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花柳 都子

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新天の志

誠意の証明

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 朝特有の柔らかい光が大きな窓から差し込み、綿貫千春わたぬきちはるはゆっくり目を開けた。
 昨日は風月七緒かづきななお山城優一やまきゆういちに頼んだように、空き家プロジェクトで管理している家に宿泊した。
 しばらくは古い家によくある家鳴りや、部屋の隅の暗がり、障子の向こうのあるはずもない視線が気になって気になって仕方なかったが、七緒曰く『海が近い地域だと海鳴りも聞こえるらしい』ので、これくらいは序の口だという。
 来週以降はY県の中でも海に面する地域を回る予定なので、図らずも心の準備──の準備ができた。
 思いの外、体が疲れていたこともあったのか、家族の為に用意されていた寝具を早々に使って、2人は横になった。
 七緒に至っては気絶かと思うほど、布団に入ったらすぐに寝息を立ててしまう。
 千春は寝付けないながらも、コンセントが近くにないせいで充電中のスマートフォンを手持ち無沙汰に操作することもできず、時折響く家鳴りに度々緊張しながら、いつの間にか眠りについていた。
 目が覚めると、ふわりと懐かしい匂いがした。
 小さい頃、母親の後ろ姿を眺めながら楽しみに待っていたことを思い出す。
 ──そういえば、最近は冷めたご飯ばっかりだったな。
 まるで、自分と家族の距離感そのままだ、と千春は自嘲気味に布団を畳む。
「おはようございます」
「おはよう、千春くん。ゆっくり眠れた?」
「はい。あの、朝ごはんありがとうございます」
「ううん。僕も食べるんだから、一人分も二人分も同じでしょ。せっかく新鮮な野菜買ってきたんだしね」
 昨日の夕方、仕事帰りの主婦たちに揉まれながら夕食と朝食の買い物をした。山城やまきは付き添いだというのに──しかもおそらく定時を過ぎているというのに──、安くて美味しいお店まで車を走らせてくれたのだ。
 古い家ではあるが、七緒の立つ台所は案外充実している。炊飯器や電子レンジなどはおそらく空き家体験の家族用に置いてあるのだと思うが、備え付けられているシンクやコンロなども、最新とまではいかないが、核家族の生活には一切困らない程度には設備が整っている。
 ご飯と味噌汁、そして卵焼きの優しい味付けが七緒らしい。七緒は東京でも一人暮らしが長いそうで、自炊もその他の家事も一通りは人並みにできるという。
 千春は未だ実家暮らしで、生活能力があるかと言われると微妙である。千春だけ生活リズムが違うことも多く、家族が溜めた洗濯や自室の掃除、食器を洗うなどは日常的にやらざるを得ないのだが、食事の支度は大概母親がするし、共有スペースの掃除も主に父と妹がしている。
 一人暮らしを考えたことがないわけではないが、するなら自分で家賃を払えというので、なかなか踏ん切りがつかないでいる。
 七緒に食事を作ってもらったので、千春が食器を洗っていると、風通しのいい居間でスマートフォンを見ていた七緒が、千春の背中に声をかけた。
「千春くん、今日の予定は?」
「えっ、特に決めてませんけど……」
 当初この空き家に宿泊できるのは一泊だけの予定だったが、来週からは北に向けて移動することもあって、Y市内より北に位置するこの場所は今後の移動にも最適だというので、山城やまきのはからいにより土日の宿泊もここに決まった。
 千春は濡れた手をタオルで拭きながら、七緒を振り返る。
 明日はイベントに行く予定だが、今日はのんびり自由気ままに電車に乗って、撮りたい景色があったら降りて──と、肩の力を抜いて過ごすつもりだった。
「そう」
