16 / 56
希望って明るいようで本当は昏い
しおりを挟む
さて、今日は〇月〇日。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。桜も咲き始め、まさに春日和が続いていますね。皆さんはお花見行かれましたか? 前のように特等席を陣取ってさあ酒盛りとまでは行かなくても、お散歩がてら眺めるだけで心が穏やかになるものです。ところによっては屋台が出ていたりと、結局花より団子になってしまうかもしれませんが、それもまたお花見の醍醐味ですよね。
私は『眩しいとくしゃみが出る』という、特殊な体質を持っているので、ずっと太陽と見つめ合うように上を向いていることができないんです。だから、花より団子になるのも致し方ないですよね? ね? それはともかく、この『眩しいとくしゃみが出る』という症状、実はちゃんとした名前があるようなんですが、私はひどいほうで太陽どころか家の電気、さらには真夜中のスマートフォンの光なんかでも反応します。気になった方はぜひ調べてみてください。私ほどではなくても、意外にいるらしいですね? そのわりには周りで出会ったことはないのですが。くしゃみくらいで済んでいますから、それほど深刻視することもないのでしょうが、太陽が出ていると天気が良くていいわ~なんてことより、鼻がむずむずするわ~のほうが先に来て、ちょっと損した気持ちになりますね。
とはいえ、太陽や光といえばやっぱり明るいことの象徴ですよね。自分の支えとなって救ってくれる存在を『あなたは私の太陽』とか、飛び抜けて明るく陰の部分が全くないキャラクターを『光属性』とか。現実で使う機会があるかは微妙なところですが、少なくとも太陽を見て陰鬱な気持ちになるという人はあまりいないでしょう。
逆に夜になると、周りが暗いせいか、それとも一日の終わりということも関係しているでしょうか、なんだかいろいろ考え込んでしまったりして、明るい気持ちになりにくいものです。もちろん今日はいい日だった~とか、明日頑張ろうとか、前向きな気持ちで終われれば最高ですが、それこそ『光属性』だからこそ成せる技かもしれません。
世の中には明るいと暗いの対比がいろいろありますよね。『光』と『闇』もそうですし、『太陽』と『月』もそうです。後者は若干ニュアンスが違いますが、人間の心は潮の満ち引きや月の満ち欠けによって変わるという考え方もありますから、強ち外れてもいないでしょう。
それからやっぱり『希望』と『絶望』ですね。『光』と『闇』がその人の元から持っている性質、性格、特徴なのに対して、『希望』と『絶望』は誰にでもどんな時にでも訪れるものです。自分の意思で避けては通れず、いわば人生の浮き沈みを表現する言葉でしょう。私はよく、この『希望』と『絶望』を波長というか、グラフで描いてみるのですが、皆さんは自分の人生どんな波長だと思いますか?
よく『どん底まで行ったらもう上がるしかない』と言いますよね。でも、実際、幸せが長く続くことは滅多にないと思いませんか? むしろあまりにも良いことが続きすぎると「私、もうすぐ死ぬのでは?」なんて考える人もいるのではないでしょうか。たとえば、ガチャで推しがいっぱい来てくれた時とか。イベントやライブのチケットが続けて取れた時とか。結婚して新しい家族が増えて、そんな生活が長く続いて。なんだかあまりにも幸せすぎると逆に不安になってしまうんですよね。
昔、人生は良いことと悪いことが半分ずつとドラマか何かで耳にした記憶があります。私は心の奥底でそれを信じつつ、人によってはどん底に落ちた後も低空飛行を続けていたり、その人からするとみんな自分よりはるか高いところをずっと平行線で飛んでいるように見えたり、世の中とは不公平だななんて感じることもしばしばあります。結局のところ、それだって『主観』に過ぎないので、順風満帆に見える人でもその人なりの問題を抱えている可能性は大いにありますよね。
もしも、もしもですよ。人生は良いことと悪いことが半分ずつだとしたら、私は過去に闇のないどんな『光属性』も、実は未来に闇が待ち構えているのではないかと不安になることがあります。『光属性』が自分のことをすべからく『幸せ』だと考えているとは限りませんが、あり得ない話ではありませんよね。
人間とは欲深い生き物です。幸せなことがあったら、もっともっととつい求めてしまいがちです。自分が元々持っていた幸せの基準はどんどん釣り上がって、もう満足のしどころがわからなくなって、いつの間にか幸せを求めて登っていた坂道が途切れて、どん底へ真っ逆さまなんてこともあるかもしれません。
『希望』というのは残酷で、意地悪だなと思います。見えれば見えた分だけ『光』を感じてしまう。その向こうの影や『闇』を覆い隠すほどの強い『光』。これほど罪なものはありません。期待したぶん落胆は大きく、実際よりも深い高低差を体感してしまうでしょう。
だから私は、『希望』とは明るいようで本当は昏いものだと思わずにはいられないのです。もちろん『希望』を持つことが悪いのではありません。幸せなことは長く続かないからあまり期待するなと言いたいわけでもない。ただ『希望』や『光』があれば『絶望』や『闇』がある。それがどちらも誰にでも、等しく訪れるかはわかりません。でも、間違いなく存在しているのです。
どうか『希望』や『絶望』に強く支配されないでください。ちょうどよい距離感で、あなたの幸せを追いかけてください。そろそろお別れの時間です。また来週お会いしましょう。深見小夜子でした。
私は『眩しいとくしゃみが出る』という、特殊な体質を持っているので、ずっと太陽と見つめ合うように上を向いていることができないんです。だから、花より団子になるのも致し方ないですよね? ね? それはともかく、この『眩しいとくしゃみが出る』という症状、実はちゃんとした名前があるようなんですが、私はひどいほうで太陽どころか家の電気、さらには真夜中のスマートフォンの光なんかでも反応します。気になった方はぜひ調べてみてください。私ほどではなくても、意外にいるらしいですね? そのわりには周りで出会ったことはないのですが。くしゃみくらいで済んでいますから、それほど深刻視することもないのでしょうが、太陽が出ていると天気が良くていいわ~なんてことより、鼻がむずむずするわ~のほうが先に来て、ちょっと損した気持ちになりますね。
とはいえ、太陽や光といえばやっぱり明るいことの象徴ですよね。自分の支えとなって救ってくれる存在を『あなたは私の太陽』とか、飛び抜けて明るく陰の部分が全くないキャラクターを『光属性』とか。現実で使う機会があるかは微妙なところですが、少なくとも太陽を見て陰鬱な気持ちになるという人はあまりいないでしょう。
逆に夜になると、周りが暗いせいか、それとも一日の終わりということも関係しているでしょうか、なんだかいろいろ考え込んでしまったりして、明るい気持ちになりにくいものです。もちろん今日はいい日だった~とか、明日頑張ろうとか、前向きな気持ちで終われれば最高ですが、それこそ『光属性』だからこそ成せる技かもしれません。
世の中には明るいと暗いの対比がいろいろありますよね。『光』と『闇』もそうですし、『太陽』と『月』もそうです。後者は若干ニュアンスが違いますが、人間の心は潮の満ち引きや月の満ち欠けによって変わるという考え方もありますから、強ち外れてもいないでしょう。
それからやっぱり『希望』と『絶望』ですね。『光』と『闇』がその人の元から持っている性質、性格、特徴なのに対して、『希望』と『絶望』は誰にでもどんな時にでも訪れるものです。自分の意思で避けては通れず、いわば人生の浮き沈みを表現する言葉でしょう。私はよく、この『希望』と『絶望』を波長というか、グラフで描いてみるのですが、皆さんは自分の人生どんな波長だと思いますか?
よく『どん底まで行ったらもう上がるしかない』と言いますよね。でも、実際、幸せが長く続くことは滅多にないと思いませんか? むしろあまりにも良いことが続きすぎると「私、もうすぐ死ぬのでは?」なんて考える人もいるのではないでしょうか。たとえば、ガチャで推しがいっぱい来てくれた時とか。イベントやライブのチケットが続けて取れた時とか。結婚して新しい家族が増えて、そんな生活が長く続いて。なんだかあまりにも幸せすぎると逆に不安になってしまうんですよね。
昔、人生は良いことと悪いことが半分ずつとドラマか何かで耳にした記憶があります。私は心の奥底でそれを信じつつ、人によってはどん底に落ちた後も低空飛行を続けていたり、その人からするとみんな自分よりはるか高いところをずっと平行線で飛んでいるように見えたり、世の中とは不公平だななんて感じることもしばしばあります。結局のところ、それだって『主観』に過ぎないので、順風満帆に見える人でもその人なりの問題を抱えている可能性は大いにありますよね。
もしも、もしもですよ。人生は良いことと悪いことが半分ずつだとしたら、私は過去に闇のないどんな『光属性』も、実は未来に闇が待ち構えているのではないかと不安になることがあります。『光属性』が自分のことをすべからく『幸せ』だと考えているとは限りませんが、あり得ない話ではありませんよね。
人間とは欲深い生き物です。幸せなことがあったら、もっともっととつい求めてしまいがちです。自分が元々持っていた幸せの基準はどんどん釣り上がって、もう満足のしどころがわからなくなって、いつの間にか幸せを求めて登っていた坂道が途切れて、どん底へ真っ逆さまなんてこともあるかもしれません。
『希望』というのは残酷で、意地悪だなと思います。見えれば見えた分だけ『光』を感じてしまう。その向こうの影や『闇』を覆い隠すほどの強い『光』。これほど罪なものはありません。期待したぶん落胆は大きく、実際よりも深い高低差を体感してしまうでしょう。
だから私は、『希望』とは明るいようで本当は昏いものだと思わずにはいられないのです。もちろん『希望』を持つことが悪いのではありません。幸せなことは長く続かないからあまり期待するなと言いたいわけでもない。ただ『希望』や『光』があれば『絶望』や『闇』がある。それがどちらも誰にでも、等しく訪れるかはわかりません。でも、間違いなく存在しているのです。
どうか『希望』や『絶望』に強く支配されないでください。ちょうどよい距離感で、あなたの幸せを追いかけてください。そろそろお別れの時間です。また来週お会いしましょう。深見小夜子でした。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
灰かぶり姫の落とした靴は
佐竹りふれ
ライト文芸
中谷茉里は、30手前にして自身の優柔不断すぎる性格を持て余していた。
春から新しい部署となった茉里は、先輩に頼まれて仕方なく参加した合コンの店先で、末田皓人と運命的な出会いを果たす。順調に彼との距離を縮めていく茉莉。時には、職場の先輩である菊地玄也の助けを借りながら、順調に思えた茉里の日常はあることをきっかけに思いもよらない展開を見せる……。
第1回ピッコマノベルズ大賞の落選作品に加筆修正を加えた作品となります。
エッセイ集を出せば売れる、と聞いたから。
:ななこ。@保育士、休職中
エッセイ・ノンフィクション
保育歴10年目。いろんなことが嫌になっちゃって、心も体も壊れちった。なので今は保育士…というか全部お休みしてます。無理は良くないよ、ホントに。ひとりぼっちの保育士のなれの姿、生活はどんな感じ?
