22 / 31
ドラマティックにキラキラホテル
しおりを挟む
さて、今日は〇月〇日。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。
先日、とある地方のホテルに泊まったのですが、取材も終えて疲れていたので、ご飯はホテルの部屋で一人静かに食べたいと思って、コンビニで買い物をしてからチェックインしたんですね。で、いざご飯を食べようと思ったら……なんと、箸がない!
でも、歩き疲れて、一日中気を張りっぱなしで、もう心も体もヘトヘト。これから箸を求めて三千里というわけにはいかない。どうにかならんもんかと、ホテルの案内を淡い期待を込めつつ、半ば現実逃避気味に眺めていたら、なんと、フロントで、箸を売っているというではありませんか!
案内には、お土産に~と書いてありましたが、エコを謳うこの世の中で箸をもらい忘れる私のようなおっちょこちょいの為でもあるのでしょう。
なんとか事なきを得て、その日の食事にありつけました。
箸を売っているホテルというのは珍しいと思いますが、同じくフロントで栄養ドリンク剤を売っているところもありましたね。
チェックインの時、たまたま隣のカウンターにやってきたおじさんがその栄養ドリンク剤を頼んでいて。フロントのお兄さんが背後の冷蔵庫から出して振り返ると、おじさんはカウンターに置いてあった見本を持ち帰ろうとしているところで、「あ。これ見本か!」なんて、爆笑が起こっておりました。私もつられて笑っていて、見知らぬ者同士しかいない空間なのに、素敵な時間だなと感じたものです。
そこはビジネスホテルでしたが、そのおじさんを含めたご一行はビジネスマンという感じではなく、そもそも翌日は暦の上では休日でしたので、できるだけ安いところに泊まって、遊びを満喫しようという腹づもりだったのかもしれませんね。
私は仕事も兼ねているのでビジネスホテルがちょうどいいのですが、たとえ遊びに行くのであっても、私は旅館や高級ホテルよりやっぱりビジネスホテルを選ぶかもしれません。
皆さんも遠征──部活のじゃなくて推し活のですよ──などで、地方もしくは都市部に行く際、推しのイベント行ってグッズ買って、観光もして、あぁそう、交通費も馬鹿にならないし、旅行行くのに新しい服も買っちゃったから……なんて結局、最終的に予算が削られるのは宿泊費だったりしますよね。もうとりあえず、寝られればいい、みたいな。
旅行好きの友達はそういう穴場のホテルを探すのも得意ですが、旦那さんと2人で出かける時はキラキラホテルに泊まるそうです。まぁ彼女がそう言ってたんですけど、所謂ラブホテルというやつですね。
でも、目的云々に限らず、今は同性でも利用できると聞きますし、場所や雰囲気にこだわらなければ、宿泊費を浮かせて、尚且つ大きいベッドでゆっくり寝られる。
また別のご夫婦で、こちらは60代でご旅行好き。旅館に泊まることもあるけれど、多くは近くのキラキラホテルに入るそうです。安上がりだし、気兼ねもいらない。
特に都会だと困らないですよね。都心からそれほど離れずにありますし。田舎だとそういうエリアは郊外にあったりするので、車がないと不便(?)なのですが。
地元のネオン街──というには寂れに寂れていますが──は、地名を言うと大体の人が「あぁ、ホテル街ね」とすぐに思い当たるのですが、その地元の女性の先輩と都会に遊びに行った際、目的地に向かう為とはいえ、知らずにど真ん中を突っ切ってしまい、雰囲気から察して「あぁ、大阪の◯◯(地元の地名)ね!」なんて笑いあった記憶があります。
その時も『女子会歓迎!』などの謳い文句も見えたので、わりと以前から『同性利用OK』の傾向にあったのでしょう。そりゃキラキラホテルだって、ついでにビジネスホテルだってシティホテルだって、毎日毎日満室なわけじゃないでしょうから、たとえ本来の形でなくともなんぼでも売れたほうがいいに決まっていますよね。
