31 / 31
第1章
1-30テレシア
しおりを挟む
寂しいそうな彼の横顔を見た。
「またな…」
「待っ…!!」
言葉を発する前に次元の裂け目に飲まれた私は、擬似的な転移魔法を発動して自身の国へと帰還したのだった。
「くっそ!今から行けばまだっ!なんだ!?…っ!」
直後急激な頭痛に襲われたかと思うと頭にイメージが湧いてきた。
「これは…、アイツから受け取った王専用スキルか!っ…!」
イメージから湧いてきたのは、おそらく私が飛ばされた後の王の間の光景。その無残な光景に思わず、私は言葉を失った。全身に突き刺さる数本の槍、切断された腕、おびただしい出血の量、その光景は彼が助からないことを意味する。この光景が見えていることが分かっているのか彼は小声で何かを話している。
「見えているんだよなぁ…、はぁ…ネイシアは…。よく聞け、俺にはもう…時間はない。お前は今現在…危ない状況下にある…周りに疎いお前のことだ…きっと自分が罠にはめているつもりでも敵の作戦にまんまとハマっていることに気づいていないことだろうな…はぁ今から伝えることをよく聞いて行動してくれ、分かったか?」
血を流しながら言葉を紡ぎ出すその姿を見て俺は聞かざる負えなかった。
「お前が今からやることは2つ…1つは俺の娘ノア・ヴァーミリオンを東の方向へ、騎士団長とともに、お前が逃がしたことを勘づかれないようにして逃がすこと…2つめは俺が死んだ後俺の死体を…大戦中に死んだかつての勇者が眠っている墓に埋めろ…以上だ。作戦の難易度的には、2つ目の方が…面倒かもしれんがよろしく頼むッ…安心しろ俺が死んだ後の回収は簡単だと思う…、これも未来視で見た…、健闘を…祈る 」
言いたいことだけ好き勝手に言うと糸が切れた人形の如くテレシアは息を途絶えたようだ。まったくあの男らしいな…、最後まで分からん男だった。
「…1つ目の願い、ノア姫と騎士団長を国外へ逃がすだったか?そっちの方は簡単だ。暗部と連携を取って逃がすことが可能ではあるが…問題は2つ目の死体の件だ。どういう意図でそんなことを言い出したのかはわからんが、回収が難しくはないとあいつ本人が言っていたしな」
そして、私はテレシアに仕えていた暗部の者達を呼び出した。
「何用だ、ネイシア王」
簡素な問に笑を零しかけるが、堪えつつ話を始める。
「私は、王という柄ではなくてな…すまないが砕けた話し方になるが許して欲しい」
「許すも何も我らはテレシア王より貴方に使えよと申された、我らは元より無から与えられた人間に過ぎぬ何なりと王よ」
全くテレシアめ、随分と懐かれていたみたいじゃないか。私も、国を持たなければあいつに仕えていたがな!私の方がテレシアラブなのだ!はっはっはっ!!
「あの、王よ…その…ニヤけた顔は良した方がいい、ブサ…変な顔になっているからな」
「おまっ…今ブサイクって言いかけたわよね!!許さないわよ貴方!!」
「取り敢えず話を進めてください、一応王様でしょう!?」
たわいのない会話をほんの少しだけした後、話を始めた。
「テレシア・ヴァーミリオンが死んだわ」
私が一言この言葉を告げた途端、暗部達は一瞬悲壮感の顔を見せたがすぐに聞き返してきた。
「そうですか…、あの方の最後は…どうでしたか?」
「アイツらしい最後だったわ…アイツったら無数の槍に体を貫かれながらも私たちに希望を託してきたのよ、それも2つも…恐らくこれが未来に繋がる手掛かりになる筈よ」
そうですかと答えると彼らは、私に我らは何をすればと問いかけてきた。
「貴方達にはこれから起こるであろうことを一通り話しておくわ、それからテレシアから言い渡された約束もね」
それから私は、話し始めた未来のことそしてあいつと交わした約束の事を。
「またな…」
「待っ…!!」
言葉を発する前に次元の裂け目に飲まれた私は、擬似的な転移魔法を発動して自身の国へと帰還したのだった。
「くっそ!今から行けばまだっ!なんだ!?…っ!」
直後急激な頭痛に襲われたかと思うと頭にイメージが湧いてきた。
「これは…、アイツから受け取った王専用スキルか!っ…!」
イメージから湧いてきたのは、おそらく私が飛ばされた後の王の間の光景。その無残な光景に思わず、私は言葉を失った。全身に突き刺さる数本の槍、切断された腕、おびただしい出血の量、その光景は彼が助からないことを意味する。この光景が見えていることが分かっているのか彼は小声で何かを話している。
