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君は残酷な愛の天使
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先程までシーツを掴んでいた指が、悩ましく腰に絡み付く。
もう何度目だろうか。
欲情のまま、欲しがるままに二人は抱き合った。
ただ、ほなみは今の智也を見ていなかった。
抱かれながら他の幻を夢見ているのだ。
高校生の頃の智也なのか、西本祐樹なのか――
初めてほなみを抱いた夜の記憶を辿れば、様々な想いや情景が今でも甦る。
あの夜、確かにほなみはいつもと様子が違っていた。
涙を溜めて、見つめる瞳には熱がこもっていた。
あの瞬間だけは、ほなみの心は智也にあったのかも知れない。
だが突き放したのは、他ならぬ智也だ。
それは悔やんでも取り戻せない。
「もっと……突いてっ……」
しがみつき、淫らにねだるほなみに口付けながら、際限なく沸き上がる欲望を腰に打ち付けた。
蕾はトロトロに蕩けながら智也の幹を包み込み、千切れんばかりに締め上げて来る。
「くっ……奴に……こんな風に変えられたのか……お前は……っ」
今まで見た事もない程の甘く妖艶に乱れる姿に魅了されながら、一方では西本祐樹に激しい憎しみが沸き上がる。
――奴は何度この身体を抱いたのだ。
何度ほなみを甘く叫ばせたのだ。
怒りと嫉妬と共に強烈な情欲で身体中が苛まれ、堪らず智也はそれを目の前の愛しいほなみにぶつける。
「ああっ智也……!」
「――ほなみっ」
ほなみは、意識が混濁していて、智也と西本の名前を交互に呼んだりした。
智也、とその唇から漏れる度に涙が出そうな幸福を感じたが、西本の名前を叫ばれた時は心が地獄に突き落とされる。
だがもう一度、もう一度だけ呼んで欲しいと狂おしく願い、何度も彼女の身体を貪った。
――いつか、これは終わる事なのに。
終わらせたくなかった。
幼い頃からずっと焦がれ、欲しかった。
今腕の中に抱き締めて居るのに、甘く喘がせているのに、行為を繰り返せば繰り返すほどほなみが遠くなる気がした。
――けれと、今こうせずに居られない。
まるで地獄だ。
突然ほなみが身体を起こし、智也の頭を掴み唇を塞いだ。
「――っ」
「ん……んっ」
「ほなみっ……」
智也もほなみの舌の動きに応え、お互いに狂ったように唇や咥内を貪り合った。
「何……考え……てるの?ともや……」
唇が離れた時、潤む目でほなみは聞いた。
「……ほなみの事しか……考えてない……」
「ともや……」
智也は、濡れた蕾と熱い幹を繋げたまま、微笑むその唇を塞ぎながら動きを繰り返す。
寄せては返す波の様に快感が押し寄せ、何もかもが浚われそうだ。
「愛して……る」
「あっ……はっ……やんっ」
揺れる膨らみを掴み揉みしだくとほなみは逝きかけた。
「誰にも……やるものか……っ」
脚をぐいと拡げ、大きく激しく打ち付ける度に水音が部屋に響く。
「あっ……あっ……凄い……っ」
「――渡さない!西本には……っ」
昂る気持ちと、快感が同時に昇り詰め、獣は更に中で大きく熱くなり限界を迎えようとしていた。
それはほなみもだった。
だが、その目に違う色が一瞬宿る。
「にし……くん……」
ほなみの呟きに、智也はカッと熱くなり一層激しく腰を動かした。
「西本の事は……言うな――!」
「んっ……
に、し、く……ん……?」
「――くっ!」
獣はほなみの中で激しく爆ぜ、ドクドクと流れ出す。
「くっ……はっ……」
その快感に震えながら、頬に口付けようとするが、ほなみの表情が一変していた。
「智也……」
