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メイク音源
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さて、今日は〇月〇日。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。私ね、実は挑戦してみたいことがありまして、この機会にそのいくつかをお話してみてもいいですか?
まずひとつは官能小説。何言ってるの、と思うかもしれませんが、官能小説って案外、表現力を試されると思うんですよ。どれだけ直接的な言葉を使わずに、読んでいる人をその気にさせるか。その気にっていうのは語弊があるけど、もちろんいかにエッチな気分にさせるかも重要ですよ。でもね、物語の書き手にとって、最も難しく最も嬉しいのは、何より最後まで読んでもらえることだと思うのです。そう考えるとコメディとも似ているような気がしますが、官能小説も同じくひとたび現実に引き戻されたらそこで終わりです。物語の外、つまり私たちが生きる現実を意識してしまったら、もう空想の世界に浸ることはできません。リアルな表現でありながら、リアルな世界ではない物語を読み手は求めているのですから、リアリティはあってもリアルであってはいけないのです。コメディもそうですよね。笑い以外の要素に一度引っかかってしまうと、その後ずっと笑いに集中できなくなってしまう。いかに、読み手を物語の壮大な世界に引きずり込めるかが勝負なのです。最後まで官能小説を読み切ってもらえたら、私の中の何かが変わる、いえ、それどころか新境地だって芽生えるかもしれません。
さて、もうひとつ挑戦してみたいことがあります。それは『メイク動画』ならぬ『メイク音源』です。ラジオという顔の見えない媒体を通して、どれだけ正確に物事を伝えられるか。小説家として腕が鳴りますね。こちらは官能小説と違って今すぐできることなので、今ここで実践してみましょう。なんて、ひどい仕上がりになったらどうしようと思って今まで言い出せなかったのですが。メイクに興味がない方も、ぜひ想像力を逞しくして、楽しんでくださいね。
では、皆さん。鏡を用意するか、もしくは福笑いをイメージしてください。要は自分の顔で実践するか、脳内の私の顔で実践するかということです。準備はよろしいですか? まずは簡単に私の顔のパーツから紹介していきましょう。輪郭は丸いです、顔は小さめ。成人用のマスクでは大きく、女性用マスクでないとうまくフィットしません。眉毛と目の間は近く、目と目の間も近いです。そして、二重幅は狭い。もともと一重に近い奥二重だったので、今も二重のラインがかろうじて見える程度です。その代わり、いわゆる切開ラインと呼ばれる目頭側の目の端は、わりと深く下に向けて切り込みが入っています。鼻は低く、ぽってりしていて、鼻筋が通っているという表現とは程遠いです。口は小さく、唇はやや薄めでしょうか。パーツそれぞれだけを見れば整っているように見えますが、鼻が低いせいか、顔全体で見るとまぁ普通といった感じです。
では、メイクに移りましょう。スキンケアは皆さんそれぞれ肌に合ったものを使うと思いますから、省きますね。時間も限られているので、ファンデーションからいきましょう。私はクッションファンデーションを使うことが多いです。乾燥も気になりますし、毛穴も気になる。私は肌が白く、コンシーラーを使うとほぼ間違いなく浮くので、ファンデーションだけで毛穴をカバーできる高性能なものを選んでいます。さて、ポイントメイクにいきましょう。まずは眉。私はどこをメイクし終えたか忘れないように、上から順にやっていきます。私の眉は放っておくと、「なぜそんな生え方をする?」という不可解極まりない形になっていくので、大体眉頭を残して、眉尻のほうは剃っています。でも、あるに越したことはありませんから、皆さんは皆さんの眉と相談してくださいね。眉の太さはちょうどいいので、眉頭からパウダーで理想の長さの少し手前あたりまで埋めます。その後、リキッドかペンシルを使って、そのパウダーで描いた眉の外側のラインを描いていきます。蛍光ペンで文字を書いたその外側を同じ色のボールペンで縁取るようなイメージですね。私は眉山を作る器用さはありませんが、似たようなことができるという特技があります。そのポイントがここ。リキッドかペンシルで縁取りをする際に、まずは下のラインを定めます。さっきも言ったように私は眉と目の間が近いので、自分の眉を基準に、そこからは下げないようにします。眉尻に向かって、気持ち上がっていくように描き、理想の長さの手前で止めます。そうしたら今度は上のラインです。上は今描いた下のラインに向かって自然に収束するような形で下ろしていき、理想の長さまでそのまま延長します。そうすると、上に向かっている下のラインと、上から自然に下ろしてきた上のラインとがちょうど交わるところで綺麗な山らしきものができるのです。いかがでしょう。あとは適宜、眉マスカラなどで髪の色に合わせます。
次はアイメイクですね。アイシャドウは大体4色パレットを使うことが多いです。見本通りに一番薄い色からグラデーションになるようにしますが、私のメイクのポイントは幅の狭い二重をいかに、アイラインで潰してしまわないかです。アウトラインと呼ばれるまつ毛の上をなぞるラインは、二重幅が消失してしまうので描きません。私はまつ毛の際を埋めるインラインを、ジェルライナーで描き、アウトラインがわりにアイシャドウパレットの一番濃い色を入れるようにしています。そうすると、二重幅が暗い色で埋まり、目に奥行きが出るような気がするからです。そして、私のような不器用な人間は、インラインがはみ出してしまうこともあるのですが、インラインを引いた後に濃い色のシャドウを入れることで、それも誤魔化せるんですね。ただし、インラインを引く場合はくれぐれも気をつけてくださいね。目に刺さったら大変ですからね!
