本物のシンデレラは王子様に嫌われる

深夜

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②計画と実行

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俺はどうしようかと悩んだ末、相談をしてみようと一回部屋に戻り、アレスのベットを丁寧に直している男に話し掛けた。


「・・・痩せようと思う。俺。」

「え!アレス様本当ですか?!」


この男はアレスの執事のライジル。世話係のイケメンだ。ライジルの事はよく分からない。もちろんアレスの事も。アレスの過去や環境についてはゲームに書かれていなかったし、ストーリーも無かったので俺にとってはゲームの世界関係なく、新しい世界なのだ。

「痩せるのはそう簡単な事ではないと痩せる事に成功した方々は仰っていました。だけど、努力は必ず報われます!」

ライジルは笑顔でそう言った。
アレスはとても良い環境で育っていたのだと思う。ライジルの笑顔が良い環境だと言い切れる理由だ。ライジルの笑顔はとても綺麗でこの人が喜ぶ事をしてあげたくなる、少し親のような気持ちになった。


「うん、ありがとう。ライジル。」

「では、まず計画を立てないといけませんね」

ライジル曰く、計画を立てて実行した方が良いとの事だった。

計画を一緒に考えようと嬉しい提案をされたが、今は一人で考えた方がいいと思い、断った。俺は一人で考える時間が無いと爆発してしまうタイプなのだ。

広い部屋に一人は以外と静かで窓から溢れる光が机にある本とボロボロの手紙を指している。
机に近寄り、ボロボロの紙を手に取ってみると紙の正体はアレスが通っているの学校の停学届だった。

( 文字が読める。日本語とちょっっとの英語しか読めなかったのに。)

(アレスは多分、ヒロインを虐めて学校を一時停学してんのか。)

しかし、なぜそこまで手紙をボロボロにしているのか。

手がかりがもう一つある。

隣にあった鍵付きの本を手に取った。
鍵がどこにあるのか分からない。
悩んでいると、急に思い出したかのように体が勝手に動き、机の引き出しの奥にある小さな箱を取り出した。

開けると金色の鍵があった。

ごくりと固唾を飲んだ。

鍵を使ってロックを解き、本を開いてみると、本ではなくてアレスが書いた日記だった。


・今日は話せたけどアイツに話を邪魔された。あの嘘付き。許せない。

・気付いて。あの日の花をあげた子は僕なの。お願い気付いて。あの人に騙されないで。

・貴方が忘れていても僕はずっと覚えている。
この先も、ずっと。


  ____ 嘘つきはどっちよ。 




あぁ、お前アレスだったのか。
真実を知ったからか涙が出てきた。
信じたくない現実。
こぼれ落ちる涙と思い出したかの様に流れる思い出。

本物のシンデレラは 

アレス・ディスタニア だったのか。


日記には沢山の純愛と憎しみが込められていた。報われなかったシンデレラを俺は助けたいと思った。





_________________



「計画か~どうしよう。」

椅子に座り、真っ白な紙とペンを出し、ユラユラと揺らしながら考えていた。

「アレスは本物のシンデレラ。それでも王子は気付かない。外見を変えれば分かるのか?いやでも・・・やっぱり性格もだよな。」

はぁ~性格か。

一埜は自分の性格と顔が嫌いだ。

理由は簡単。性格が悪いのだ。

言いたい事はハッキリ言ってしまうし、

イラつくと思っても無い事を言ってしまい後悔するし、

自分の弱い所を見せたく無いから、隠してしまい、結果爆発してしまうし。


う~ん。

アレスを幸せにする事。
性格を良くする事。

悩みに悩んだ末、計画を立てる事が出来た。

日記の最後のページには、





__________


ライジルは深夜、アレスの部屋前にいた。
ゆっくりと部屋に入りベットで寝ているアレスの寝顔を見て、ライジルは安堵した。

(アレス様が突然、痩せるなんて言ったから心配でアレス様の部屋に勝手に入るなんて・・・。)

(アレス様。きっと貴方は幸せになります。)




何故かそう思うんです。

___________






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