とろんと潤み、うつろだった目には光が戻り、その奥底には恐怖が宿っている。
視線をさ迷わせ、ホテルの部屋を見渡し、また智也に視線を戻すとほなみは微かに震え始めた。
「……ここは……?」
ほなみは明らかに狼狽していた。
――ああ、もう、あの夜の君は何処かへ行ってしまった。
熱く蕩ける眼差しで見つめていた色はもう跡形も無く消え去り、只怯えて智也を見ていた。
つい先程まで首や背中に甘くまとわりつき、時にはたぎる幹を愛したその手は、自分の身体を隠すように、智也から逃れるように胸を覆っている。
智也が手を伸ばすと、ほなみは弾かれたようにビクリと震え、顔を逸らした。
「――そんなに、それ程までに俺が怖いのか……?」
「……っ……こ、来ない……でっ」
ほなみは一杯にその目に涙を溜め、ベッドの上を後ずさり、シーツを掴み身体を隠した。
智也の胸に大きく風穴が開き、耐え難い痛みで胸が潰れそうになる。
「……離さない……」
智也は低く呟くと、ほなみの身体を覆うシーツを剥ぎ取り、布を裂く様なほなみの悲鳴を聞きながら、智也は彼女を組み敷いた。
顎を掴み、こちらを無理矢理向かせると、紅い唇が震えている。
「……何故俺を見ない」
小刻みに震える睫毛から覗く瞳からは涙が溢れそうになっていた。
「今まで俺と何をしていたか……
わかるか?」
「あんっ!」
乳房を強く掴むと、幹がむくむくと狂暴に反り勃ってくる。
「やめ……やめて」
ほなみは泣きながら首を振るが、智也は巧みに膨らみを揉みしだきながら、舌を這わせ、再びその身体に突き刺してやろうと獣をたぎらせた。
「何度も俺にイカされた癖に……
何が……止めて、なんだ……え?」
「知らない……
そんなのっ……わからな……あんっ」
ほなみの耳朶に舌を遊ばせると、白い太股には淫らな蜜が伝う。
智也はそれを指で掬い、太股に押し広げた。
「こんなに溢れてるだろ……
奴にヤられてる時にも……こうなるのか?」
「――っ」
顔を背けていたほなみは、弾かれた様に智也を振り返り、唇を噛み締めて睨む。
その唇を摘まみ、そっとなぶりながら智也は顔を近付けた。
「奴にも……俺にも……
こんな風になるなんて……
淫乱な女だな」
ほなみは手を振り上げ、智也の頬を叩こうとするが、素早くその手を掴む。
「まだ震えてるぞ……」
「ひっ……く」
「……泣くな」
智也は、しゃくり上げ出したほなみの頬に口付けた。
「私……っ」
抵抗するように細い腕で胸を押し、途切れ途切れに何か言おうとする。
別れの意思を伝えようとしているのだろうか。
「――言わせるものか……!」
唇を激しく吸い、長く長く咥内を掻き回した。
ほなみが息が出来ない程に強く抱き締めながら。
「んっ……んっ!」
苦しいのだろう。
僅かに動かせるのは指先だけだ。
このまま腕の中でバラバラに砕いてしまおうかとさえ、智也は思った。
「智……やっ」
耳元の小さな叫びが、また智也に火を点けた。
首筋に噛みつくように吸い付き、徴をいくつも刻むと、ほなみは身を捩らせて泣いた。
「やめ……やめて」
「お前は俺の物のだ……
好きに抱く」
「やあっ」
「さっきまで散々よがっていたじゃないか……え?」
「――!」
ほなみは絶望的な表情をしていた。
その顔を見て又、胸がズタズタに裂かれる。
「こんなに苦しいのは……
お前のせいだ……
お前の――!」
智也が叫び、白い太股を乱暴に掴み一気に開かせると、ほなみは悲痛な声を上げたが、言葉や態度とはうらはらに濡れた蕾や花弁が強烈に誘っていた。
「ダメ……!おねが……い」
「狂うまで抱いてやる」
「やだっ……!」
智也は顔を埋め、蕾の中へと舌を差し入れた。
