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おすすめの本はありますか?

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 さて、今日は〇月〇日。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。日差しも暖かくなってきて、風が強い日なんかは春一番かな、なんて少し気分が上向きになりますよね。そろそろ本格的にゴールデンウイークの予定を立てる方もいらっしゃるのではないでしょうか。私ですか? 私はそうですねぇ、今年は久方ぶりに遠出してみるのもいいかななんて思う反面、人が多いところはやっぱり気疲れするのでのんびり過ごしたいかなとも思います。
 皆さんの中にもきっとアウトドア派とインドア派がいらっしゃることでしょう。私はどちらかというとインドア派なので、家でゆっくりする時間も結構好きなんです。そんなのいつでもできるじゃん、なんて思われるかもしれませんが、意外に何も考えないでいい、無心になる時間って少ないものなんですよね。仕事や予定が詰まっている時ほど必要なことなのに、難儀なものです。
 インドア派と一口に言っても、家で何するの?なんてよく聞かれますが、私は読書かゲームか、あとは普段はできない大掃除なんかでしょうか。どれも無心になれるんですよね。特に時間がある時のゲームほど時間を忘れるものはありませんよね。ストーリー性のあるゲームだと一本の映画を観ているみたいで夢中になっていたら、あらもう夕方なの?なんてこともあります。もしもこれを映画化するなら、私だったらこういう展開にするわなんて考えるのもまた楽しいんですよね。分岐が多ければ多いほど、燃えてしまうものです。
 それこそ、映画をたくさん観て過ごすという方も多いのではないでしょうか。映画じゃなくてもアニメやドラマ、仕事をしているとなかなか取れない時間ですが、一話から最終話まで一気に観られると思うと、それだけでわくわくしますよね。片手にお菓子やおつまみ、片手にお茶やお酒を用意して、さぁ観るぞ~なんてね。
 でも、最終話や終盤が近づくと、今度は名残惜しくなるんですよね。この時間がもう終わってしまうんだなんて頭をよぎって現実に引き戻される。また一話に遡ってみたところで時間は戻らないのに、ちょっとまだ最終回は観たくないなんて我儘にもほどがありますが、そうなってしまうのが人が人たる所以かもしれません。
 さて、こういうお仕事をしていると、『おすすめの本は何ですか?』と聞かれることが多々あります。読書好きの皆さんは経験があることでしょう。
 人前で本を読んでいると『何読んでるの?』なんて友達に聞かれたりしますよね。でもね、タイトルを答えたり作家さんの名前を答えたりして、その友達が読書好きでなかったらわかるかなぁなんて思ったりしませんか? 結局のところ「ふーん」で終わることもあるし、「面白いの?」「読んでみようかな」という社交辞令に留まったりしますよね。
 本に限らずですが、人に薦められたものって意外と「ふーんこんなものか」なんて感想で終わることもありますよね。それは当然で、人それぞれ『主観』があって、思うことは違うし、どの言葉に惹かれるかも違います。作者がどの台詞に力を入れて、何を伝えたいかによってもまた、受け取る側の反応も違うでしょう。その考えに共鳴する方は面白いと感じるでしょうし、その主題以外のところに惹かれた人はもしかしたら退屈だったと感じるかもしれません。もちろん『人に薦められたから』『テレビでおすすめしていたから』、面白いに決まっている!という期待値の高さもありますが、それ以上に趣味や嗜好は相性の問題だと私は思います。
 読書初心者が、月に数冊の本を読む読書上級者のおすすめを聞いたところで、きっと面白くはないでしょう。メイクや勉強なんかもそうですが、基礎を知らないのに応用に挑戦しても、あまり楽しいとは思えないはず。
 だから私はその人にも読書という行為を好きになって、できるだけ長く楽しんで欲しいから、『おすすめの本は?』と聞かれたら、『おすすめの、“本の選び方“』を答えるようにしています。おすすめの本は、皆さんが読んで、感じて、誰かに薦めたいと思ったまさにその本のことですよ、と。だって人それぞれ違いますから。おすすめの本だけど、きっとそれは誰かにおすすめするというよりも、まだ知らなかった頃の自分にもっと早く教えてあげたい、そんな気持ちになるはずです。
