上 下
93 / 98

番外編~私とチョコ、どっちが甘い?~綾波と美名のバレンタイン~⑦(完)

しおりを挟む


綾波は双丘を指で撫でながら、突起を唇と舌で味わう様に転がした。


「お前を啼かせるのは……もう……俺だけだ」



「あ……あっ……
剛さ……っ」



綾波の舌は胸から下腹部へと降りて行き、彼の真っ直ぐな髪が脇腹を擽り、美名は身体を震わせる。



「やっ……な、何を」



綾波は、身を捩る美名の太股を掴み、潤う花園の入り口を指で優しく広げた。



「――――!」



恥ずかしさと、一番善い処を触れられた刺激に美名は声にならない叫びを上げる。



綾波はゴクリと喉を鳴らすと、舌を突き出して溢れた甘露を掬った。


美名は、綾波の髪を掴み、甘く淫らな波に浚われそうになりながら、息も絶え絶えに哀願する。



「や……ん……
そんなの……舐めたら……ダメっ……
んあっ……あああ!」






「何がダメだって……?」


囁きながら尚も唇と舌が蕾を愛すると、美名は喘ぎも溢れる蜜を止める事も最早不可能だった。



「あ……あああ……剛さ……ああっ……やあっ――」


「もっと善くしてやる……」


綾波は、舌で愛しながらしなやかな指で泉を掻き回した。



「あっ――――!」



美名は、跳び跳ねる魚の様に身体を震わせ果ててしまう。



綾波は、ベッドにぐったりと横たわる愛しい恋人の身体を隅々までその瞳に焼き付け、そして自身を猛らせた。



もう、破裂する寸前にまで膨らみ堅くなった欲望を、まだ快感に震えている秘蕾に宛がうと一気に沈ませた。



「……く……っ」



いつもよりも一段と締められて、綾波は快感に顔を歪める。





「――ん!」



美名は、目覚めると、綾波と繋がっているのに気付き頬を染めるが、烈しくされる事を期待する様にその唇が欲しがる動きを僅かに見せた。



「いくぞ……美名」


綾波は、美名の潤む目を真っ直ぐに捉え、腰を掴むと律動を始める。



「――あ――あ――あっ――剛さんっ……」



綾波が深く突けば身体を大きく震わせて、焦らす様にゆっくりと腰を引き気味に廻せば甘い溜め息を漏らし、その蕾の中をしっとりと濡らし滑りを善くする。
綾波が下になり美名を跨がらせれば、恥じらいながらも愛らしく身体を動かして綾波を快感に苛ませる。




何処までも自分を信じ全身を預け素直に感じる美名が堪らなく可愛い、と綾波は思う。







「あ……あ……!
剛さ……んっ!
や……めないでぇっ……」



美名は熱い楔を身体に打ち付けられる度に、このまま綾波と繋がったままで居たいと願う。


チョコレートの様に滑らかに熔け、ひとつの形に固まって綺麗に飾られた箱の中へと閉じ込められてもいい、とさえ思う。



けれど決してひとつにはなれない――



(だから、今だけは……この手を離さないで……)





「――美名っ……」


「あっ―――――」




お互いの指を絡ませ強く握り合った瞬間、二人は達した。






乱れる息のまま二人は口付け合う。


美名は、綾波と目が合うと真っ赤になり隠す様に胸に顔を埋めるが、綾波に頬を軽くつねられる。



「――おい、姫様、何故隠す?」



「う……隠してない」



「なら、顔を見せろよ」



「やだ!」



キッパリと拒否され綾波は面喰らう。



「おまっ……何をバカを言う!」



「だ……だって……恥ずかしくて」


美名は、今更、スタジオで言い放った言葉に穴があったら入りたい気持ちになっていた。



綾波は、ふと眉を上げ、何か思い当たったのか意地悪な口調で耳元で囁いた。



「――世界で一番愛してるって?」



「……っ」



美名の頬がボン、と熱くなる。






綾波は、美名の手を掴み笑って顔を覗き込む。



「――そ、そんな事……言った……かな」



「言っただろ」



綾波の涼やかな瞳に美名は絡め取られ身動き出来なくなり、恥じらいながら頷いた。


その時、綾波の胸の中に抱き締められ息が出来なくなる。



「全く……お前は」



「ふ……ふがっ……むむ」


このまま潰されるのではないか、と恐怖さえ感じた時、ようやく綾波は腕を緩め、美名の髪を指に絡め口に含み食べる様に動かす。



「――?」


美名は深呼吸しながら綾波を見る。



「お前からのバレンタインは?無いのか?」



「あっ……るけど……
ここまでゴージャスに決められたら……
なんか出せない……」



美名は、実は今日バッグにチョコの箱を忍ばせて来たのだが、予想外の展開で自分の手作りを此処で出すのを気後れしてしまう。



(そう言えば、起きた時に剛さんに食べさせてもらったチョコ……
ホテルのサービスかな……
凄く美味しかったし……
あれと較べられたら……やだよ……)





綾波は、紙の風船が潰れた瞬間を思わせる様な、小さな子供がクシャリと笑う様に微笑むと、美名の髪を掌で二つに束ね揺らして弄ぶ。



美名は、そんな綾波の無邪気な表情にドキリとして固まる。


「……お前の、考えてる事……
丸見えだぞ」


「えっ」


綾波は、クスリと笑い、ベッドの下に置いてある美名のバッグからチョコの箱を出して見せた。



「これ、俺に、だろ?
ん?」


「――!
だ、ダメっ!」


美名は、シーツで身体を隠して箱を奪おうとするが、綾波はひらりとかわす。



「何故そんなに勿体ぶる?……俺の為に用意したんだろ?
それとも何か?
他の奴用だったか?」



綾波は箱を頭の上に乗せて器用にバランスを取り、からかう様に言った。




綾波は、長い指で一粒チョコを摘まみ口へ放ると顎を動かしながら目を輝かせ、しきりに頷いている。


美名は、薄目を開けてそんな様子を盗み見た。

綾波が美味しいと思って食べている時の仕草だと分かると、美名は嬉しくてまた泣きたくなる。



綾波は速いペースでチョコを次次と口に運び、あっという間に完食してしまった。




唇を舌で舐め満足そうに笑うと、美名の目を指で抉じ開けた。



「スケベ」



「はっ……!?な、な」



「何を、こっそり覗き見してるんだよ……
堂々と見てればいいものを……
お前も、変態だな」



「な、ななな……
違いますう――っ」


美名はムキになり綾波に拳を振り上げるが、手を掴まれてキスをされると甘いミルクチョコの味が唇から伝わる。





「……ご馳走さま」


「……」


額を付け合ったまま見つめられて囁かれ、美名はまた真っ赤になり何も言えない。



「今まで食べたチョコの中で、一番美味かったぞ」


「そ、そう?」


「……お前も、美味しく頂いた……けどな」


「も……もうっバカ!」




ふふ、と笑いを溢して美名を抱き上げると、窓際へと連れて行く。



「あ……飛行機……」



航空機の灯りが空に飛び立っていく。



キラキラと星が瞬く様な光の競演に、美名はうっとりと見惚れた。





「――俺も、世界で一番……かな」



「えっ?」


美名は、その小さな呟きを聞き逃し横顔を見るが、綾波は笑うとその唇に軽くキスをした。



「さあ……
ドレスに着替えて、ディナーへ行こうか……
俺の、姫……」









――私とチョコ、どっちが甘いの?



そう聞いたら、彼は何て答えるのだろうか……










~SWEET SWEET☆ END~
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

ドSでキュートな後輩においしくいただかれちゃいました!?

春音優月
恋愛
いつも失敗ばかりの美優は、少し前まで同じ部署だった四つ年下のドSな後輩のことが苦手だった。いつも辛辣なことばかり言われるし、なんだか完璧過ぎて隙がないし、後輩なのに美優よりも早く出世しそうだったから。 しかし、そんなドSな後輩が美優の仕事を手伝うために自宅にくることになり、さらにはずっと好きだったと告白されて———。 美優は彼のことを恋愛対象として見たことは一度もなかったはずなのに、意外とキュートな一面のある後輩になんだか絆されてしまって……? 2021.08.13

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

身分差婚~あなたの妻になれないはずだった~

椿蛍
恋愛
「息子と別れていただけないかしら?」 私を脅して、別れを決断させた彼の両親。 彼は高級住宅地『都久山』で王子様と呼ばれる存在。 私とは住む世界が違った…… 別れを命じられ、私の恋が終わった。 叶わない身分差の恋だったはずが―― ※R-15くらいなので※マークはありません。 ※視点切り替えあり。 ※2日間は1日3回更新、3日目から1日2回更新となります。

髪を切った俺が芸能界デビューした結果がコチラです。

昼寝部
キャラ文芸
 妹の策略で『読者モデル』の表紙を飾った主人公が、昔諦めた夢を叶えるため、髪を切って芸能界で頑張るお話。

小野寺社長のお気に入り

茜色
恋愛
朝岡渚(あさおかなぎさ)、28歳。小さなイベント企画会社に転職して以来、社長のアシスタント兼お守り役として振り回される毎日。34歳の社長・小野寺貢(おのでらみつぐ)は、ルックスは良いが生活態度はいい加減、デリカシーに欠ける困った男。 悪天候の夜、残業で家に帰れなくなった渚は小野寺と応接室で仮眠をとることに。思いがけず緊張する渚に、「おまえ、あんまり男を知らないだろう」と小野寺が突然迫ってきて・・・。 ☆全19話です。「オフィスラブ」と謳っていますが、あまりオフィスっぽくありません。 ☆「ムーンライトノベルズ」様にも掲載しています。

メイドは眠りから目が覚めた公爵様を、誤って魅了する

MOMO-tank
恋愛
半年前に王太子を庇い、魅了の秘薬を体に浴びてしまった騎士団長で公爵でもあるスティーブンは、その日からずっと眠り続けている。 "目覚めて最初に見た者に魅了される恐れがある" 公爵家では厳戒態勢が敷かれていた。 ある夜、人員不足により公爵の見張りを任されたメイドのジョイだったが、運悪く目覚めたスティーブンに顔を見られてしまう。

処理中です...