ほなみは弾かれるようにビクリと身体じゅうを震わせ、太股をさする智也の腕を、白い指でぎゅっと掴んだ。
白い滑らかな肌を愛撫しながら、蕾を舐め廻すと途端に甘い蜜が溢れ出す。
「やあっ……智也っ……いやっ!やめて……!」
言葉で拒否する毎に蕾はピクピクと動き、蜜の甘さが増す。
太股を撫でていた指をつつ、と移動して舌と共に溢れる蕾の中へと割り込ませた。
「ひっ――!」
絶頂の時の様な叫びを上げたほなみは、いつの間にかシーツを両手で掴み、抵抗を忘れている。
思わず智也はニヤリと笑っていた。
……もっと狂え。
このまま跡形もなく快感に呑み込まれて、西本の事など消してやる――
「あ、あああ!」
舌と指の動きを速めると、止めどなく蜜は溢れて智也の指を濡らす。
指を引き抜き、それをほなみに見せつけてやる。
ほなみは息を乱し身体を震わせ、まだ愛撫が欲しいとでも言うように、腰を僅かに動かしていた。
「……またこんなに溢れさせて……
厭らしい身体だ……」
「……もう……赦し……て」
ほなみは涙を流し懇願して、脚を閉じようとする。
「――まだだ」
智也は再び脚を開かせ、猛った幹を蕾の入口に宛がった。
ほなみは悲鳴を上げるが、その場所は侵入を待ち望んでいたかの様に吸い付いて来て、智也は快感で息を止めた。
「くっ……凄い……」
「やああっ」
「……存分に叫べ……」
「んあっ!」
「うっ……くっ」
一気に奥まで突き刺すと、ぎゅうっとほなみに締め付けられ、爆ぜそうになる。
イきそうになるのをこらえて何秒間か動きを止め、ほなみに深い口付けをする。
動かしていないのに更に締められて、口付けながら智也は呻いた。
「ふ……くっ……」
「……ん……んん」
動かずに居るのが耐えきれなくなり、激しくほなみを揺らし始めると、ギシギシと音を立てるベッドの上の白い美しい乳房が波を打ち、智也の欲望を更に煽った。
指で円を描く様にまさぐりながら突起も摘まむ。
その度に溢れて締め上げられ、ほなみが叫ぶと同時に、智也の口から溜め息が漏れた。
「智也っ……私……もう」
「……なんだ……」
動きを緩やかにし、優しく口付けるか、ほなみの瞳が快感に酔いながらも強い光を宿している。
また何かを言おうとしている、と感じた智也は途端に動きを速めた。
「あっ!」
「ほなみ……っ」
速く、激しい動きにほなみは翻弄されて息が絶え絶えになる。
「……て……」
「……」
必死に喋ろうとするほなみが、何を言いたいのかはわかるが、聞く気はなかった。
片脚をぐいと思いきり上げさせ、更に深く突き刺すと、先程とは違う快感に苛まれる。
ほなみも堪えきれないとばかりに甘く叫んだ。
「……ああっ」
「愛してる……っ」
「とも……や……私は」
「――」
言いかけるその唇を塞ぎ喋れないようにする。
腰の動きは止めないまま。
ほなみは喘ぎながらも、胸を腕で必死に押しているが、力では敵わず、好きなだけ唇と身体を貪られる。
鈍い痛みが唇に走り、智也は思わず顔を上げた。
鉄の味が咥内に拡がる。
ほなみの唇は、智也の血で紅く染まっていた。
「……別れて……下さい……」
「――っ」
震える唇がその言葉を発したと同時に、智也は一層花園を壊れろと言わんばかりに打ち付けた。
「いやあっ……やめて」
「この間の電話のように……叫んでみろ」
ほなみが息を呑む。
智也は僅かに動きを緩め、顔を逸らそうとするほなみの顎を掴み向かせた。
「なんなら……
こうしてヤってる所を撮って……
西本に送り付けてやろうか……?」
「――!」
「奴も喜ぶだろうよ……ふふ」
ほなみに頬を打たれ、智也は動きを止めた。
その瞳には怒りと哀しみと、他には何の感情が籠められているのだろうか。