「見えているんだよなぁ…、はぁ…ネイシアは…。よく聞け、俺にはもう…時間はない。お前は今現在…危ない状況下にある…周りに疎いお前のことだ…きっと自分が罠にはめているつもりでも敵の作戦にまんまとハマっていることに気づいていないことだろうな…はぁ今から伝えることをよく聞いて行動してくれ、分かったか?」
血を流しながら言葉を紡ぎ出すその姿を見て俺は聞かざる負えなかった。
「お前が今からやることは2つ…1つは俺の娘ノア・ヴァーミリオンを東の方向へ、騎士団長とともに、お前が逃がしたことを勘づかれないようにして逃がすこと…2つめは俺が死んだ後俺の死体を…大戦中に死んだかつての勇者が眠っている墓に埋めろ…以上だ。作戦の難易度的には、2つ目の方が…面倒かもしれんがよろしく頼むッ…安心しろ俺が死んだ後の回収は簡単だと思う…、これも未来視で見た…、健闘を…祈る 」
言いたいことだけ好き勝手に言うと糸が切れた人形の如くテレシアは息を途絶えたようだ。まったくあの男らしいな…、最後まで分からん男だった。
「…1つ目の願い、ノア姫と騎士団長を国外へ逃がすだったか?そっちの方は簡単だ。暗部と連携を取って逃がすことが可能ではあるが…問題は2つ目の死体の件だ。どういう意図でそんなことを言い出したのかはわからんが、回収が難しくはないとあいつ本人が言っていたしな」
そして、私はテレシアに仕えていた暗部の者達を呼び出した。
「何用だ、ネイシア王」
簡素な問に笑を零しかけるが、堪えつつ話を始める。
「私は、王という柄ではなくてな…すまないが砕けた話し方になるが許して欲しい」
「許すも何も我らはテレシア王より貴方に使えよと申された、我らは元より無から与えられた人間に過ぎぬ何なりと王よ」
全くテレシアめ、随分と懐かれていたみたいじゃないか。私も、国を持たなければあいつに仕えていたがな!私の方がテレシアラブなのだ!はっはっはっ!!
「あの、王よ…その…ニヤけた顔は良した方がいい、ブサ…変な顔になっているからな」
「おまっ…今ブサイクって言いかけたわよね!!許さないわよ貴方!!」
「取り敢えず話を進めてください、一応王様でしょう!?」
たわいのない会話をほんの少しだけした後、話を始めた。
「テレシア・ヴァーミリオンが死んだわ」
私が一言この言葉を告げた途端、暗部達は一瞬悲壮感の顔を見せたがすぐに聞き返してきた。
「そうですか…、あの方の最後は…どうでしたか?」
「アイツらしい最後だったわ…アイツったら無数の槍に体を貫かれながらも私たちに希望を託してきたのよ、それも2つも…恐らくこれが未来に繋がる手掛かりになる筈よ」
そうですかと答えると彼らは、私に我らは何をすればと問いかけてきた。
「貴方達にはこれから起こるであろうことを一通り話しておくわ、それからテレシアから言い渡された約束もね」
それから私は、話し始めた未来のことそしてあいつと交わした約束の事を。
0
お気に入りに追加
19
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
発展科学の異端者
ユウ
ファンタジー
世界は、科学の発展した新科学時代。ある時科学者たちは、見つけてはいけない神秘の産物を発見する。それは、この世界と他の世界をつなぐものだった。研究者はこれを応用すれば、様々なことができると考え、研究に取り組む。だがそれが世界に悲劇を齎すこととなる。
この世界の生物ではない、化け物(モンスター)がこの世界に現れるようになる。その結果、何か国かは滅びる道を進んだ。だが人類は、驚くべきスピードで対抗手段を見つける。それは『科学武装』と呼ばれるものだった。それは、科学魔法と呼ばれるものと科学武装と呼ばれるものだった。
まず科学魔法は、科学に基づき、火・水・雷・土・風を発動できるものだ。そのためには、かなりの練習と適性が必要である。逆に科学武装は、適正よりも、鍛錬の方が大事である。人にあった武器を練習する必要があり、それを習得できたものは、魔物狩りが許される。その姿を皆は『科学武装師』と呼ぶ。
これは新科学時代の、ルーア国に生まれた天災科学武装師、城ケ崎(じょうがさき)零(れい)の物語
更新予定は、基本的に土曜日、日曜日の18時頃を予定してます。
たまに、平日も投稿するかもです
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる