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好物は冷めたホットコーヒー
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さて、今日は〇月〇日。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。窓から入る日光についつい微睡んでしまう昼下がり、休みの日ならそのまま身を任せてもいいかなぁなんて思いますが、仕事中、特に締切が近い時にはもう恨めしくて恨めしくて仕方がありませんね。学生の頃、一度も授業中に居眠りをしなかったという人は一体どれくらいいるんでしょうか。あまり大きな声じゃ言えませんが、知らず知らず船を漕いでしまうことってありますよね。昼休みが終わってお腹もいっぱいだし、春の陽気ってぽかぽか暖かいし、先生の声ってなんだか眠気を誘うし。
眠気を誘うと言えば、春の日差しって不思議ですよね。暖房と比べてパワーはないけれど、その絶妙な柔らかさが心地よいというか。まさに“ぽかぽか“という形容がぴったりですよね。猫ちゃんが日向ぼっこしたくなるのもわかります。
一番暖かいのは人肌とよく言いますが、やっぱり自然界に元から存在しているものが最も強く最も優しい光を持っているのでしょう。人口のものがどれだけ大きくどれだけ広く世界を照らせたとしても、やはり所詮、人口なのです。どれだけ技術が進歩して、どれだけ形態が進化しても、人の温もりというのはきっと永遠に再現できないのだと私は思います。専門家ではないので偉そうなことは言えませんが、自然に生まれたものはそれほど尊く、かけがえのない存在だということですね。誰にも辿り着くことは許されない、不可侵の領域。もしもそうでなければ、人間なんてやってられませんよ。ねえ?
それはともかく、皆さんは絶対に眠ってはいけない時に眠らないようないい対処法、何か持っていますか? 学生の頃によくやったのは、手の甲をつねるとか、ペン先を刺すとかでしょうか。手荒な方法ですし、痛みは一瞬だけ覚醒させてくれますが、結局のところあまり効果はありませんよね。大人になると、仕事の合間にコーヒーを飲むという方も多いのではないでしょうか。かくいう私もそうなのですが、ホットとアイス皆さんはどちらが好きでしょう? 私はホットのほうが好みなんですが、いかんせん猫舌でして、かと言ってアイスはアイスで今度は知覚過敏が反応するんですね。そしていつしか、私の好物は冷めたホットコーヒーになりました。
その話をね、私の若い頃の知り合いにしたところ、「口の中もしっちゃかめっちゃかなんだね~」と言われました。というのも、私は当時、情緒不安定でね。苛々してたと思ったら笑っていたり、笑っていたと思ったらブチギレていたりと、まぁまぁ扱いにくい面倒な女、もとい人間だったと思います。そんな中で猫舌の知覚過敏ですから、ええ、そりゃもうしっちゃかめっちゃかなんですよ、私は。
最近はね、感情の起伏も少なくなりましたけどね。それがいいことか悪いことかわかりませんが、ポジティブに考えるとすれば、少なくともあの頃よりは心に余裕が持てているということかもしれません。まぁもういい大人ですし、いわば若気の至りというやつで。皆さんもあるでしょう? 若気の至り。若いからと言って何をしても許されるわけではもちろんありませんが、多少のことは大目に見てもらえますよね。若さという特権です。大丈夫、きっとあなたの上司や先輩も、たとえどれだけ仕事のできる人でも一つや二つ、そういったエピソードがあるはずです。