そういう傾向にあったことを知っていながら、私が考えを改めたのは友達の『旅行中の宿にしている』くらいからだったかもしれません。なるほどな、と。予約も要らないし、面倒な手続きもない。なんなら人と話す手間も省けるし、部屋は雰囲気さえ気にしなければ──まぁ気にしても問題はないですが──至極快適。
私は仕事以外ではあまりアクティブなタイプではないので、考えたこともなかったなぁと。まぁでも、たまの旅行だからこそちょっといいとこに泊まっちゃお~なんて思うのもまた然り。
『考えを改めた』といえば、年上の知人に「『考えを改めた』なんて、ドラマティックだね」と言われたことがあります。「どこが?」とも思いますが、その人は言葉選びの面白い人で、ふいに笑わされることがよくあります。
私が他の人との会話のゆく先──その人の言いたいこと、この会話のテーマを紐解いている最中に、その人に質問した内容が彼女にはすごいことだったらしく、「真実に近づいてましたね!」とか。
ともあれ、『ドラマティック』という知人の真意を知ろうと色々考えてはみるのですが、やっぱり他人の価値観というのは難しいですね。何をどう思ってそういう言葉が出たのか、ぜひ同じ気持ちを共有したいのですが。
私なりに行き着く結論としては、それだけ『考えを改める』というのが日常的ではなく、行為としても、そして心理的にも、困難なことなのだろうと。
「さあ、考え方を変えてみよう!」と言われても、何度も言うように私たちは主観で生きていますから、そう簡単に自分の価値観を変えることはできません。
そして、考え方を変えることができたとして、それが『考え方を改める』になるには、これまたひとつ壁があると私は思います。
ある人の考えを聞いて、「……だから?」と感じることはきっと誰にでもあるはず。それは『違う考え方を聞いても、自分の考え方は変わらない』ということでもある。
そろそろお別れの時間です。
大阪旅行に一緒に出かけた、前言の女性の先輩が昔言っておりました。「私の上司は嫌な奴だけど、社員の失敗を謝ってくれてるのもあの人なんだよ」と。その上司の見方も変わり、さらに先輩にも「あぁこの人は、『嫌な奴』と『上司の仕事』とを分けて考えられる人なんだ」とより良いほうへ『考えを改めた』、今でも忘れられない出来事です。
坊主憎けりゃ袈裟まで憎いとはよく言ったものですが、一度嫌いになると何でもかんでも嫌に見えてしまう。それだけマイナスへのベクトルが強いとも言えますから、そこから『考えを改める』ことは難しいかもしれません。
でも、たとえばプライドの高いその上司が、『何が何でも謝らないプライド』で社を守るのではなく、『非は認めて謝るプライド』でもって自ら矢面に立ち社員を守ってくれているのだとしたら、見方が変わりますよね。
実際にそうかどうかは私にはわかりませんが、女性の先輩が彼を見てそう感じたのと同じように、それを示せるのもまた彼次第なのでしょう。
心というのは伝えようとすれば、必ず誰かの心に届きます。それが意図した形でないこともしばしばありますが、それでも何もしないより幾分か『伝えよう』という気概の分だけ、受け取ってもらえるのではないでしょうか。
人と人というのは難しいですよね。
表に見えることだけが真実ではなく、裏に隠れているものばかりを追って、本質を見失うこともたくさんある。
けれど、私たちはいつだって『考えを改める』ことができるのです。『ドラマティック』な日常も悪くありません。むしろ、「わかって良かった」と頷けたほうがお互いに心地よいと思うのです。
『考えを改める』ことが必ずしもプラスに働くとは限りませんが、それこそ『伝える』側と『受け取る』側次第でもあります。
少しでも多くの人が、『ドラマティック』に『キラキラ』輝く、『幸せ』な日々を過ごして欲しいから──。
また来週お会いしましょう。眠れない夜のお供に、深見小夜子でした。
先日、とある地方のホテルに泊まったのですが、取材も終えて疲れていたので、ご飯はホテルの部屋で一人静かに食べたいと思って、コンビニで買い物をしてからチェックインしたんですね。で、いざご飯を食べようと思ったら……なんと、箸がない!
でも、歩き疲れて、一日中気を張りっぱなしで、もう心も体もヘトヘト。これから箸を求めて三千里というわけにはいかない。どうにかならんもんかと、ホテルの案内を淡い期待を込めつつ、半ば現実逃避気味に眺めていたら、なんと、フロントで、箸を売っているというではありませんか!
案内には、お土産に~と書いてありましたが、エコを謳うこの世の中で箸をもらい忘れる私のようなおっちょこちょいの為でもあるのでしょう。
なんとか事なきを得て、その日の食事にありつけました。
箸を売っているホテルというのは珍しいと思いますが、同じくフロントで栄養ドリンク剤を売っているところもありましたね。
チェックインの時、たまたま隣のカウンターにやってきたおじさんがその栄養ドリンク剤を頼んでいて。フロントのお兄さんが背後の冷蔵庫から出して振り返ると、おじさんはカウンターに置いてあった見本を持ち帰ろうとしているところで、「あ。これ見本か!」なんて、爆笑が起こっておりました。私もつられて笑っていて、見知らぬ者同士しかいない空間なのに、素敵な時間だなと感じたものです。
そこはビジネスホテルでしたが、そのおじさんを含めたご一行はビジネスマンという感じではなく、そもそも翌日は暦の上では休日でしたので、できるだけ安いところに泊まって、遊びを満喫しようという腹づもりだったのかもしれませんね。
私は仕事も兼ねているのでビジネスホテルがちょうどいいのですが、たとえ遊びに行くのであっても、私は旅館や高級ホテルよりやっぱりビジネスホテルを選ぶかもしれません。
皆さんも遠征──部活のじゃなくて推し活のですよ──などで、地方もしくは都市部に行く際、推しのイベント行ってグッズ買って、観光もして、あぁそう、交通費も馬鹿にならないし、旅行行くのに新しい服も買っちゃったから……なんて結局、最終的に予算が削られるのは宿泊費だったりしますよね。もうとりあえず、寝られればいい、みたいな。
旅行好きの友達はそういう穴場のホテルを探すのも得意ですが、旦那さんと2人で出かける時はキラキラホテルに泊まるそうです。まぁ彼女がそう言ってたんですけど、所謂ラブホテルというやつですね。
でも、目的云々に限らず、今は同性でも利用できると聞きますし、場所や雰囲気にこだわらなければ、宿泊費を浮かせて、尚且つ大きいベッドでゆっくり寝られる。
また別のご夫婦で、こちらは60代でご旅行好き。旅館に泊まることもあるけれど、多くは近くのキラキラホテルに入るそうです。安上がりだし、気兼ねもいらない。
特に都会だと困らないですよね。都心からそれほど離れずにありますし。田舎だとそういうエリアは郊外にあったりするので、車がないと不便(?)なのですが。
地元のネオン街──というには寂れに寂れていますが──は、地名を言うと大体の人が「あぁ、ホテル街ね」とすぐに思い当たるのですが、その地元の女性の先輩と都会に遊びに行った際、目的地に向かう為とはいえ、知らずにど真ん中を突っ切ってしまい、雰囲気から察して「あぁ、大阪の◯◯(地元の地名)ね!」なんて笑いあった記憶があります。
その時も『女子会歓迎!』などの謳い文句も見えたので、わりと以前から『同性利用OK』の傾向にあったのでしょう。そりゃキラキラホテルだって、ついでにビジネスホテルだってシティホテルだって、毎日毎日満室なわけじゃないでしょうから、たとえ本来の形でなくともなんぼでも売れたほうがいいに決まっていますよね。
そういう傾向にあったことを知っていながら、私が考えを改めたのは友達の『旅行中の宿にしている』くらいからだったかもしれません。なるほどな、と。予約も要らないし、面倒な手続きもない。なんなら人と話す手間も省けるし、部屋は雰囲気さえ気にしなければ──まぁ気にしても問題はないですが──至極快適。
