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本編
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しおりを挟む初めて会った時はイケメンオーラと清潔感があったギルさんだったが、今はイケメンではあるものの少し疲れ切った顔でこちらに走ってきている。手には大きめのバッグを持っている。
学園で色々ありすぎて実感が中々湧かないが、俺は近々ヒロインであるルアーノに対抗するのかと改めて実感する。
俺は手に力が入った。
息を切らしながら俺の前に来たギルさんはニコリと笑い、手で持っていたバッグを俺に渡した。
「おまたせ!アレスくん!」
「作って頂きありがとうございます。
大切に使います。」
イザベラさんとギルさんに見守れながら、ギルさんから貰ったバッグを開く。
中には目が離せない程の綺麗な白色に、キラキラと輝く金色の飾りが付いているベラがあった。こんな美しいベラを俺が着ていいのか分からないが、俺の為に作ってくれたので着ないという選択は辞めよう。似合ってないと二人に言われたら着るのを辞めたらいい。
「き、着てみてもいいですか?」
「勿論。アレスくんの為に作ったのだから」
「ほら!早く私に見せて!」
イザベラさんは俺の背中を押して個室へと連れて行き、俺は一瞬にして着替えられる環境へと連れて行かれてしまった。
改めてバッグにしまってあるベルを広げてみると、やはり自分には似合っているのだろうかと自信が無くなってしまう。
今までに見た事が無い程美しい白色。
白一色のはずなのに光の角度によって白や、赤、青、沢山の色が見えるような気がして、目が離せない。
変だとか、気持ち悪いとか、似合わないとか、言われてしまったらどうしよう。
自分の容姿の丈に合わない綺麗なベラを見て気持ちが下がってしまう。
ぐだぐだ考えてても、病んでしまうだけだ。
イザベラさんもギルさんも待ってくれているので、何となくで、着てみることにした。
腕を通すらしき所には通して、金色の飾りはギルさんが衣装と一緒に入れてくれた服装設計図の紙を見て、着替えた。
「う、は、肌が見える。」
鏡に映る自分を見る。
似合ってるのか分からない。
でも、おかしくはないんじゃないかと思う。
そして俺自身がやりたいと思っていた事をやろうと思い、脱いだ制服のズボンのポッケをゴソゴソと探る。
やる事を終えた俺は個室から出た。
個室から少し離れ、腕を組んで上の空だったイザベラさんを呼ぶ。
「着替え終わりました」
こちらを見たイザベラさんは俺の姿を見ると
ビックリした顔で固まり、口をパクパクしていた。そして、意識を取り戻したかの様にハッとすると、イザベラさんは喋り始めた。
「あ、アレス、ヤバいよ、最高だよ」
「アレス、あんたすんごく綺麗だよ。」
良かった。身体の力が一気に抜けた気がする。
その後、ずっと俺の方をを見て鋭い視線を送っているイザベラさんを振り切り、疲れてグダっとしていたギルさんに見せると突然座っていた椅子から立ち上がり今まで見た事の無い笑顔で似合ってると言ってくれた。
「天界から舞い降りてきた天使みたいだね」
「ありがとうございます。照れます。」
「昔、俺が出会った人にそっくりだ」
突然、ギルさんは昔話をするように話し始めた。話している時の顔は切なそうだった。
「その人もベルーダンスを?」
「うん。とても綺麗で、官能的で、目が離せなかったのを覚えてるよ」
紳士的でイケメンなギルさんにこんな事を言わせるのはきっと綺麗な人なんだろなぁ。
話が全て過去形なので、ギルさんはその人と会えていない状態かもしれない。
「儚くて、妖艶で、天使みたいな人だった」
「アレスくんみたいにね」
そう言われて、嫌な気分にはならなかった。
ギルさんはその人の事を大切に想っているのだろう。いつか、ギルさんとその人が再会して笑い合える日が来るといいな。
「そのピアス素敵だね」
「ありがとうございます。一目惚れで買ったんです。」
昔、街で買った赤色のピアスが太陽に照らされてキラキラと輝いていた。
ベラ...ベルーダンスを踊る際に使う衣装
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