上 下
43 / 75
決心

しおりを挟む
 「ほなみーっ!久し振りよねえー!ライブ以来じゃないの?!

 智也も久しぶりね!相変わらず何考えてるか分かんない、いけ好かない面してるわね?……どうだった、久々の日本は?ほなみと存分に仲良く出来たのっ?

 ……何よ珍しくニヤニヤして……いやらしい笑いだわね……

 きゃあっ!もしかして野暮な事聞いちゃった?ごめんあそばせ!おほほほ……

 でもさ、相変わらずの弾丸スケジュールよねえ。三日前に帰って来たと思ったら、もうフランスに戻るなんてね?

 ……愛妻と離れがたいでしょうけど、あんたが留守の間は、ほなみのことは私に任せて頂戴っ!」

 あぐりは、新幹線の改札口前で一気にまくしたてた。

 キオスクで購入した郷土銘菓『にわとり』を紙袋ごと智也に渡す。

 擦れ違う人が振り返る程の美人のあぐりが、往来で大きな声で身振り手振りを交え、時には歌ったりしながら見送りを盛り上げているので、周囲の注目が集まっている。

「なんだよこれ?」

 智也が、紙袋を見て眉を少し動かす。

「余裕で一ヶ月以上?もっと長くかしら?日本を離れて仕事でしょ?

 おフランスのお菓子やお料理も素敵だけどさ、身体の中に青い血が流れてる冷血人間のあんただって、一年に二回くらいは故郷が恋しくなるでしょ。日本の素朴なお菓子が食べたくなるでしょ?

『にわとり』……よく出来たお菓子よねえ……全体の丸いフォルム、つぶらな愛らしいお目々!人間ってね、こういう形状の物に癒される生き物なの!

 ……智也が寂しくないように、あぐり様が用意してあげたのよっ!私優しい~!おほほほ」

「あ……そろそろ時間じゃない?」

 まだ喋り続けるあぐりを余所に、ほなみは時計をちらりと見たが、智也と目が合い、胸が一瞬痛んだ。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

最近様子のおかしい夫と女の密会現場をおさえてやった

家紋武範
恋愛
 最近夫の行動が怪しく見える。ひょっとしたら浮気ではないかと、出掛ける後をつけてみると、そこには女がいた──。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

【R18】もう一度セックスに溺れて

ちゅー
恋愛
-------------------------------------- 「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」 過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。 -------------------------------------- 結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。

【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)

幻田恋人
恋愛
 夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。  でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。  親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。  童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。  許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…  僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

【R18】どうか、私を愛してください。

かのん
恋愛
「もうやめて。許してッ…」「俺に言うんじゃなくて兄さんに言ったら?もう弟とヤリたくないって…」 ずっと好きだった人と結婚した。 結婚して5年幸せな毎日だったのに―― 子供だけができなかった。 「今日から弟とこの部屋で寝てくれ。」 大好きな人に言われて 子供のため、跡取りのため、そう思って抱かれていたはずなのに―― 心は主人が好き、でもカラダは誰を求めてしまっているの…?

ずぶ濡れで帰ったら彼氏が浮気してました

宵闇 月
恋愛
突然の雨にずぶ濡れになって帰ったら彼氏が知らない女の子とお風呂に入ってました。 ーーそれではお幸せに。 以前書いていたお話です。 投稿するか悩んでそのままにしていたお話ですが、折角書いたのでやはり投稿しようかと… 十話完結で既に書き終えてます。

処理中です...