深見小夜子のいかがお過ごしですか?2

花柳 都子

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私とあなたのちょうどいい

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 さて、今日は〇月〇日。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。
 GWも終わり、長いお休みが明けて、今日からまた仕事だわなんて嘆息している方も多いことでしょう。GWも終わりが近づけば、日曜日の夕方のようについつい『職場』のことを考えてしまうもの。
 職場にお土産を持って行かなきゃいけないけど、何にしよう!?と悩んで悩んで、結局定番のお菓子になってしまうのもGWのあるあるですよね。
 どこかに遊びに行くなんて話をすると、お土産を買わなきゃいけなくなるから、じゃあ話さないでおこう!と計画的に職場での立ち振る舞いを考えている方も中にはいらっしゃるのではないでしょうか。
 私はお土産を買っていくこと自体が、「買って来てないけど大丈夫かな」という不安を打ち消すものであり、「どういう反応してくれるかな」という自分のセンスを問われる言わば一種のゲームのようなものと思っているので、あまり苦にならない──というより、買っていかないほうが自分にとってより苦痛を感じる──のですが、皆さんはいかがでしょう?
 「気持ちだよね」と積極的に買っていく方に、「そういう慣習、暗黙の了解だから」と仕方なく買っている方、「別に仕事に関係ないからいらないじゃん」とマイペースな方も、「慣習なんて馬鹿馬鹿しい」と反骨精神の塊のような方もいるかもしれません。
 私はどれも間違いではないと思いますし、どれも正解だとも思いません。なぜなら、私は皆さんの過ごしている環境を知らないからです。職場の雰囲気や、上司・同僚たちとの関係、時代の流れもあることでしょう。
 必ずしも相手や職場に合わせなければならないということでもないし、合わせることが絶対にプラスに働くとも限りません。
 要は皆さんが納得いく形であれば、私はそれが一番だと思います。たとえば、お土産を買っていかないことが職場の人間関係に響くとして、あなたがそれでも買っていかないという選択をするのなら、それはそれであなたにとっての正解ですよね。
 別に職場に対して、それほど情熱も友情も求めていない、という方だって中にはいるはず。時代が変わって、私たちの親世代とは考え方も価値観だって違うでしょう。それでも世間体が気になるのは、悪しき習慣といえばそうなのかもしれません。
 さて、話は変わりますが、GWといえば、いろんな場所でいろんなお店を目にしますよね。今やどこにでもあるコンビニから、サービスエリアに、都会にしかないお店、田舎にしかないお店、商業施設に行けば本屋に服屋に、飲食店──。
 飲食店の中でもご飯屋さんにスイーツ店、カフェもあれば居酒屋もあります。
 皆さんはこのGW、どんなお店を利用しましたか?
 私は日頃から、仕事には3種類あって、そのどれもが私たちに必要なことだと思っています。まずは、人生に必要な仕事、そして、生活に必要な仕事、最後に人生や生活を豊かにする仕事。枠組みはきっと皆さんそれぞれの価値観で多少違うと思いますが、私の大まかな分け方で言うと、人生に必要な仕事は、その名の通り人生を左右するお仕事です。たとえば、お医者さんや弁護士さんなどはここに当てはまりますね。では、生活に必要な仕事はというと、食う寝る着る、衣食住に関わるお仕事ですね。コンビニや飲食店、洋服屋さんはここに当てはまるかと思います。そして最後に、推し活などをはじめとする、なくても生きていけるけれど、あなたにとってなくては困るもの。それが私たちを豊かにする仕事です。芸能や観光、遊戯施設などですね。
 でも、洋服屋さんにも飲食店にも種類は様々ですよね。おしゃれな洋服屋さんや、スイーツにお酒などの嗜好品を主とする飲食店は、本当に私たちのに必要かと言われると、いやどっちかというとにする仕事かな?なんて考えたりもします。自分の好きな服を着て、甘いものを食べて、美味しいお酒を呑んで、そして推しを愛でる。乾燥した日々に潤いをくれる、素敵なお仕事ですね。