涙を溢れさせながらキッと睨んでいる――
「酷い……!」
「何とでも言え!」
智也はほなみを押さえつけ、再び貫いた。
「いやああっ」
「離さない……っ絶対に……くっ……」
「あっ……いやっ……」
細腰を掴み、色んな方向から突き刺すと、蕾から溢れる蜜は止まらず、智也をますます猛らせた。
「いやっ……あっ……西く……んっ」
譫言のように呟くその唇を、智也は指で塞ぐ。
「んっ……西く……助け……っ」
「――お前は俺の物だ!」
「いやあ――っ」
ほなみの絶叫を聞きながら、獣は爆ぜた。
「酷い……酷い……っ
智也なんて……大嫌い……」
ほなみは、智也の胸を叩きながらしゃくり上げる。
欲望を蕾の中へと吐き出す快感に狂いそうになりながら、智也の心は再び堕ちていった。
「酷いのはどっちだ……」
――君は、愛で俺をズタズタに切り裂いた。
一番残酷な愛という刃で俺を殺したんだ――
もう何度目だろうか。
欲情のまま、欲しがるままに二人は抱き合った。
ただ、ほなみは今の智也を見ていなかった。
抱かれながら他の幻を夢見ているのだ。
高校生の頃の智也なのか、西本祐樹なのか――
初めてほなみを抱いた夜の記憶を辿れば、様々な想いや情景が今でも甦る。
あの夜、確かにほなみはいつもと様子が違っていた。
涙を溜めて、見つめる瞳には熱がこもっていた。
あの瞬間だけは、ほなみの心は智也にあったのかも知れない。
だが突き放したのは、他ならぬ智也だ。
それは悔やんでも取り戻せない。
「もっと……突いてっ……」
しがみつき、淫らにねだるほなみに口付けながら、際限なく沸き上がる欲望を腰に打ち付けた。
蕾はトロトロに蕩けながら智也の幹を包み込み、千切れんばかりに締め上げて来る。
「くっ……奴に……こんな風に変えられたのか……お前は……っ」
今まで見た事もない程の甘く妖艶に乱れる姿に魅了されながら、一方では西本祐樹に激しい憎しみが沸き上がる。
――奴は何度この身体を抱いたのだ。
何度ほなみを甘く叫ばせたのだ。
怒りと嫉妬と共に強烈な情欲で身体中が苛まれ、堪らず智也はそれを目の前の愛しいほなみにぶつける。
「ああっ智也……!」
「――ほなみっ」
ほなみは、意識が混濁していて、智也と西本の名前を交互に呼んだりした。
智也、とその唇から漏れる度に涙が出そうな幸福を感じたが、西本の名前を叫ばれた時は心が地獄に突き落とされる。
だがもう一度、もう一度だけ呼んで欲しいと狂おしく願い、何度も彼女の身体を貪った。
――いつか、これは終わる事なのに。
終わらせたくなかった。
幼い頃からずっと焦がれ、欲しかった。
今腕の中に抱き締めて居るのに、甘く喘がせているのに、行為を繰り返せば繰り返すほどほなみが遠くなる気がした。
――けれと、今こうせずに居られない。
まるで地獄だ。
突然ほなみが身体を起こし、智也の頭を掴み唇を塞いだ。
「――っ」
「ん……んっ」
「ほなみっ……」
智也もほなみの舌の動きに応え、お互いに狂ったように唇や咥内を貪り合った。
「何……考え……てるの?ともや……」
唇が離れた時、潤む目でほなみは聞いた。
「……ほなみの事しか……考えてない……」
「ともや……」
智也は、濡れた蕾と熱い幹を繋げたまま、微笑むその唇を塞ぎながら動きを繰り返す。
寄せては返す波の様に快感が押し寄せ、何もかもが浚われそうだ。
「愛して……る」
「あっ……はっ……やんっ」
揺れる膨らみを掴み揉みしだくとほなみは逝きかけた。
「誰にも……やるものか……っ」
脚をぐいと拡げ、大きく激しく打ち付ける度に水音が部屋に響く。
「あっ……あっ……凄い……っ」
「――渡さない!西本には……っ」