コーヒーの話ではありませんが、苦い思い出ってなぜか忘れられないものですよね。穴があったら入りたいくらい恥ずかしいのに、穴は当然ないし、よしんば穴に入れたとしても現実から目を背けただけで、記憶がなくなるわけでも、ましてやその行為自体がなかったことになるわけでもない。まるでコーヒーのように、飲み終えた後も独特の余韻を残していく。それでもまだ美味しいと思えれば良いのですが、なかなかそううまくはいきませんよね。
私はコーヒーは好きですが、わりとインスタントでも美味しく飲めるタイプなので、コーヒーそれぞれの味の違いについてはあまり詳しくありません。それでも、冷めたホットコーヒーと元からアイスで淹れたコーヒーとは、やっぱり風味が違う気がします。コーヒーを冷ましながら、甘いものを食べる。これが至福の時なんですが、あらあら、眠気覚ましの話をしてたのに、これじゃまるで人生の縮図みたい。なんて思うのは私だけでしょうか。甘いものは苦いもので塗り替えられて、そしてまたすぐ甘いものを求めたくなって。酸いも甘いも際限ないけれど、いつしかそのどちらをも受け止められるだけのエネルギーを蓄えるのが、このティータイムの本当の意義なのかもしれません。仕事中もそうですよね。お茶を飲む束の間だけは、仕事のことを忘れられる。そしてその仕事をよりよく、より効率的にするための、思考と力を蓄える時間です。
皆さんはいかがです? 中にはコーヒーにも砂糖やミルクをこんもり入れて、甘いと甘いの甘々コンボを楽しむ方もいらっしゃるかもしれません。苦いと辛いで四苦八苦するのが好きな方だっているでしょう。好みは人それぞれ、人生も人それぞれです。
どんな人生を歩むか、それは自分自身にもわかりません。でも、『幸せで在りたい』と思うのはきっと世界共通だと思うのです。幸せの基準にしてもみんな違って、幸せの種類もみんな違う。ともすると、あの人はこうだから私より幸せなんて考えてしまうけれど、考えるだけ無駄なのでしょう。だって、あの人と私は違いますから。私はね、苦いことはできるだけ経験したくないし、苦い思い出が増えるたびに、あぁこれよりもっと苦い思いをしたら情報が上書きされて、私以上に周りのみんなが忘れてくれるかしらなんて栓のないことを考えたりします。私の失敗や知って欲しくないことは、一刻も早く記憶から消し去って欲しいものですよね。
でも、それってたぶんありとあらゆる人が一度は経験することでしょう。私だけじゃない、あなただけでもない。恥ずかしいと思うことは恥ずべきことではありません。恥ずかしいと思わないことのほうが、実は恥ずかしいのかもしれません。
さて、そろそろお別れの時間です。こんな時間にコーヒーを飲んでいるそこのあなた。眠れない夜のお供になりましたか? では、また来週。深見小夜子でした。
眠気を誘うと言えば、春の日差しって不思議ですよね。暖房と比べてパワーはないけれど、その絶妙な柔らかさが心地よいというか。まさに“ぽかぽか“という形容がぴったりですよね。猫ちゃんが日向ぼっこしたくなるのもわかります。
一番暖かいのは人肌とよく言いますが、やっぱり自然界に元から存在しているものが最も強く最も優しい光を持っているのでしょう。人口のものがどれだけ大きくどれだけ広く世界を照らせたとしても、やはり所詮、人口なのです。どれだけ技術が進歩して、どれだけ形態が進化しても、人の温もりというのはきっと永遠に再現できないのだと私は思います。専門家ではないので偉そうなことは言えませんが、自然に生まれたものはそれほど尊く、かけがえのない存在だということですね。誰にも辿り着くことは許されない、不可侵の領域。もしもそうでなければ、人間なんてやってられませんよ。ねえ?
