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本編
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しおりを挟む理想の身体になってから数日が経った。
正直、アレスよりも可愛いくて綺麗な人は星の数程いるが俺の中ではアレスもそこそこ良い線行ってるのでは?と思う。
昨日久しぶりに鏡を見た。新しい自分と対面した瞬間は今でも記憶に残っている。
本当にここまでの間苦しかったり、悲しかったりしたから努力が報われた事を嬉しく思う。
ここからが本番だ。
「後少しで学園に行かれるので制服を着てみてはどうですか?」
「うん。着てみる。」
俺はワクワクしながら制服をクローゼットから出してズボンやらワイシャツ、ブレザーを着る。イーディル学園の制服はとてもオシャレで白中心の制服になっており、ネクタイやリボンが自分で選べる。アレスは紐状のリボンにしている。
いざ、着てみると大変なことになっていた。
「,,,ブカブカ。これじゃ学園に行けないじゃん。」
これを使用人達に見せると、皆んな吹き出し始めてしばらく笑いが止まっていなかった。
「では、明日採寸に行きましょう」
「そんな簡単に出来るの?」
「明日は新入生の制服採寸があるんです。在校生の採寸の可。との事だったのでアレス様も行けます。」
「そっか、ありがとう。」
明日に備える為に俺は机に向かい、ペンと紙を出した。最初に書くのは、
“お父様、お母様へ”
あの日以来父親の顔は見ていない。
母親の方はこの別邸に訪れて、俺達に謝罪をして家から去っていった。
「嫌っていた訳ではないの。本当にごめんなさい。貴方が大好きよ。」
「私の知らない間に立派になったわね。アレスのしたいように、自由に生きて。」
優しいのか優しくないのか分からない人達だ。
一応、大金のお金を貰う時は大金が必要な理由を書いた手紙を送っている。
ポストマンに手紙を渡した後、俺はライジルと一緒に近くにある街に買い物をしていた。
街はとても栄えていて買いたい物あればここに行けば揃うぐらい大きな街だ。
「たかが停学から学園に行くだけなのに」
「アレス様はまた色々揃えないとダメですね」
実は、身体が変わったせいか服があまりにもブカブカになってしまったのだ。昔はこんなのを着ていたと考えるとよく痩せたなと感動してしまうぐらいに。
沢山の店に寄って、買って、寄っては買ってを繰り返して、やっとライジルが満足した。
嬉しそうに早歩きをするライジルを俺はクタクタに疲れている足で追いかけた。
俺の身体を短期間でここまで導いてくれたのはライジルだ。要するに体力馬鹿だ。
「アレス様大丈夫ですか?」
「ははっ、これを見て大丈夫と言うのはライジルだけだよ。」
5mぐらい離れているのに大丈夫かと問いてくるライジルに震えが出る。
街から家まではそこまで遠くはないので歩きで来ている。前までは馬車禁止令を出され、遠い所は馬車で行き、歩きで大丈夫そうな所は歩きで行っていた。その習慣のせいで歩くのに慣れてしまい、今は解除され馬車で移動も出来るのだが、歩いている時に辺りを見ると大きな木やら川やら自然が沢山見れるので歩きでもいいやと思ってしまう。
ふと、歩いていると買い忘れてしまったものを思い出し、ライジルの足を止める。
「買い忘れた物ある。」
「,,,戻りましょうか」
「いいよ、俺一人で行くよ」
ライジルは心配していたが良い歳にもなって一人で買い物出来ないとなると恥ずかしいので、先に帰って貰った。
俺は小さなお店で一目惚れした赤色のピアスを内緒で買って、家に帰って行った。
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