 でも、私たちが生きていく上で、潤いばかりも求めていられないのも事実です。何をするにもお金は欲しいし、人生の中で路頭に迷うことが絶対にあり得ないとは言い切れません。
 ですから、皆さん「何のために仕事をしているんだろう」と思いながらも、毎日職務をこなしているのでしょう。
 お仕事も同じですよね。好きでやっている仕事──自分の人生と同等の価値がある仕事の方もいれば、生活のための仕事──生活費や家族のために決まったお休みが必要だからという方もいるし、それこそ推しのため、趣味のため、自分の好きなことを目一杯楽しむためという方もいるでしょう。あるいは仕事そのものが、自分の人生や生活を豊かにしてくれると感じる方もいるかもしれませんね。
 仕事への向き合い方は人それぞれだと思います。
 昔に比べて、仕事そのものに対しては『あくまで仕事』と割り切って向き合っている方も多いのではないでしょうか。課された仕事は仕事としてやりきるけれど、たとえば残業に休日出勤、行きたくもない飲み会や社員旅行──。そういうのはできればお断りしたいと思うのは、きっと人知れず昔から存在していた感情でしょう。それをあの頃に比べれば多少口にしやすくなった、そういう価値観の人が増えたというだけで。
 何かを犠牲にするほど仕事を第一に考えていないという方は、きっと少なくないでしょう。
 それはそうです。仕事はあくまで仕事であって、自分の人生そのものではなく、生活に必要だからやっているだけ──。夢中になれる仕事を見つけられればいいのかもしれませんが、それも人それぞれの価値観次第ですよね。
 そもそも仕事に重きを置いていない人はたくさんいて、お金を稼ぐ手段であって、目的ではないという方が大半だと思います。それを強制するのは今や前時代的かもしれません。
 さて、そろそろお別れの時間です。
 この世には2種類の人間がいる──なんて言い回しはよく聞きますが、多様性がやたらと強調されるこの時代にはこの名台詞も形無しですよね。
 なんだか、そういう『お決まり』が失われていくのを少し寂しく感じつつも、「多様性を認める人間と画一性を重んじる人間」なんて言い方もできてしまいますから、物はいいようでしょうか。
 多様性を認める人間は画一性を重んじる人間も認めなければならないし、かといって画一性を重んじる人間も「多様性を認める」という現代的な「画一性」を重んじなければならないので、究極の対決──矛と盾になってしまいますね。
 私個人としては、多様性だろうが画一性だろうが、人の考え方というのは千差万別で、画一化することもあるいは全ての考えを多様化することも不可能だと思っています。
 だって、たとえこの人とは相容れないなと思う人でも、一つや二つ自分と似たところがあったりしますよね。逆にどんなに仲良しでどんなに好きな人でも「こういうところはよくわかんないなぁ」ということもあるはず。
 私たちはみんな似て非なる人間という存在です。育った環境も過ごして来た人々も違う、けれど同じ場所や同じ関係者を通すこともあるのですから、全く同じ人間になることも、全く違う人間になることも限りなくゼロに近いのではないかと、私は思うのです。
 ですから、多様性だとか画一性だとか、難しいことを考える前に、まずは目の前の人のありのままを受け入れられる人間で在りたいと思います。
 何も神様の如くその人の是非を問おうという傲慢な考え方ではなく、受け入れた上で、自分とのより良い関係性を考えようという、いかにも人間的な考え方だと自分自身では解釈しています。まぁ、それこそ物はいいようかもしれませんが。
 でも、人生を生き抜く上で、できるだけ穏便に日々生活していく上で、そして自分自身を豊かにしていく上で、人間関係というのは切っても切れない『関係性』ですよね。
 どんな関係であれ、その人と私にとってお互いに『ちょうどいい距離感』でもって、日々の生活を営みたいものですね。
 また来週お会いしましょう。眠れない夜のお供に、深見小夜子でした。



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