トラップって強いよねぇ?

TURE 8

文字の大きさ
上 下
17 / 51
1章

17話 卑怯な手

しおりを挟む
 男は長剣を地面に叩きつける。すると、長剣が叩きつけた地面が液体のように揺れ出していく。

「ストーンボルト!」

 揺れていた地面からなにやら弓矢のようなものが大量に生まれる。そして、俺に向かって一斉に飛んできた。

「っ!?」

 剣で弾こうとするが、弾くたびに新しいものが飛んでくる。俺は横に転がってそれらを避ける。

「はは、弱ぇ」

 これはあいつのスキルの力だろうか?もしかしたらこれが魔法なのかもしれない。俺はさっきの魔法を使われないよう男に肉薄する。男は薄ら笑いを浮かべている。

「はあ!」

 男に肉薄して剣を振るうが、男は長剣を振るわなかった。だが、その代わりに

「よっと」

 地面でうずくまっている子供の首を掴んで俺の真ん前に掲げた。

「!」

 俺の剣を振るう手はそこでピタッと止まってしまう。

「ええ、優しいな。こんなNPCの為に」

「おっさん、そんな漫画の悪役みたいな真似して嬉しいのか?」

「ああ、嬉しいし、楽しいなあ!」

 愉悦の笑みを浮かべながら男の長剣が俺の脇腹に突き刺さる。

「ぐっ!?」

 脇腹から熱いものが込み上げてくる。微量な痛みが俺の体を駆け巡る。それと同時に視界が縁が赤く染まる。

 思ったほどは痛くない。ゲームだからだからか?視界が少し赤く染まったのはダメージ表現だろうか?

 痛みの少なさに、これ幸いと俺は剣が突き刺さったまま男を思いっきり蹴り飛ばす。

「うおっ!?」

 男は驚き、地面にゴロゴロと転がる。俺の脇腹から剣が抜ける。

「よっと」

 男が手放した子供をしっかりキャッチする。とりあえず男から逃げる為、子供を抱きながら森を走る。森は転びやすいため慎重に早く走る。

「あっ、待てクソガキ!」
 
 男の声が聞こえたが無視だ。

 男が見えなくなったところで少しペースを下げる。

「おい、大丈夫か?」

「は、はい」

 子供は見た感じネコの獣人のようだ。ネコひげが付いている。顔には大きな痣が付いていて見ているだけで痛々しい。服装はボロボロの布切れ一枚だ。

「俺の名前はカジ。君は?」

「ぼ、僕には名前がないです」

「あっ、なんか訳あり?」

「はい……」

 彼にはどうやら名前がないらしい。


「怪我、大丈夫か?」

「あっ、なんとか」

 大丈夫と言っていたが痛そうに体をさすっていた。

「あとでポーションをあげるよ」

「いいんですか?」

 俺は笑顔で言う。

「いいよ。助けたんだからね」

「ありがとうございます……」

 彼も遠慮がちであるが笑ってくれた。

 ……どこか休めるところを探そう。






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

戦闘職をしたくてVRMMOを始めましたが、意図せずユニークテイマーという職業になったので全力でスローライフを目指します

地球
ファンタジー
「え?何この職業?」 初めてVRMMOを始めようとしていた主人公滝沢賢治。 やろうと決めた瞬間、戦闘職を選んでいた矢先に突然出てきた職業は【ユニークテイマー】だった。 そのゲームの名はFree Infinity Online 世界初であるフルダイブ型のVRゲームであり、AIがプレイヤーの様子や行動を把握しイベントなどを考えられるゲームであった。 そこで出会った職業【ユニークテイマー】 この職業で、戦闘ではなくてスローライフを!! しかし、スローライフをすぐにはできるわけもなく…?

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

三男のVRMMO記

七草
ファンタジー
自由な世界が謳い文句のVRMMOがあった。 その名も、【Seek Freedom Online】 これは、武道家の三男でありながら武道および戦闘のセンスが欠けらも無い主人公が、テイムモンスターやプレイヤー、果てにはNPCにまで守られながら、なんとなく自由にゲームを楽しむ物語である。 ※主人公は俺TUEEEEではありませんが、生産面で見ると比較的チートです。 ※腐向けにはしませんが、主人公は基本愛されです。なお、作者がなんでもいける人間なので、それっぽい表現は混ざるかもしれません。 ※基本はほのぼの系でのんびり系ですが、時々シリアス混じります。 ※VRMMOの知識はほかの作品様やネットよりの物です。いつかやってみたい。 ※お察しの通りご都合主義で進みます。 ※世界チャット→SFO掲示板に名前を変えました。 この前コメントを下された方、返信内容と違うことしてすみません<(_ _)> 変えた理由は「スレ」のほかの言い方が見つからなかったからです。 内容に変更はないので、そのまま読んで頂いて大丈夫です。

モノ作りに没頭していたら、いつの間にかトッププレイヤーになっていた件

こばやん2号
ファンタジー
高校一年生の夏休み、既に宿題を終えた山田彰(やまだあきら)は、美人で巨乳な幼馴染の森杉保奈美(もりすぎほなみ)にとあるゲームを一緒にやらないかと誘われる。 だが、あるトラウマから彼女と一緒にゲームをすることを断った彰だったが、そのゲームが自分の好きなクラフト系のゲームであることに気付いた。 好きなジャンルのゲームという誘惑に勝てず、保奈美には内緒でゲームを始めてみると、あれよあれよという間にトッププレイヤーとして認知されてしまっていた。 これは、ずっと一人でプレイしてきたクラフト系ゲーマーが、多人数参加型のオンラインゲームに参加した結果どうなるのかと描いた無自覚系やらかしVRMMO物語である。 ※更新頻度は不定期ですが、よければどうぞ

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

俺だけレベルアップできる件~ゴミスキル【上昇】のせいで実家を追放されたが、レベルアップできる俺は世界最強に。今更土下座したところでもう遅い〜

平山和人
ファンタジー
賢者の一族に産まれたカイトは幼いころから神童と呼ばれ、周囲の期待を一心に集めていたが、15歳の成人の儀で【上昇】というスキルを授けられた。 『物質を少しだけ浮かせる』だけのゴミスキルだと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 途方にくれるカイトは偶然、【上昇】の真の力に気づく。それは産まれた時から決まり、不変であるレベルを上げることができるスキルであったのだ。 この世界で唯一、レベルアップできるようになったカイトは、モンスターを倒し、ステータスを上げていく。 その結果、カイトは世界中に名を轟かす世界最強の冒険者となった。 一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトを追放したことを後悔するのであった。

生産職から始まる初めてのVRMMO

結城楓
ファンタジー
最近流行りのVRMMO、興味がないわけではないが自分から手を出そうと思ってはいなかったふう。 そんな時、新しく発売された《アイディアル・オンライン》。 そしてその発売日、なぜかゲームに必要なハードとソフトを2つ抱えた高校の友達、彩華が家にいた。 そんなふうが彩華と半ば強制的にやることになったふうにとっては初めてのVRMMO。 最初のプレイヤー設定では『モンスターと戦うのが怖い』という理由から生産職などの能力を選択したところから物語は始まる。 最初はやらざるを得ない状況だったフウが、いつしか面白いと思うようになり自ら率先してゲームをするようになる。 そんなフウが贈るのんびりほのぼのと周りを巻き込み成長していく生産職から始まる初めてのVRMMOの物語。

ごめんみんな先に異世界行ってるよ1年後また会おう

味噌汁食べれる
ファンタジー
主人公佐藤 翔太はクラスみんなより1年も早く異世界に、行ってしまう。みんなよりも1年早く異世界に行ってしまうそして転移場所は、世界樹で最強スキルを実でゲット?スキルを奪いながら最強へ、そして勇者召喚、それは、クラスのみんなだった。クラスのみんなが頑張っているときに、主人公は、自由気ままに生きていく

処理中です...