昂る気持ちと、快感が同時に昇り詰め、獣は更に中で大きく熱くなり限界を迎えようとしていた。
それはほなみもだった。
だが、その目に違う色が一瞬宿る。
「にし……くん……」
ほなみの呟きに、智也はカッと熱くなり一層激しく腰を動かした。
「西本の事は……言うな――!」
「んっ……
に、し、く……ん……?」
「――くっ!」
獣はほなみの中で激しく爆ぜ、ドクドクと流れ出す。
「くっ……はっ……」
その快感に震えながら、頬に口付けようとするが、ほなみの表情が一変していた。
「智也……」
とろんと潤み、うつろだった目には光が戻り、その奥底には恐怖が宿っている。
視線をさ迷わせ、ホテルの部屋を見渡し、また智也に視線を戻すとほなみは微かに震え始めた。
「……ここは……?」
ほなみは明らかに狼狽していた。
――ああ、もう、あの夜の君は何処かへ行ってしまった。
熱く蕩ける眼差しで見つめていた色はもう跡形も無く消え去り、只怯えて智也を見ていた。
つい先程まで首や背中に甘くまとわりつき、時にはたぎる幹を愛したその手は、自分の身体を隠すように、智也から逃れるように胸を覆っている。
智也が手を伸ばすと、ほなみは弾かれたようにビクリと震え、顔を逸らした。
「――そんなに、それ程までに俺が怖いのか……?」
「……っ……こ、来ない……でっ」
ほなみは一杯にその目に涙を溜め、ベッドの上を後ずさり、シーツを掴み身体を隠した。
智也の胸に大きく風穴が開き、耐え難い痛みで胸が潰れそうになる。
「……離さない……」
智也は低く呟くと、ほなみの身体を覆うシーツを剥ぎ取り、布を裂く様なほなみの悲鳴を聞きながら、智也は彼女を組み敷いた。
顎を掴み、こちらを無理矢理向かせると、紅い唇が震えている。
「……何故俺を見ない」
小刻みに震える睫毛から覗く瞳からは涙が溢れそうになっていた。
「今まで俺と何をしていたか……
わかるか?」
「あんっ!」
乳房を強く掴むと、幹がむくむくと狂暴に反り勃ってくる。
「やめ……やめて」
ほなみは泣きながら首を振るが、智也は巧みに膨らみを揉みしだきながら、舌を這わせ、再びその身体に突き刺してやろうと獣をたぎらせた。
「何度も俺にイカされた癖に……
何が……止めて、なんだ……え?」
「知らない……
そんなのっ……わからな……あんっ」
ほなみの耳朶に舌を遊ばせると、白い太股には淫らな蜜が伝う。
智也はそれを指で掬い、太股に押し広げた。
「こんなに溢れてるだろ……
奴にヤられてる時にも……こうなるのか?」
「――っ」
顔を背けていたほなみは、弾かれた様に智也を振り返り、唇を噛み締めて睨む。
その唇を摘まみ、そっとなぶりながら智也は顔を近付けた。
「奴にも……俺にも……
こんな風になるなんて……
淫乱な女だな」
ほなみは手を振り上げ、智也の頬を叩こうとするが、素早くその手を掴む。
「まだ震えてるぞ……」
「ひっ……く」
「……泣くな」
智也は、しゃくり上げ出したほなみの頬に口付けた。
「私……っ」
抵抗するように細い腕で胸を押し、途切れ途切れに何か言おうとする。
別れの意思を伝えようとしているのだろうか。
「――言わせるものか……!」
唇を激しく吸い、長く長く咥内を掻き回した。
ほなみが息が出来ない程に強く抱き締めながら。
「んっ……んっ!」
苦しいのだろう。
僅かに動かせるのは指先だけだ。
このまま腕の中でバラバラに砕いてしまおうかとさえ、智也は思った。
「智……やっ」
耳元の小さな叫びが、また智也に火を点けた。
首筋に噛みつくように吸い付き、徴をいくつも刻むと、ほなみは身を捩らせて泣いた。
「やめ……やめて」
「お前は俺の物のだ……
好きに抱く」
「やあっ」
「さっきまで散々よがっていたじゃないか……え?」
「――!」
ほなみは絶望的な表情をしていた。
その顔を見て又、胸がズタズタに裂かれる。
「こんなに苦しいのは……
お前のせいだ……
お前の――!」
智也が叫び、白い太股を乱暴に掴み一気に開かせると、ほなみは悲痛な声を上げたが、言葉や態度とはうらはらに濡れた蕾や花弁が強烈に誘っていた。
「ダメ……!おねが……い」
「狂うまで抱いてやる」
「やだっ……!」
智也は顔を埋め、蕾の中へと舌を差し入れた。
ほなみは弾かれるようにビクリと身体じゅうを震わせ、太股をさする智也の腕を、白い指でぎゅっと掴んだ。
白い滑らかな肌を愛撫しながら、蕾を舐め廻すと途端に甘い蜜が溢れ出す。
「やあっ……智也っ……いやっ!やめて……!」
言葉で拒否する毎に蕾はピクピクと動き、蜜の甘さが増す。
太股を撫でていた指をつつ、と移動して舌と共に溢れる蕾の中へと割り込ませた。
「ひっ――!」
絶頂の時の様な叫びを上げたほなみは、いつの間にかシーツを両手で掴み、抵抗を忘れている。
思わず智也はニヤリと笑っていた。
……もっと狂え。
このまま跡形もなく快感に呑み込まれて、西本の事など消してやる――
「あ、あああ!」
舌と指の動きを速めると、止めどなく蜜は溢れて智也の指を濡らす。
指を引き抜き、それをほなみに見せつけてやる。
ほなみは息を乱し身体を震わせ、まだ愛撫が欲しいとでも言うように、腰を僅かに動かしていた。
「……またこんなに溢れさせて……
厭らしい身体だ……」
「……もう……赦し……て」
ほなみは涙を流し懇願して、脚を閉じようとする。
「――まだだ」
智也は再び脚を開かせ、猛った幹を蕾の入口に宛がった。
ほなみは悲鳴を上げるが、その場所は侵入を待ち望んでいたかの様に吸い付いて来て、智也は快感で息を止めた。
「くっ……凄い……」
「やああっ」
「……存分に叫べ……」
「んあっ!」
「うっ……くっ」
一気に奥まで突き刺すと、ぎゅうっとほなみに締め付けられ、爆ぜそうになる。
イきそうになるのをこらえて何秒間か動きを止め、ほなみに深い口付けをする。
動かしていないのに更に締められて、口付けながら智也は呻いた。
「ふ……くっ……」
「……ん……んん」
動かずに居るのが耐えきれなくなり、激しくほなみを揺らし始めると、ギシギシと音を立てるベッドの上の白い美しい乳房が波を打ち、智也の欲望を更に煽った。
指で円を描く様にまさぐりながら突起も摘まむ。
その度に溢れて締め上げられ、ほなみが叫ぶと同時に、智也の口から溜め息が漏れた。
「智也っ……私……もう」
「……なんだ……」
動きを緩やかにし、優しく口付けるか、ほなみの瞳が快感に酔いながらも強い光を宿している。
また何かを言おうとしている、と感じた智也は途端に動きを速めた。
「あっ!」
「ほなみ……っ」
速く、激しい動きにほなみは翻弄されて息が絶え絶えになる。
「……て……」
「……」
必死に喋ろうとするほなみが、何を言いたいのかはわかるが、聞く気はなかった。
片脚をぐいと思いきり上げさせ、更に深く突き刺すと、先程とは違う快感に苛まれる。
ほなみも堪えきれないとばかりに甘く叫んだ。
「……ああっ」
「愛してる……っ」
「とも……や……私は」
「――」
言いかけるその唇を塞ぎ喋れないようにする。
腰の動きは止めないまま。
ほなみは喘ぎながらも、胸を腕で必死に押しているが、力では敵わず、好きなだけ唇と身体を貪られる。
鈍い痛みが唇に走り、智也は思わず顔を上げた。
鉄の味が咥内に拡がる。
ほなみの唇は、智也の血で紅く染まっていた。
「……別れて……下さい……」
「――っ」