まぁ、といったところで、他に私のメイクに特別なところはありません。あとはインラインの前にあげたまつ毛にマスカラを塗って、チークを塗って、リップを塗るだけです。そのあたりは私なんかより、皆さんのほうがきっと意識されていると思うので省略しますね。ラジオだからというよりも、私にこだわりがないからです。おそらく動画だとしても、同じように省略すると思います。
さて、皆さんいかがでしょう? 福笑いが本当の福笑いになってしまっていないことを願いつつ、そろそろお別れの時間です。今日は私の表現力という名の茶番にお付き合いいただいたようで恐縮ですが、たまにはこういうのもいいですよね。息抜きというのは大事です。難しいことを考えずに、好きなことを楽しみたい。そんな日があってもいいんです。皆さんも、仕事で疲れて、もう何もやる気が起きなくて、でも明日の朝も、「仕事行きたくないけどメイクしなきゃ~」なんて言いながら会社に出かけるのです。こんなルーティン早く抜け出したいけど、そうもいかないのが人間が人間たる所以ですよね。皆さん、明日からも無理せず、自分を労わりながら一日一日を過ごしましょうね。では、また来週。深見小夜子でした。
まずひとつは官能小説。何言ってるの、と思うかもしれませんが、官能小説って案外、表現力を試されると思うんですよ。どれだけ直接的な言葉を使わずに、読んでいる人をその気にさせるか。その気にっていうのは語弊があるけど、もちろんいかにエッチな気分にさせるかも重要ですよ。でもね、物語の書き手にとって、最も難しく最も嬉しいのは、何より最後まで読んでもらえることだと思うのです。そう考えるとコメディとも似ているような気がしますが、官能小説も同じくひとたび現実に引き戻されたらそこで終わりです。物語の外、つまり私たちが生きる現実を意識してしまったら、もう空想の世界に浸ることはできません。リアルな表現でありながら、リアルな世界ではない物語を読み手は求めているのですから、リアリティはあってもリアルであってはいけないのです。コメディもそうですよね。笑い以外の要素に一度引っかかってしまうと、その後ずっと笑いに集中できなくなってしまう。いかに、読み手を物語の壮大な世界に引きずり込めるかが勝負なのです。最後まで官能小説を読み切ってもらえたら、私の中の何かが変わる、いえ、それどころか新境地だって芽生えるかもしれません。
さて、もうひとつ挑戦してみたいことがあります。それは『メイク動画』ならぬ『メイク音源』です。ラジオという顔の見えない媒体を通して、どれだけ正確に物事を伝えられるか。小説家として腕が鳴りますね。こちらは官能小説と違って今すぐできることなので、今ここで実践してみましょう。なんて、ひどい仕上がりになったらどうしようと思って今まで言い出せなかったのですが。メイクに興味がない方も、ぜひ想像力を逞しくして、楽しんでくださいね。
では、皆さん。鏡を用意するか、もしくは福笑いをイメージしてください。要は自分の顔で実践するか、脳内の私の顔で実践するかということです。準備はよろしいですか? まずは簡単に私の顔のパーツから紹介していきましょう。輪郭は丸いです、顔は小さめ。成人用のマスクでは大きく、女性用マスクでないとうまくフィットしません。眉毛と目の間は近く、目と目の間も近いです。そして、二重幅は狭い。もともと一重に近い奥二重だったので、今も二重のラインがかろうじて見える程度です。その代わり、いわゆる切開ラインと呼ばれる目頭側の目の端は、わりと深く下に向けて切り込みが入っています。鼻は低く、ぽってりしていて、鼻筋が通っているという表現とは程遠いです。口は小さく、唇はやや薄めでしょうか。パーツそれぞれだけを見れば整っているように見えますが、鼻が低いせいか、顔全体で見るとまぁ普通といった感じです。