 あまり勿体ぶらずにいきましょう。それほど大した話でもありませんから。私のおすすめの、本の選び方。まず、自分の読みたい本のジャンルを大まかにでも決めましょう。恋愛小説、自己啓発本、ミステリにお仕事小説なんかもありますね。ありすぎて決められないという方は、ミステリで考えるといいかもしれません。ミステリというジャンルは、その中にも日常、本格、社会派、警察、それこそお仕事、あとはホラーミステリなんかがあって、他のジャンルより細かく分派があります。血生臭い〇〇殺人事件なんて読めないという方でも、たとえばこういうのは読めるかも!というカテゴリーが見つかるかもしれません。それとは逆に、ミステリなんだから人が死んでなんぼでしょう!という方もいるかもしれません。非現実の世界ですから、楽しみ方は自由です。
 ジャンルを決めたら次はストーリーですが、ストーリーは最初から重視しなくてもいいと思います。そこばかりにとらわれると、『読書の楽しみ』という本質を見逃してしまうかもしれません。
 本当に最初のうちは、あらすじを見てピンと来たとか、タイトルに惹かれたとか、なんならジャケ買いでもいいと思います。表紙に描かれている男の子がイケメンだとか、こんなに美少女が登場するんだとか。その子たちが小説の中で動くことに興味を感じたら、それが読書を楽しむ第一歩です。
 ストーリーというのは最後まで読まないとわかりません。その過程を登場人物たちと共に一喜一憂しながら進んでいくのが読書の醍醐味です。面白いとか面白くないとかいう感想も、いわば後からついてくるものなので、面白いかどうかは『読んでみないとわからない』のです。
 人に薦められると『面白いに違いない』という先入観のもと読み始めるから、そのフィルターを通すことで本来の自分の目線が失われて、登場人物に感情移入しにくくなる面もあるでしょう?
 「人に薦められたから面白かった」という本よりも、「私は誰が何と言おうとこれがおすすめ」という本に出会えたほうが、なんだか自分が読書好きになれたようで嬉しく感じるかなと私は思います。
 これは作家の端くれとしての私の言い訳に聞こえるかもしれませんが、もちろんどんな出会い方でも、一文字でも読んでいただけたら、本を手に取っていただけたら、嬉しいです。でもね、それよりやっぱり、どんな感想でも、最後まで読んだよ!と言っていただけるほうが嬉しいものです。
 だからというわけでもありませんが、私が人に薦めるなら『みんなが面白いと思う本』より『あなたが読みやすいと思う本』です。さっきも言いましたが、「面白い、面白くない」は最後まで読んで初めて持つ感想です。まずは本を読む行為に対してストレスを感じないことが、『読書を好きになる』近道だと個人的には思います。
 趣味嗜好は相性の問題だと言いましたが、読みやすい文章も相性の問題です。どれだけみんなが面白いと言っていても、なんだか私は読みにくいわなんて本も中にはあるかもしれません。それは恥じることでも難しく考えることでもなく、ただ単純にあなたに合わないというだけです。
 ですから、そういう本はもっと読書に対して抵抗感がなくなったら楽しめばいいのです。いろんな文章に触れて、いろんな言葉に触れて、もしかしたらいつか読めるかもしれない。目標にしてみるのもいいかもしれませんね。
 ほら、一口に『読書』というだけでも、本を選ぶところから始まり、登場人物に思いを馳せたり、時にはあれあらすじとちょっと違わない?なんて発見をしたり。張り巡らされた伏線を探すもよし、読者への挑戦に果敢に挑んでみるもよし。あなたの楽しみ方を探してください。
 読書に限らず何でも、あなたや私が楽しいと思えることをいつまでも持ち続けられる人生だと幸せですよね。
 皆さんが小さくても一つずつ、生きる楽しみを見つけられる日がいつまでも続きますように。また来週お会いしましょう。深見小夜子でした。






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