勤務時の子ども達とのエピソードを交えながら、
先が見えない今をちょっぴりのポジティブシンキングとポップに綴るエッセイ。
見ろください。
シチューにカツいれるほう?
とき
ライト文芸
一見、みんなに頼られる優等生。
でも、人には決して言えない秘密があった。
仄暗い家の事情……。
学校ではそれを感じさせまいと、気丈に振る舞っていた。
見せかけの優等生を演じるのに疲れ、心が沈んでしまうとき、彼の存在があった。
毒吐く毒親、ネグレクトする毒親。
家庭に悩まされているのは彼も同じだった。
結婚相手は、初恋相手~一途な恋の手ほどき~
馬村 はくあ
ライト文芸
「久しぶりだね、ちとせちゃん」
入社した会社の社長に
息子と結婚するように言われて
「ま、なぶくん……」
指示された家で出迎えてくれたのは
ずっとずっと好きだった初恋相手だった。
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
ちょっぴり照れ屋な新人保険師
鈴野 ちとせ -Chitose Suzuno-
×
俺様なイケメン副社長
遊佐 学 -Manabu Yusa-
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
「これからよろくね、ちとせ」
ずっと人生を諦めてたちとせにとって
これは好きな人と幸せになれる
大大大チャンス到来!
「結婚したい人ができたら、いつでも離婚してあげるから」
この先には幸せな未来しかないと思っていたのに。
「感謝してるよ、ちとせのおかげで俺の将来も安泰だ」
自分の立場しか考えてなくて
いつだってそこに愛はないんだと
覚悟して臨んだ結婚生活
「お前の頭にあいつがいるのが、ムカつく」
「あいつと仲良くするのはやめろ」
「違わねぇんだよ。俺のことだけ見てろよ」
好きじゃないって言うくせに
いつだって、強引で、惑わせてくる。
「かわいい、ちとせ」
溺れる日はすぐそこかもしれない
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
俺様なイケメン副社長と
そんな彼がずっとすきなウブな女の子
愛が本物になる日は……
人形姫の価値
神村結美
恋愛
アイラ・リンメル伯爵令嬢は誰もが見惚れる容姿を持ち、口数少なく、常に微笑んでいることから、社交界では『人形姫』と呼ばれている。
婚約者であるマイク・ガトーリッジ侯爵子息もその美しさに惹かれ、婚約を望んだ。
彼女の声は実はハスキーで、外見に合っていなかった。外見に合った声を出すように練習したが、父も婚約者もそれが作られた物である事を知っているため、アイラが声を発するのを良しとしなかった。アイラの価値はその美しい見た目だけと言われ続けてきた。
しかし、幼い頃に『見た目の美しさ』の価値は長くは続かないと気づき、自分の将来を予想した。それから彼女は変わり、人前では『人形姫』を演じる様になった。そんな彼女の物語ーー
歯痒いとやるせないの感情を教えてくれた人
吉沢 月見
ライト文芸
むうちゃんはママの妹で、たーくんはむうちゃんの恋人だった。
ある日、たーくんがむうちゃんではない女の人に刺されて死んでしまう。
小学生の私から見た、漫画家の叔母の話。
月と太陽
もちっぱち
ライト文芸
雪村 紗栄は
月のような存在でいつまでも太陽がないと生きていけないと思っていた。
雪村 花鈴は
生まれたときから太陽のようにギラギラと輝いて、誰からも好かれる存在だった。
そんな姉妹の幼少期のストーリーから
高校生になった主人公紗栄は、
成長しても月のままなのか
それとも、自ら光を放つ
太陽になることができるのか
妹の花鈴と同じで太陽のように目立つ
同級生の男子との出会いで
変化が訪れる
続きがどんどん気になる
姉妹 恋愛 友達 家族
いろんなことがいりまじった
青春リアルストーリー。
こちらは
すべてフィクションとなります。
さく もちっぱち
表紙絵 yuki様
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる