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本編
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しおりを挟むイザベルさんの所に行く途中、通りすがりの人にジロジロと見られている気がした。
コソコソと話し、その後笑って歩いていく。
俺はこの一連がとても嫌いだった、昔嫌がらせとしてされていたから。
胸の中のモヤモヤを感じながら走っていると突然女性2人から声を掛けられた。直接言われるのかと覚悟して止まると、キラキラな目をして話始めた。
「もしかしてイーディル学園で踊るんですか?!私もいつか見てみたいなと思ってるんです!」
「俺はイーディル学園の者だけど、学園では踊れないんだ。」
この女性達はルアーノの事を言っているのだろう。だけど俺は反発する為に学園外で踊ろうとする卑怯者だ。イーディル学園の名が傷つくのは申し訳ないけど、
やっぱりルアーノの影響力は凄いんだなと思う。この勝負知名度では俺の負けかぁ。
そう考えていると、相手は顔を明るくし始めた。
「えぇ?!って事は私達見れるんですか?!」
「俺のは誰でも見れるよ。期待に添えられなくてごめんね、次はイーディル学園で本当の踊りを見れる事を祈ってるね。」
俺は悲しくなって走ろうとしたが、彼女達はオドオドしながら、誤解を解こうと必死な顔をしていた。
「え!ち、違うんです!私は貴方の踊りが見たくて声を掛けました!」
俺のが見たくて声を掛けた?
本当?
「え、」
思っていた回答が返って来なくて唖然とした。
嬉しくてこのまま時間が止まって欲しいとさえ思った。
「通りかかった時、とても綺麗でつい話し掛けてしまったんです!」
「ありがとうご、ございます。身内以外の人から褒められる事なんてなかったので、なんと言うか、その、勿体無い限りです。。」
その後、可愛い可愛いと沢山女性の方から言われ恥ずかしくなった俺は踊る場所を教えて、その場を後にした。
場所に着くと、酒を持ってルンルンとしているイザベラさんと、呑気に女性の人と話しているギルさんがいた。ライジルは見た感じ居なかったけどきっと来てくれているだろう。そんな気がした。
ライジルに来てくれないと再度誘った時、嬉しそうな顔をして必ず行くと言ってくれた。
上から被っていた、白い布を取ると、一気に周りの視線がこちらに来る。
みんな口をあんぐりとして俺の方を見ている。
曲が始まるサインはまだだ。
その間俺は何をしたらいいのか。
うぅ、緊張する。心臓が痛い。
どこに目を向ければいいのだろうと、目をキョロキョロしていると、目の前にライジルらしき人が笑顔で俺だけを見ていた。
嬉しくて涙が出そうだった。
ライジルと目が合う中、ライジルが口を動かして、俺に何かを伝えようとしている。
「楽しんで」
その瞬間、鳥肌がブワッと立ち上がりそうな音楽が始まる。
俺はイザベラさんに教わった事全てを生かして踊り始めた。
シャランと華麗な金属同士が擦れ、
雪の様に真っ白なベラがヒラヒラと舞う。
耳には真っ赤なイヤリングがライトに照らされ激しく主張している。
沢山の歓声に包まれている。
誰もが笑顔で、誰もが大声を出して絶賛している。人が沢山集まる中、人混みの中心に一人。
今、ここで1番輝いているのは悪役令息のアレス・ディスタニアの他居なかった。
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