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本編

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「生徒の動きから見て今はやらない方が良いかもしれません。」

 先生からのその言葉を聞いた瞬間膝から崩れ落ちそうな絶望感に駆られた。
 なんで。沢山練習して、完璧までに仕上げたのに。フワフワとした茶髪の少年は頭を下に下げ、床に向かって心の声を吐き出した。
 あぁやっぱりあの時、ボクが君の場を奪ってしまったからなのか。悪い事をしてしまった、ツケが来てしまったのか。
 先生が少年の気持ちを察したのか、目の前にいたはずの黒い靴がどこかへいってしまった。
 頭を下げたままの少年はやっと前を向き、目の前にいた背の高い金髪の男に話始めた。

「ボクは元々、貧乏でそんなに恵まれていない環境だったんだ。あの日ボクは知らない家が丁度あったから興味本位で勝手に入ると貴方とアレスが話しているところを丁度聞いたの。」

「ボクは丁度で貴方に近いて騙してたの。
 グラン。今まで黙っててごめんなさい。
 君の運命を壊し、、」

 ボクは悪い子だから、泣いちゃいけない。
 本当に泣きたいのは目の前で辛そうな顔をしているグランだから。
 ごめんなさい。
 でも、涙が止まらないんだ。
 やめようとしても勝手に出て来てしまうんだ。

「君の運命を、壊して。本当にごめんなさい」

 ボクは見ないフリをしてたんだ、
 アレスとグランは本物の運命だって事を
 だけど、ボクは目の前にあるこの先掴むことはない幸せを離したく無かった。
 だけど、幸せだったのはボクだけだった。
 ちっとも幸せじゃなかったんだ。

「ルアーノを責めて来た訳じゃないんだ
 真相を聞きに来ただけだ。」

「そうか、そうか、、アレスだったのか、、」

 そう言ったグランの顔は嬉しそうでボクは一度も見た事なんてない表情をしていた。
 頬を赤らめて照れ隠しをしているかのように顔に手を当てていた。
 あぁ、やっぱりボクは悪い子だ。最低な子だ。
 人の幸せを横取りしたんだ。
 好きになってはいけない人を勝手に好きになって、ボクだけ都合の良い話を作った。

 ルアーノは自分のしてきた事が今更になって最低だと言う事に気付いて呼吸が段々と出来なくなる。ごめんなさい。ごめんなさい。と心の中で何回も唱えた。

「ごめんは沢山聞いた、もう言わないでくれ。私は君の優しさのお陰で立ち直れたり、勇気づけられたりした。その優しい心はルアーノの本当の心だと思いたい。」

「うん、、、」

 そう言ってグランは長い廊下を走り抜け、本当の一人になったルアーノは止まらない涙を流しながらしゃがみ込んで更に涙を流した。

 とっっても素敵な人を困らせてしまった。
 ボクはなんて悪い子なんだ。
 こんな悪い子はもうどうやって生きていけばいいんだろうか。

 少しの間、何も考えないで放心状態でいると、

「最初から言ったはずだ。
 もう余計な事をするのは辞めろって。」

 上から声がして目線を上にあげると、前からずっと呼び出されてはグランとの関係を辞めろと毎日のように言われていたクラスの男子だった。

「お互いが傷つくだけだって、言ったはずだ。だけど、お前は守らなかった。」

「うん、もう全部ボクが壊したんだ。」

「今は病んでてもいいが、覚えとけ。
 そんなお前でも好きな奴はいるって事を。」

 は、何を言ってるのか分かんないよ
 ボクを好きな人?嘘バレバレだよ!
 そんな人いないよ。
 でも、ボクを励ましてくれたのかな。
 嬉しいって言ってもいいのかな。

「、、、いないよ。」

「いーや、いるね」

「その人は相当頭が可笑しい人だね」

「はぁ?俺が可笑しいって言いたいのか?」

「ううん、君には言ってないよ。」

 ルアーノは立ち上がって、これから自分はどうしたら良いのか考え始めた。
 ボクはこの人と喋れなければ立ち上がる事を辞めていたかもしれない。
 少しボクはボクなりに頑張ってみようと思った

 いつか現れるかもしれない、ボク偽物のシンデレラを愛してくれる王子様がいると信じてみてもいいかな、なんて思ったりして。

「ボクと話してくれてありがとう。 
 ジル・バーニくん。少し頑張ってみる」

「おう、お前の行動は必ず人が見てるからな」

「うん。」


ルアーノは前に歩き出した。



____


別の小説で連載している、

【それぞれの幸せと幸運を】

に色々この作品に出てきた人達の小説を載せています。

アレス・ディスタニア(本物)のストーリーは完結しています❤︎

同じアルファポリスにあるのでもし良かったら覗いてみて下さい。

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