 七緒にしては珍しい短い返事だった。
 スマートフォンを見つめたまま、眼鏡の奥の瞳を曇らせる。
「どうかしたんですか?」
「……いや、うーん……」
 仕事の話を休日にしてもいいものか、という葛藤が彼の表情に表れている気がした。しかも千春は正式な編集部の人間ではない。
「何かあったんですよね」
「うん、まぁ。これ、見てくれる?」
 七緒が差し出してきたスマートフォンの画面には、『千の選択編集部』のSNSアカウントが表示されていた。
 その中の一つの投稿に寄せられた、とあるアカウントからのコメントを指差す。
 読んでみるとそこには、こう書いてあった。
 なんでもY県観光に訪れた際、落とし物をしてしまった。とても大事なものだが、東京に帰ってくるまで気が付かなかった。自分が観光した場所の名前は覚えているし、写真もある。だが、通った道までは覚えていない。今日明日は大切な約束があって、Y県まで探しにいくことはできない。さらに、その明日の約束で必要なものだから今日しかチャンスはない。もしも今日見つからなかったら諦めるしかない。どうか協力してくれないか──。
 要約するとそういう話らしかった。
 千春は首を傾げて七緒に訊ねる。
「もしかして、協力しようとしてます?」
「うん」
 即答だった。
「いや、でも、いちフォロワーですよね?」
 そんな頼みをいちいち聞いていたらきりがない。七緒は続けてさらに信じられないことを言う。
「フォロワーでもないよ。さっき調べてみたから」
 フォロワーでもない人間の為にそこまで? と、口には出さなかったが、顔には出てしまった。眉を顰める千春を見て、七緒がスマートフォンを自分の手に戻した。
「ごめんごめん。千春くんにも強制するつもりはないから。忘れて。楽しんできてね」
「いや、いやいやいや、無理ですよ!」
 七緒の仔犬のような困り笑いを見たら、そういうわけにはいかない。
 今日一日その顔が頭から離れそうにない──というのをたぶん七緒はわかってやっている。相変わらず策士だ。
 千春が「具体的にはどうするんですか?」と聞くと、七緒はパッと表情を明るくする。
「まずはその写真のところに行ってみようかなって」
「……でも、どこかわかるんですか?」
 コメント欄に載せられた写真は数枚あったが、どれも場所を特定できるものはない。それどころか明るさやアングル、ブレなどを見ても、全部バラバラで統一感もない。旅行の写真なんてこだわって撮るだろうに──などと千春は疑問に思う。
 山城やまきにでも聞くのかもしれない、と思い至った時、七緒からは予想外な言葉が返ってきた。
「きっとフォロワーたちが探してくれるよ。場所がわからなくても、わかる人を見つけてくれる」
 確かに、千春はSNSを使い慣れないのでその辺りの構図がよくわからないのだが、フォロワー以外の人間もこの投稿を見る機会があるのなら、実際にY県に詳しい人間に届くことも十分考えられる。
 あとは彼らが写真を見て、場所の特定に至ればいいわけだ。
「でも、いいんですか? 不確かな情報なんじゃ……それに、編集部のアカウントでそんな個人的なお願い聞くなんて──」
「千春くん。僕は会社からSNSアカウントの運用を任されてるんだよ。それに、これが使の一つでもあるんだから」
「えっ?」
 七緒曰く、SNSは速効性が高く、誰でも文字を打つだけで交流できる。災害もネットニュースなどに先んじて、SNSでの情報がいち早く出回る。その中には真偽不明のものもあれば、節操のないものもあるが、それらを含めて『生』の情報が伝わってくる。
「僕は本誌ではできないことがしたい。SNSならこういうリアルタイムな案件にも対処できる。それがいいか悪いかは一旦置いておいてね」
「…………七緒さんには考えがあるんですよね」
「うん。千春くんにも無理にとは言わない。ただ、もし手伝ってくれるなら、千春くん目線でのそういう意見が欲しい」