私は仕事以外ではあまりアクティブなタイプではないので、考えたこともなかったなぁと。まぁでも、たまの旅行だからこそちょっといいとこに泊まっちゃお~なんて思うのもまた然り。
『考えを改めた』といえば、年上の知人に「『考えを改めた』なんて、ドラマティックだね」と言われたことがあります。「どこが?」とも思いますが、その人は言葉選びの面白い人で、ふいに笑わされることがよくあります。
私が他の人との会話のゆく先──その人の言いたいこと、この会話のテーマを紐解いている最中に、その人に質問した内容が彼女にはすごいことだったらしく、「真実に近づいてましたね!」とか。
ともあれ、『ドラマティック』という知人の真意を知ろうと色々考えてはみるのですが、やっぱり他人の価値観というのは難しいですね。何をどう思ってそういう言葉が出たのか、ぜひ同じ気持ちを共有したいのですが。
私なりに行き着く結論としては、それだけ『考えを改める』というのが日常的ではなく、行為としても、そして心理的にも、困難なことなのだろうと。
「さあ、考え方を変えてみよう!」と言われても、何度も言うように私たちは主観で生きていますから、そう簡単に自分の価値観を変えることはできません。
そして、考え方を変えることができたとして、それが『考え方を改める』になるには、これまたひとつ壁があると私は思います。
ある人の考えを聞いて、「……だから?」と感じることはきっと誰にでもあるはず。それは『違う考え方を聞いても、自分の考え方は変わらない』ということでもある。
そろそろお別れの時間です。
大阪旅行に一緒に出かけた、前言の女性の先輩が昔言っておりました。「私の上司は嫌な奴だけど、社員の失敗を謝ってくれてるのもあの人なんだよ」と。その上司の見方も変わり、さらに先輩にも「あぁこの人は、『嫌な奴』と『上司の仕事』とを分けて考えられる人なんだ」とより良いほうへ『考えを改めた』、今でも忘れられない出来事です。
坊主憎けりゃ袈裟まで憎いとはよく言ったものですが、一度嫌いになると何でもかんでも嫌に見えてしまう。それだけマイナスへのベクトルが強いとも言えますから、そこから『考えを改める』ことは難しいかもしれません。
でも、たとえばプライドの高いその上司が、『何が何でも謝らないプライド』で社を守るのではなく、『非は認めて謝るプライド』でもって自ら矢面に立ち社員を守ってくれているのだとしたら、見方が変わりますよね。
実際にそうかどうかは私にはわかりませんが、女性の先輩が彼を見てそう感じたのと同じように、それを示せるのもまた彼次第なのでしょう。
心というのは伝えようとすれば、必ず誰かの心に届きます。それが意図した形でないこともしばしばありますが、それでも何もしないより幾分か『伝えよう』という気概の分だけ、受け取ってもらえるのではないでしょうか。
人と人というのは難しいですよね。
表に見えることだけが真実ではなく、裏に隠れているものばかりを追って、本質を見失うこともたくさんある。
けれど、私たちはいつだって『考えを改める』ことができるのです。『ドラマティック』な日常も悪くありません。むしろ、「わかって良かった」と頷けたほうがお互いに心地よいと思うのです。
『考えを改める』ことが必ずしもプラスに働くとは限りませんが、それこそ『伝える』側と『受け取る』側次第でもあります。
少しでも多くの人が、『ドラマティック』に『キラキラ』輝く、『幸せ』な日々を過ごして欲しいから──。
また来週お会いしましょう。眠れない夜のお供に、深見小夜子でした。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる