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お前は俺の物だろ!by貴也
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――君のおMEMEは20(トウエンテイー)collar――
と茂野が命名したと言う幻のボールペン。
ノックを押して色を切り換えて――と言うタイプの複数色のペンは世の中に出回っているが、多くても四色だ。
そこに目をつけ、茂野は何と驚異の20色ボールペンを開発した。
開発製作に三年以上かけて、予算もそれ相応にかけて漸く出来上がった「君のおMEMEは20(トウエンテイー)collar」
……長いので、おMEME、でいいだろう。
そのおMEMEを社長と次長に意気揚々と披露した茂野だったが、アッサリ、バッサリ、ズバッと却下されてしまった。
おMEMEは、20色だけあって見た目も華やかでカラフルだが、実用性に欠けている。
大体が、片手で持ってスラスラ難なく文字を書けると言うのが重宝されるボールペンだろう。
おMEMEは、でかかった。
いっぺんに膨大な種類の色をひとつのペンにまとめたは良いが、当然とてつもなく太くて重く、書きやすくて持ちやすい……とは決して言えない代物だった。
高い棚から照明に反射して、キラキラを振り撒きながら落下する「おMEME」に見とれながら、ゆうみは手を伸ばす。
茂野の作る商品は殆どが使えない物ばかりだが、ゆうみは茂野の作る
「とことん趣味に走り過ぎてやっちまった」感がプンプンするサンプル達に、シンパシーと愛情を感じていた。
思えば、ゆうみの妄想やら呪術めいたまじない等も、同じ様な物ではなかろうか。
どんなに寝食を忘れる程に熱中し、打ち込んだとしても、結果が出なければ周りの反応や世間の評価は無いに等しい。
「ふ~ん、で!?」
と、鼻で笑われて終わりだ。
「やっと見つけたわよおお……おMEMEちゃん……おいで……私の腕の中に……」
ゆうみは、落下するおMEMEがまるで宝物のように見えて、思わずそんな芝居じみた台詞をミュージカル調で言ってしまう。
しかし、おMEMEは想像以上に大きくて、近づくにつれ、ゆうみは恐怖で顔がひきつった。
あんなに重そうで、太いなんて聞いていない。
ボールペンと言うよりは凶器だ。
多分、ゆうみの腕よりも太い。
こんな物が本気で商品化されると信じていた茂野の思考回路と常識に盛大に突っ込みを入れたくなったが、今はおMEMEが自分に直撃する危険を回避する事が大事だ。
逃げなくては。
避けなくては。
マジでしぬかも知れない。
と茂野が命名したと言う幻のボールペン。
ノックを押して色を切り換えて――と言うタイプの複数色のペンは世の中に出回っているが、多くても四色だ。
そこに目をつけ、茂野は何と驚異の20色ボールペンを開発した。
開発製作に三年以上かけて、予算もそれ相応にかけて漸く出来上がった「君のおMEMEは20(トウエンテイー)collar」
……長いので、おMEME、でいいだろう。
そのおMEMEを社長と次長に意気揚々と披露した茂野だったが、アッサリ、バッサリ、ズバッと却下されてしまった。
おMEMEは、20色だけあって見た目も華やかでカラフルだが、実用性に欠けている。
大体が、片手で持ってスラスラ難なく文字を書けると言うのが重宝されるボールペンだろう。
おMEMEは、でかかった。
いっぺんに膨大な種類の色をひとつのペンにまとめたは良いが、当然とてつもなく太くて重く、書きやすくて持ちやすい……とは決して言えない代物だった。
高い棚から照明に反射して、キラキラを振り撒きながら落下する「おMEME」に見とれながら、ゆうみは手を伸ばす。
茂野の作る商品は殆どが使えない物ばかりだが、ゆうみは茂野の作る
「とことん趣味に走り過ぎてやっちまった」感がプンプンするサンプル達に、シンパシーと愛情を感じていた。
思えば、ゆうみの妄想やら呪術めいたまじない等も、同じ様な物ではなかろうか。
どんなに寝食を忘れる程に熱中し、打ち込んだとしても、結果が出なければ周りの反応や世間の評価は無いに等しい。
「ふ~ん、で!?」
と、鼻で笑われて終わりだ。
「やっと見つけたわよおお……おMEMEちゃん……おいで……私の腕の中に……」
ゆうみは、落下するおMEMEがまるで宝物のように見えて、思わずそんな芝居じみた台詞をミュージカル調で言ってしまう。
しかし、おMEMEは想像以上に大きくて、近づくにつれ、ゆうみは恐怖で顔がひきつった。
あんなに重そうで、太いなんて聞いていない。
ボールペンと言うよりは凶器だ。
多分、ゆうみの腕よりも太い。
こんな物が本気で商品化されると信じていた茂野の思考回路と常識に盛大に突っ込みを入れたくなったが、今はおMEMEが自分に直撃する危険を回避する事が大事だ。
逃げなくては。
避けなくては。
マジでしぬかも知れない。
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