 七緒は有無を言わさぬ瞳でも、懇願するような口調でもなく、ただ淡々と、それでいて真剣な眼差しで千春を見据えた。
「──わかりました。お役に立てるかはわかりませんけど」
「ありがとう。じゃあ、支度しよう」
 ふたりが出かける準備を終える頃、編集部アカウントには続々と情報が集まっていた。
 本誌がそこそこ有名でも、稼働したばかりのSNSアカウントはそれほどフォロワーも多くない。それなのに、こんなにも見ている人がいるのかと思うほど多くのコメントが寄せられていた。
「すごいですね」
「ある意味、達成感を満たすことも使にあたるんだろうね」
「達成感を満たす?」
「人って誰かに感謝されたいとか、自分を見て欲しいとか、そういう感情を密かに抱えているものだよ。──きっと、誰でもね。SNSで誰かを手助けすることで、それが果たせるとしたら? それも自分は動くことなく、家でスマートフォンを見ているだけで、手軽に。匿名だから何があっても他人事で済ませられるし、同じ行為によって賛同や共感も得られやすいし」
 変わらず淡々としているが、どことなく棘のある物言いが七緒にしては珍しい。
「……七緒さんはその使には否定的なんですか?」
「そんなことないよ。使は色々あると思うし、否定する材料もないしね。でも、だって行き過ぎれば人を傷つけるし、よかれと思ってやっていることが必ずしもその人の為になるとは限らないからね。それは、SNSも、僕たちが生きるリアルな世界も同じ」
「……七緒さんは──」
 ──そういう経験があるんですか? と思わず立ち入ったことを聞きそうになって、慌てて千春は口を閉ざす。
 玄関を出て行こうとした七緒がふと振り返って、寂しそうに微笑んだ、ような気がした。
「たぶん、今から僕がしようとしていることも同じなんだと思う。でも、わざわざこのアカウントを選んでコメントを残してくれたことに、やっぱり報いなきゃいけないと思うんだよね」
 千春には七緒の真意は読み取れなかった。
 わざと難しい言い回しで煙にまこうとしているようにも聞こえる。
 ふたりは山城やまきに預かった鍵で戸締りをして、宿泊先である空き家を出た。
 まだ9時にもならないというのに、もうじっとりまとわりつくような熱気が不快に感じた。
 SNSの住人のように、この案件がすっきり達成感を味わえる終わり方をしてくれることを、ただ願うのみだった。

 思った通り、フォロワーやY県民と思われるユーザーたちが続々と情報をもたらしてくれる。
 比較的近く、信憑性が高そうな情報をもとに、件の観光地を数ヶ所訪れるも、全部空振りだった。
 山城やまきのように車移動でないことも災いしてか、行動範囲はかなり限られてくる。その上、早くも制限時間に達しそうである。夕方近く、お昼ご飯も軽く済ませて、ふたりは駆けずり回っていた。
 なんといっても電車の本数が少なすぎる。
 場所によっては1時間に一本もあればいいほうで、危うく乗り遅れて待ちぼうけをくらうところだった。
 千春は東京に帰ったら免許を取ろうかな、などと暑さを堪えながら何度も思う。
 七緒も免許は持っているものの、ペーパードライバーというやつらしく、見ず知らずの土地を走れるほどのスキルがないとのこと。
「七緒さん」
「うん?」
 上品に汗を拭きながら、七緒は駅の涼しい待合室で千春のほうを向いた。
「あの、ずっと気になってたんですけど」
「うん」
「これって、本当にこの人が撮った写真なんですかね?」
「質問返しは反則だけど、どうしてそう思うの?」
「あ、いや、別に何か根拠があるってわけじゃないんですけど」
 無言で頷き先を促す七緒に、千春はスマートフォンの画面を見せる。
「これは多少なりともカメラに精通している人が撮ったものだと思います。光の加減とかアングルとか、ちゃんと考えて撮られてる」
「パンフレットとかに載ってそうだよね」
「まさに!」
 千春はそう言って、別の写真を見せる。
 それは市町村が作っているしおりのようなもので、そこに載っている観光地の写真と瓜二つだった。
「ネット上でも公開されているので、手に入れるのは簡単です」
「つまり、千春くんはパンフレットから流用した写真だと?」
「それだけじゃないです。こっちの写真は、たぶんスマートフォンで撮ってます。少しですけど、加工もしてある。流用したものじゃなくても、カメラやこういう写真にこだわる人が、スマホでしかも映え重視の加工なんてしますかね?」
「そういう人もいないとは言えないけど、確かに同じ人が撮ったとは思えないかもね」
「こっちだってそうです。これはたぶんフィルムカメラですよ」
「フィルムカメラ? って、現像しなきゃいけないやつだよね? 今時?」
「意外に流行ってますよ。古いのが逆にいい、みたいな。でも、ほら、見てください。ここに日付が入ってる」
「あ、ほんとだ……って、これはずいぶん昔じゃない?」
「10年以上前ですね。コメント欄で気づいている人もちらほらいると思うんですけど」
「確かに」
「どう見ても同一人物が同じタイミングで撮った写真とは思えないんですよね。落とし物の話だって、本当かどうか怪しいですよ」
 千春の投げやりな言い方を嗜めるかと思いきや、七緒は「やっぱりね」と呟いた。
「やっぱりそうかぁ。まぁコメントが届いた時点でなんとなくそう思ってたんだけど」
 少し残念そうな口ぶりで、七緒は苦笑する。
「えっ!? それってつまり、最初から──?」
「まあね」
「え、な、なんでわかったんですか?」
 千春の写真による考察に対する反応から、写真が理由ではないはずだ。だとしたら、一体何が?
「アカウントだよ。この、コメントしてきてるアカウント、はじめは見る専だと思ってたんだよね」
「見る専?」
「他のアカウントを見る為だけに作ったアカウントってこと。芸能人とか、好きな同人誌作家とか、友達や知り合いにはフォローしていることを知られたくない、本当の自分を曝け出すのが嫌、主にそういった理由で、自分は一切投稿をせずに趣味全開のアカウントにしてる人も多いんだよ」
「裏アカウントとは違うんですか?」
「まぁ兼用してる人もいるかもしれないけどね。裏アカウントはどちらかというと、ネガティブなことや愚痴を中心に、実際に投稿して憂さ晴らしするのが目的だから、投稿そのものがないことは稀なんだよね」
「……でも、その見る専? でもないんですよね。七緒さんの見立てだと」
「見立てなんて大層なものじゃないけど、たぶん違うね。フォローしてるアカウントもほとんどないし……実は怪しいと思って他のSNSでも調べてみたんだよね。いろんな検索ワード入れて」
 七緒が差し出してきたスマートフォンには、別のSNSアプリの画面が表示されていた。
 そこには『ゲームの始まり』、『落とし物を見つけられるか?』、『ナイナイ、そこにはナイナイ』、『っていうかどこにもねえけど!!』というような、まるで七緒と千春の動向を逐一監視しているような投稿がずらりと並んでいた。
 最初の『ゲームの始まり』という投稿は朝の8時半頃。千春たちがコメント欄に気がついた頃だ。
「これが、同じ人の?」
「たぶんね」
「俺たちはおちょくられてたってことですか?」
「たぶんね」
「…………でも、付き合ったんですよね。わかってたのに」
「千春くんには申し訳ないけど」
「俺は別にいいですよ。でも、なんで──?」
「彼──彼女かもしれないけど、この謎の人物Xはこのゲームの終わりをどうしたいのかなって。それを考える時間稼ぎというか。まぁ結果的にはその終わりに到達する為の伏線というか」
 首を傾げる千春に、七緒は『千の選択編集部』アカウントを開く。
 コメント欄ではなく、特定のアカウントにメッセージを送る画面だった。
「直接、送るんですか?」
「うん。話したいことが山ほどあるからね」
 そう言った七緒の眼鏡の奥の瞳が、ギラリの光った気がした。不敵に上がる口角を見て、千春は久しぶりに彼の真髄を見た気がした。