それはともかく、皆さんは絶対に眠ってはいけない時に眠らないようないい対処法、何か持っていますか? 学生の頃によくやったのは、手の甲をつねるとか、ペン先を刺すとかでしょうか。手荒な方法ですし、痛みは一瞬だけ覚醒させてくれますが、結局のところあまり効果はありませんよね。大人になると、仕事の合間にコーヒーを飲むという方も多いのではないでしょうか。かくいう私もそうなのですが、ホットとアイス皆さんはどちらが好きでしょう? 私はホットのほうが好みなんですが、いかんせん猫舌でして、かと言ってアイスはアイスで今度は知覚過敏が反応するんですね。そしていつしか、私の好物は冷めたホットコーヒーになりました。
その話をね、私の若い頃の知り合いにしたところ、「口の中もしっちゃかめっちゃかなんだね~」と言われました。というのも、私は当時、情緒不安定でね。苛々してたと思ったら笑っていたり、笑っていたと思ったらブチギレていたりと、まぁまぁ扱いにくい面倒な女、もとい人間だったと思います。そんな中で猫舌の知覚過敏ですから、ええ、そりゃもうしっちゃかめっちゃかなんですよ、私は。
最近はね、感情の起伏も少なくなりましたけどね。それがいいことか悪いことかわかりませんが、ポジティブに考えるとすれば、少なくともあの頃よりは心に余裕が持てているということかもしれません。まぁもういい大人ですし、いわば若気の至りというやつで。皆さんもあるでしょう? 若気の至り。若いからと言って何をしても許されるわけではもちろんありませんが、多少のことは大目に見てもらえますよね。若さという特権です。大丈夫、きっとあなたの上司や先輩も、たとえどれだけ仕事のできる人でも一つや二つ、そういったエピソードがあるはずです。
コーヒーの話ではありませんが、苦い思い出ってなぜか忘れられないものですよね。穴があったら入りたいくらい恥ずかしいのに、穴は当然ないし、よしんば穴に入れたとしても現実から目を背けただけで、記憶がなくなるわけでも、ましてやその行為自体がなかったことになるわけでもない。まるでコーヒーのように、飲み終えた後も独特の余韻を残していく。それでもまだ美味しいと思えれば良いのですが、なかなかそううまくはいきませんよね。
私はコーヒーは好きですが、わりとインスタントでも美味しく飲めるタイプなので、コーヒーそれぞれの味の違いについてはあまり詳しくありません。それでも、冷めたホットコーヒーと元からアイスで淹れたコーヒーとは、やっぱり風味が違う気がします。コーヒーを冷ましながら、甘いものを食べる。これが至福の時なんですが、あらあら、眠気覚ましの話をしてたのに、これじゃまるで人生の縮図みたい。なんて思うのは私だけでしょうか。甘いものは苦いもので塗り替えられて、そしてまたすぐ甘いものを求めたくなって。酸いも甘いも際限ないけれど、いつしかそのどちらをも受け止められるだけのエネルギーを蓄えるのが、このティータイムの本当の意義なのかもしれません。仕事中もそうですよね。お茶を飲む束の間だけは、仕事のことを忘れられる。そしてその仕事をよりよく、より効率的にするための、思考と力を蓄える時間です。
皆さんはいかがです? 中にはコーヒーにも砂糖やミルクをこんもり入れて、甘いと甘いの甘々コンボを楽しむ方もいらっしゃるかもしれません。苦いと辛いで四苦八苦するのが好きな方だっているでしょう。好みは人それぞれ、人生も人それぞれです。
どんな人生を歩むか、それは自分自身にもわかりません。でも、『幸せで在りたい』と思うのはきっと世界共通だと思うのです。幸せの基準にしてもみんな違って、幸せの種類もみんな違う。ともすると、あの人はこうだから私より幸せなんて考えてしまうけれど、考えるだけ無駄なのでしょう。だって、あの人と私は違いますから。私はね、苦いことはできるだけ経験したくないし、苦い思い出が増えるたびに、あぁこれよりもっと苦い思いをしたら情報が上書きされて、私以上に周りのみんなが忘れてくれるかしらなんて栓のないことを考えたりします。私の失敗や知って欲しくないことは、一刻も早く記憶から消し去って欲しいものですよね。
でも、それってたぶんありとあらゆる人が一度は経験することでしょう。私だけじゃない、あなただけでもない。恥ずかしいと思うことは恥ずべきことではありません。恥ずかしいと思わないことのほうが、実は恥ずかしいのかもしれません。
さて、そろそろお別れの時間です。こんな時間にコーヒーを飲んでいるそこのあなた。眠れない夜のお供になりましたか? では、また来週。深見小夜子でした。
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