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マカロン

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  浜田は、パンダ柄のファンシーなエプロンをまとい、絶賛クッキング中だ。

 深い大きな鍋でシチューを煮込みながら、レタスを洗い氷水にさらしザルに開ける。

 丁度よい大きさにちぎり、特製のドレッシングを素早く和えてからサラダボウルに盛りつける。カットした茹で卵とトマトを散らすと、シチューをスプーンで掬う。

「……ふっふ――。うーん……うん美味い!」

 浜田は冷ましてから口に含み、シチューの出来映えに満足げに頷いた。

 亮介はカウンター席に座り、眉間にシワを寄せてカップの中の液体を見つめている。貸切にしているため、他の客はいない。

 浜田の調子外れの鼻唄は、亮介の険しい表情を崩すことはできないようだ。

「ほなみちゃんには、沢山食べて元気になってもらおうか!

 ……僕の料理がトレビアーン!に絶品だから、惚れられちゃうかもなあ!はははは!料理男子はポイント高いからね!

 亮介君も料理出来た方がモテるよ?教えてあげようか?教授料は、次に出すCDの印税の5パーセントでどう?」

 浜田はデザートのイチゴをグラスに盛りつけながらハイテンションだ。

 彼はいつもそんな調子なのだが。

「……ほなみちゃん旦那が居たんですね……」

「そうだね。イケメンだったねえ!かっこよく花束なんか持ってきてさ」

「……でも、幸せそうに見えない」

「まあ、家庭の事は当人同士にしか解らないからねえ」

「祐樹って、どう見てもほなみちゃんに惚れてますよね?」

 亮介が空になったカップを浜田に渡すと、熱いアメリカンが注がれる。

「タイバンの夜、二人がふらっと居なくなって……次の日祐樹が東京に戻って来たら右手を怪我してて、どうしたのか聞いてもガンとして言わないし……あの日以来ずっと心此処にあらずだし……」

「西君は今日どうしてるんだい?」

「……野村がついてます」

「そう……あっ。珈琲は熱いうちに飲みなさいよ?」

「あ……はい」

 亮介は珈琲を一口啜り、溜め息を吐いた。

「ほなみちゃん大丈夫かな」

「三広について貰ってるから大丈夫でしょう。何かあれば言ってくるよ」

 浜田は自分用に珈琲を入れ香ばしい薫りに目を細めた。

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