では、メイクに移りましょう。スキンケアは皆さんそれぞれ肌に合ったものを使うと思いますから、省きますね。時間も限られているので、ファンデーションからいきましょう。私はクッションファンデーションを使うことが多いです。乾燥も気になりますし、毛穴も気になる。私は肌が白く、コンシーラーを使うとほぼ間違いなく浮くので、ファンデーションだけで毛穴をカバーできる高性能なものを選んでいます。さて、ポイントメイクにいきましょう。まずは眉。私はどこをメイクし終えたか忘れないように、上から順にやっていきます。私の眉は放っておくと、「なぜそんな生え方をする?」という不可解極まりない形になっていくので、大体眉頭を残して、眉尻のほうは剃っています。でも、あるに越したことはありませんから、皆さんは皆さんの眉と相談してくださいね。眉の太さはちょうどいいので、眉頭からパウダーで理想の長さの少し手前あたりまで埋めます。その後、リキッドかペンシルを使って、そのパウダーで描いた眉の外側のラインを描いていきます。蛍光ペンで文字を書いたその外側を同じ色のボールペンで縁取るようなイメージですね。私は眉山を作る器用さはありませんが、似たようなことができるという特技があります。そのポイントがここ。リキッドかペンシルで縁取りをする際に、まずは下のラインを定めます。さっきも言ったように私は眉と目の間が近いので、自分の眉を基準に、そこからは下げないようにします。眉尻に向かって、気持ち上がっていくように描き、理想の長さの手前で止めます。そうしたら今度は上のラインです。上は今描いた下のラインに向かって自然に収束するような形で下ろしていき、理想の長さまでそのまま延長します。そうすると、上に向かっている下のラインと、上から自然に下ろしてきた上のラインとがちょうど交わるところで綺麗な山らしきものができるのです。いかがでしょう。あとは適宜、眉マスカラなどで髪の色に合わせます。
次はアイメイクですね。アイシャドウは大体4色パレットを使うことが多いです。見本通りに一番薄い色からグラデーションになるようにしますが、私のメイクのポイントは幅の狭い二重をいかに、アイラインで潰してしまわないかです。アウトラインと呼ばれるまつ毛の上をなぞるラインは、二重幅が消失してしまうので描きません。私はまつ毛の際を埋めるインラインを、ジェルライナーで描き、アウトラインがわりにアイシャドウパレットの一番濃い色を入れるようにしています。そうすると、二重幅が暗い色で埋まり、目に奥行きが出るような気がするからです。そして、私のような不器用な人間は、インラインがはみ出してしまうこともあるのですが、インラインを引いた後に濃い色のシャドウを入れることで、それも誤魔化せるんですね。ただし、インラインを引く場合はくれぐれも気をつけてくださいね。目に刺さったら大変ですからね!
まぁ、といったところで、他に私のメイクに特別なところはありません。あとはインラインの前にあげたまつ毛にマスカラを塗って、チークを塗って、リップを塗るだけです。そのあたりは私なんかより、皆さんのほうがきっと意識されていると思うので省略しますね。ラジオだからというよりも、私にこだわりがないからです。おそらく動画だとしても、同じように省略すると思います。
さて、皆さんいかがでしょう? 福笑いが本当の福笑いになってしまっていないことを願いつつ、そろそろお別れの時間です。今日は私の表現力という名の茶番にお付き合いいただいたようで恐縮ですが、たまにはこういうのもいいですよね。息抜きというのは大事です。難しいことを考えずに、好きなことを楽しみたい。そんな日があってもいいんです。皆さんも、仕事で疲れて、もう何もやる気が起きなくて、でも明日の朝も、「仕事行きたくないけどメイクしなきゃ~」なんて言いながら会社に出かけるのです。こんなルーティン早く抜け出したいけど、そうもいかないのが人間が人間たる所以ですよね。皆さん、明日からも無理せず、自分を労わりながら一日一日を過ごしましょうね。では、また来週。深見小夜子でした。
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