 その夜のコメント欄には、謎の人物Xによるコメントが追加され、この長い長い、ありもしない落とし物探しの旅は、ようやく終止符を打った。
 彼はコメント欄にこう記した。
『お騒がせしてすみません。落とし物は勘違いで、旅行鞄の中にありました。ご協力くださった皆さん、ありがとうございました』──。
 だが、これは何を隠そう。七緒からのではなく、あえて言うならである。
 七緒はメッセージでXに対してこう送った。
『このゲームの終わり方について、確認したいのですが』
『ゲーム? なんのことですか?』
 千春が暴いた写真のトリック、七緒が辿り着いた他アプリのアカウント、それらを複合して、Xによる虚偽の──そう所謂ゲームであることを見抜いたのだと説明した。
 しばらく相手からの返信はなかったが、七緒は続ける。
『ゲームは僕たちの勝ちです。勝敗の条件はありますか? SNSでの自慢と、酷評ですか?』
 返事はない。
『では、こちらから条件を出させていただきます』
『訴えるとか、ですか?』
 急に不安になったのか、味気のない文面からでも向こうの震えが伝わってくるかのようだった。
 そんなに怖く感じるなら、最初からしなきゃいいのに──。
『いいえ。訴えはしません。ですから、本名も明かさなくて構いません。ただ匿名だからといって何でも許されるわけではないと僕は思います』
『謝ればいいですか?』
『謝ったらあなたは誹謗中傷されるかもしれません』
 現に、コメント欄の中でも気づいている人がいる。写真がいろんなところからの寄せ集めであることや、Xのアカウントそのものに疑問を持つ者もいた。
 彼らがを振り翳せば、この意気揚々とゲームを仕掛けたXもひとたまりもないだろう。
『いくらこちらのアカウントで牽制して宥めたところで、一度暴走したら止められないと思います。あなたがやったことは、たとえそこまでのことじゃなくても、現実問題そういう現象を引き起こす可能性があります。このアカウントはそこまで有名ではありませんが、あなたの投稿のおかげで広く拡散されました』
『袋叩きにされると?』
『僕はそうあって欲しくありません』
 七緒の唐突な発言に戸惑ったのか、Xからの返信はまた途絶えた。
『僕はあなたも、コメント欄のみんなにも、そして何の関係もない他のユーザーたちも、必要以上に苦しんで欲しくはありません』
 優しいな、と千春は思う。
 山城やまきが千春を『優しすぎる』と表現したが、それはむしろ七緒や山城やまきにふさわしいのではないだろうか。
 七緒は交渉の末、Xに謝罪文を載せさせた。
 しかし、その後、『千の選択編集部』アカウントに、千春が撮った現在の同じ場所の写真を載せ、こう投稿した。
『落とし物は確かに幻でしたが、この風景は決して幻でも嘘でもありません。皆さんのおかげで、素敵な景色に出会うことができました。旅のきっかけはなんだっていい。まだ見ぬ落とし物を拾いに行くのもひとつの旅の在り方です。目に見えない落とし物がそこかしこにあるかもしれません。そして、あなたの旅で感じた心の声は決して落とさないように、思い出の写真やお土産と一緒に、大事に持って帰ってくださいね。旅に出かけられないというそこのあなたも、想像だって立派な旅のひとつです。あなたの頭に思い描いたその景色は、幻でも嘘でもありません。どんなに遠くだって、この世には存在しない美しい場所だって、あなたの中には確かに生きています。大事にしまっておいてくださいね。皆さん、良い週末を』

 『SNSの使い方』がひとつじゃないように、『旅の在り方』も、そして全ての人の心も景色も、決してひとつではないから──。
 七緒はそう言って祈りを込めるように、投稿ボタンを押したのだった。
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