震える唇がその言葉を発したと同時に、智也は一層花園を壊れろと言わんばかりに打ち付けた。
「いやあっ……やめて」
「この間の電話のように……叫んでみろ」
ほなみが息を呑む。
智也は僅かに動きを緩め、顔を逸らそうとするほなみの顎を掴み向かせた。
「なんなら……
こうしてヤってる所を撮って……
西本に送り付けてやろうか……?」
「――!」
「奴も喜ぶだろうよ……ふふ」
ほなみに頬を打たれ、智也は動きを止めた。
その瞳には怒りと哀しみと、他には何の感情が籠められているのだろうか。
涙を溢れさせながらキッと睨んでいる――
「酷い……!」
「何とでも言え!」
智也はほなみを押さえつけ、再び貫いた。
「いやああっ」
「離さない……っ絶対に……くっ……」
「あっ……いやっ……」
細腰を掴み、色んな方向から突き刺すと、蕾から溢れる蜜は止まらず、智也をますます猛らせた。
「いやっ……あっ……西く……んっ」
譫言のように呟くその唇を、智也は指で塞ぐ。
「んっ……西く……助け……っ」
「――お前は俺の物だ!」
「いやあ――っ」
ほなみの絶叫を聞きながら、獣は爆ぜた。
「酷い……酷い……っ
智也なんて……大嫌い……」
ほなみは、智也の胸を叩きながらしゃくり上げる。
欲望を蕾の中へと吐き出す快感に狂いそうになりながら、智也の心は再び堕ちていった。
「酷いのはどっちだ……」
――君は、愛で俺をズタズタに切り裂いた。
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「私の花嫁は花のようなスカーレットだ!お前ではない!」と。
そして花嫁の父に向かって怒鳴った。
「騙したな!スカーレットではなく別人をよこすとは!
この婚姻はなしだ!訴えてやるから覚悟しろ!」と。
そこから始まる物語。
作者独自の世界観です。
短編予定。
のちのち、ちょこちょこ続編を書くかもしれません。
話が進むにつれ、ヒロイン・スカーレットの印象が変わっていくと思いますが。
楽しんでいただけると嬉しいです。
※9/10 13話公開後、ミスに気づいて何度か文を訂正、追加しました。申し訳ありません。
※9/20 最終回予定でしたが、訂正終わりませんでした!すみません!明日最終です!
※9/21 本編完結いたしました。ヒロインの夢がどうなったか、のところまでです。
ヒロインが誰を選んだのか?は読者の皆様に想像していただく終わり方となっております。
今後、番外編として別視点から見た物語など数話ののち、
ヒロインが誰と、どうしているかまでを書いたエピローグを公開する予定です。
よろしくお願いします。
※9/27 番外編を公開させていただきました。
※10/3 お話の一部(暴言部分1話、4話、6話)を訂正させていただきました。
※10/23 お話の一部(14話、番外編11ー1話)を訂正させていただきました。
※10/25 完結しました。
ここまでお読みくださった皆様。導いてくださった皆様にお礼申し上げます。
たくさんの方から感想をいただきました。
ありがとうございます。
様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。
ただ、皆様に楽しんでいただける場であって欲しいと思いますので、
今後はいただいた感想をを非承認とさせていただく場合がございます。
申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。
もちろん、私は全て読ませていただきます。
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