゾは魚人と言うべきか、水たまりに顔を突っ込んだとたん、素早い動きで顔の拘束を解き、逆にケンジの顔を水たまりに突っ込んだ。
「この悪者がぁ、お前はこの正義の使者である俺が倒してやるぞ!?」
その後もケンジさんがギョンゾの腹をけり上げ、ギョンゾの体が浮いた隙に脱出し、そのまま馬乗りのポーズになってマウントポジションから一方的に殴っている。
あわわわ、俺はどうすれば、か、加勢した方が良いのか?
どうしてケンジさんはステゴロなんだと近くを見れば、武器である斧と小盾は地面に置き去りにされていた。おそらく、あのまま武器を抜くこともできずに、俺たちと戦っている間もずっと素手同士でこんなゴツキ合いをしていたんだろう。
加勢しようとも思ったが、俺では足手まといになりかねない。勝負の行方を見届けるしかなかった。
「おぉぉおおおおぁ!」
マウントポジションから抜け出したギョンゾがケンジに渾身のアッパーを顎にお見舞いする。
体が上にのけ反り、よろめくケンジにさらに追い打ちを掛けようとするギョンゾだったが、それが罠だった。
ケンジはのけ反った状態のまま、鉄槌のような拳をギョンゾに向けて振り下ろした。
「だあああああぁあぁぁあああ!」
ギョンゾも拳を振るうが、速さが圧倒的に違った。
その鉄槌はギョンゾのシャチ頭にもろにめり込み、地面に吹き飛び、倒れ伏した。
「はぁ、はぁ、はぁ」
息を上げた全身がボロボロのケンジがただ一人、この無差別のリングで立っていた。そして、一本指を高らかに上へとかざした。
「おぉぉー」
「すごぉーい」
観戦していた俺たちはそのラストを拍手で彩った。
「……は!」
ポーズを決めたまましばし動かなかったケンジであったが、俺たちを見やりはっとしたように手を降ろした。
そして、咳をしながら俺たちに近づいてきた。
「ごほん、んー、んー、あー、高校の時はボクシング部だったからな、ちょっとハッスルしすぎた」
岩に顔を叩きつけるのをボクシングというのか?
「まぁ、とにかく。そっちは無事そうで良かった」
照れ隠しのように言うケンジに俺は笑いながら言う。
「いえ、ケンジさんも無事で……!?」
安堵していた俺たちだったが、ケンジの後ろで、俺の目に立ち上がるギョンゾが映った。エマも気が付いたようで後ろを見ていると、二人の様子からケンジも気が付いたのだろう、後ろを振り返った。
ギョンゾは体中、特に顔面がぼろぼろになりながらやっとのことのように立っていた。
何か……、様子がおかしい。
俺はハッと気が付いた。ギョンゾが何か骨でできた笛のようなものを手に握っていたのだ。
俺は全身にダメージが残っているケンジを守るため、剣を構えてケンジの前へ出るが、ギョンゾは何やらブツブツと小声でつぶやいている。
「俺、では、勝てない。助けてくれ、正義の科学者様」
急にギョンゾは手に持つ笛のようなものを口に寄せ、思いっきり吹いた。
甲高い音が辺りに響く。俺は咄嗟に身構えたが、辺りの光景は何も変わっていはいなかった。
俺はギョンゾの意図が分からず、首をかしげた。どういうことだろうと、ケンジに意見を聞こうと後ろを振り向いた。
「えっ」
すると、俺の口から洩れるような声が出た。なぜなら、そこにいるはずのケンジの姿が神隠しのように消え去っていたからだった。
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